http://www.asyura2.com/16/kokusai16/msg/527.html
Tweet |
<FT特約>EUに迫るポピュリズムの脅威 試される仏独の安定
欧州連合(EU)は近年、多くの過酷な試練に直面してきた。ユーロ危機や難民危機、ロシアのクリミア編入、英国のEU離脱決定、そしてEU統合の概念に異議を唱え、北大西洋条約機構(NATO)同盟の価値に懐疑的な米国の次期大統領の選出だ。
試練はこの先数カ月で何倍も大きくなりそうだ。各国で予定される選挙や国民投票の結果から、EU存続に対し引き続き十分な支持を得られるかどうかがわかるだろう。まず、12月にイタリアで憲法改正を問う国民投票とオーストリアの大統領選が行われ、3月にはオランダで総選挙がある。オーストリアとオランダでは、極右候補の当選がもはや非現実的とは言えない。イタリアも政情不安が新たな局面に入れば、同国のユーロ加盟継続が危うくなりかねない。
4、5月に実施されるフランスの大統領選で極右候補が選ばれれば、EUが持ちこたえられる可能性は低くなるだろう。極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首はフランスのEU離脱を問う国民投票の実施を公約に掲げ、EUの存続を脅かしている。
だが、欧州の政治には依然として力強さがある。ドイツのメルケル首相が4期目に向け、首相候補として来秋の議会選への出馬を決めた。首相に再選されれば、連立政権の樹立はこれまでよりずっと複雑な作業となるだろうが、同氏は混乱期でも安定感を保ってきた。50%以上の支持率を維持しながら、難民危機に勇敢に対応し、欧米の自由主義秩序の礎となってきた価値観を守っている。
フランスでは、中道・右派陣営の大統領予備選でフィヨン元首相が2位以下に大差をつけた。保守派の有権者も、広がりつつある大衆迎合主義(ポピュリズム)に(危機感を持ち)挑もうとしているといえる。(27日の決選投票に臨む)同氏は政界の新顔ではないが、共和党のジュペ元首相に比べ既存エリートといった印象は薄い。
欧州をポピュリズム席巻の脅威から守るには、フランスとドイツという2つの強力なエンジンの復活が欠かせない。
(22日付、社説)
=英フィナンシャル・タイムズ特約
[日経新聞11月23日朝刊P.6]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。