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甘利にもお粗末なTPPによる売国日本−(植草一秀氏)
http://www.twitlonger.com/show/n_1so81da
26th Jan 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
拙著
『日本経済復活の条件
−金融大動乱時代を勝ち抜く極意−』
について、ジャーナリストの高橋清隆氏が同氏のブログに書評を掲載下さった。
http://blog.livedoor.jp/donnjinngannbohnn/archives/1891709.html
その内容を転載させていただく。
「NO.1エコノミストの植草氏がつづる2016年版の投資指南書である。
毎年恒例化したシリーズだが、投資戦略としての「秘伝5カ条の極意」のほか、
最新の内外政治社会動向にも鋭い考察が加えられている。」
「金融市場の動向を予測する上で政治社会情勢に目を配るのは、
経済が政治と切り離せないからである。
同書は中国経済の低迷やギリシャ危機にとどまらず、
ウクライナ問題や中東とISの動き、米国の金利引き上げの真相にも迫る。
従米ポチ保守言論誌を中心に中国経済崩壊を喜んでいる向きがあるが、警戒が必要だ。
中国株価バブル崩壊に伴う不良債権問題は、
限定的な規模にとどまる可能性が高いからである。
しかも、崩壊の影響を最も強く受けるのが日本経済であると指摘する。
わが国のアベノミクスについては、資本を富ませ、民を滅ぼす政策であると両断する。
「財政危機」が財務省のデマであることを政府保有資産額で示し、
消費税再増税を決行すれば、日本発の金融危機が再来する可能性を警告する。
とりわけ興味深いのは、円安=株高の関係が恒常的なものでないとの指摘である。
実例として1996年の橋本政権下での増税方針決定後の動向や、
2000年の森政権発足後の動向を挙げる。目からウロコの反証である。」
「こうした事実経過を踏まえた上で、米国の金融引き締めを前提に置くと(昨年12月利上げ済)、
日本株価が上昇を続けるとは限らなくなると指摘する。
消費税引き上げの取り扱いを含め、安倍政権がどのような財政運営を展開するかが鍵を握るのである。
安倍政権は「新三本の矢」を掲げた。名目GDPの増大、出生率の引き上げ、介護離職削減の目標を示し、
「1億総活躍」を提示したが、その真意は「1億総動員」だと指弾する。
国家のために個人を総動員する政策だからである。
しかも、GDPを統計作成方法の変更でかさ上げし、介護に対する国の支出は増やさない。
過酷な介護労働に対する処遇の引き上げも示されていない。
GDPの安定成長実現には、中低所得者層の所得増大こそが効果的なのに。
こうした政策が続けられる限り、投資戦略上日本企業は目先の拡大という短期では買えるが、
中長期では買えないということになると、植草氏は突き放す。
その上で、「戦争と弱肉強食」から「平和と共生」への政治の転換を主張している。
投資先選びから手に取った人にも、永続的な豊かさを享受できる環境とは何かを考えさせる1冊である。」
記して感謝の意を表したい。
2016年の年明け以降、海の色が変わった感が強い。
日経平均株価は昨年12月1日の20012円から
本年1月21日の16019円へと1ヵ月半で3993円、20.0%の急落を演じた。
政治の舞台では、安倍晋三内閣の中核を担う甘利明氏にメガトン級のスキャンダルが浮上した。
安倍晋三氏は甘利氏を続投させる意向を表明しているが、順序が逆である。
甘利氏に関するスキャンダルの真相を明らかにするのが先決で、
続投も更迭も、その結果次第であるべきだからだ。
これだけの不祥事が表面化して、
「まずは真相を明らかにする」
と表明せず、
「続投させる」
の姿勢を示すところに、政権の驕りがある。
「口利きを依頼され、現金を受領し、実際に口利きを実行した」
との疑惑が真実であると判明すれば、甘利氏の辞任は避けられない。
刑事責任も追及されることになるだろう。
それだけの重大性をはらむ事案である。
国会における政府演説や代表質問などが強行されているが、これも順序が逆である。
これらの日程を消化する前に、甘利氏が十分な説明責任を果たすべきことは当然であるからだ。
この甘利氏は、2月4日にニュージーランドで予定されているTPP最終合意に参加する意向を示している。
刑事責任が問われるかも知れぬ状況で、とてもTPP最終合意どころではないはずだ。
安倍政権がさらなる暴走を繰り広げるなら、主権者はこの政権に鉄槌を下すべきである。
TPPについて、主権者はほとんど情報を得ていない。
マスメディアが、TPPポジティブキャンペーンを展開しているから、
錯覚してしまう人が多いが、TPPは日本国民に底知れぬ害悪をもたらす秘密兵器である。
グローバルな強欲巨大資本は、日本を収奪の対象としてしか見ていない。
強欲資本による日本収奪への取組みの歴史は古い。
1989年発足のブッシュ父大統領の時代にSII=日米構造協議が行われた。
日本の構造が得意であるとの「日本異質論」が展開された。
日本の制度を改変するための圧力が加えられた。
1993年発足のクリントン大統領の時代になると、米国はアプローチを変更した。
日本と話し合っても無駄だとの判断が持たれたのである。
クリントン大統領は
「結果重視」
「数値目標」
を掲げ、結果において、具体的な数値を獲得することを優先した。
これと並行して始動したのが、悪名高い
「年次改革要望書」
である。
「日本の諸制度、諸規制の、ここを、このように変えろ」
との指令が米国から、あからさまに突きつけられたのである。
その内容は、微に入り、細に入るもので、よく見ると、
実は日本の官僚機構が深く関わって作成されたものであった。
この「年次改革要望書」のなかに
「郵政民営化」
が書き込まれ、小泉純一郎政権が、この米国の命令に隷従する行動を示したのである。
日本政治が売国者によって牛耳られ、日本政治のトップが、
米国の命令に隷従して行動する図式が鮮明に浮上したのが2001年以降である。
この流れに歯止めをかけたのが、2009年に発足した鳩山由紀夫政権だった。
年次改革要望書が中止されたが、米国が日本改変の意向を取り下げたわけではなかった。
米国は、年次改革要望書を取り下げると同時に、別のアクションプログラムに取り掛かったのである。
それが、米国のTPP参入である。
TPPの最大の特徴はISD条項という猛毒を盛り込んでいる点にある。
サリン級の猛毒と言って差し支えない。
そもそもISD条項は、先進国が途上国に資本投下する際に、
法的不安定性による損失を回避するために創設された制度である。
法的安定性が確保されない途上国への投資が損失を蒙らないように、
国家主権の上に、ISDの決定を位置付ける主権侵害行為が創設されたのである。
それを日本に適用すること自体が間違っている。
だから、安倍晋三自民党は2012年12月の総選挙に際して、
「国の主権を損なうようなISD条項には合意しない」
ことを公約で明記したのである。
ところが、安倍政権が署名しようとしている最終合意にはISD条項が盛り込まれている。
完全なる公約違反である。
日本がISD条項が盛り込まれているTPPに加盟すると、強欲巨大資本は、
このISD条項を使って、日本の改変を実行してくると見られる。
いきなりすべてを変えるわけではないが、10年、20年の時間をかけて、
確実に日本の諸制度を改変してしまうだろう。
改変の目的は、ただひとつ。
グローバル強欲巨大資本の利益を極大化することである。
このことによって、日本の国民は取り返しのつかない損失を蒙ることになる。
この「知られざる真実」を知っている主権者が極めて少ないのだ。
日本収奪の「三本の矢」は、
郵政民営化による日本郵政資産の完全収奪
日本政府による米国国債購入の形態による150兆円の上納金献上
そして、
TPPによる日本完全改変
である。
いま日本国民がこの真実に気付かねば、取り返しのつかない災厄が日本を覆い尽くすことになるだろう。
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