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インドで復活する物々交換―高額紙幣廃止で現金不足
インドの農村部では人々が現金を手に入れられずにいる
インド北部アラハバードの路上マーケットで野菜を求める人々(2010年4月)
By RAYMOND ZHONG AND KARAN DEEP SINGH
2016 年 11 月 22 日 14:59 JST
インドのモディ首相が500ルピー札、1000ルピー札の使用を禁止した翌日、商いを営むバリクさんは変わった申し出を受け始めた。
毎週開かれている市場で、近くの住民たちから、自分たちが持っているコメやはちみつ、皮革物と、バリクさんの野菜や香辛料を交換しないかと呼びかけられた。
バリクさんが住むインド東部オリッサ州の村で小さな美容院の経営を手伝っているアニマ・サンダさんは「子供たちに食べさせなければならない」と話す。
バリクさんはある客と、1キロのジャガイモ、カリフラワー、トマトと500ミリリットル(ml)のハチミツを交換した。それは有利な取引だったとバリクさんは振り返る。市場でのハチミツの値段は120ルピー(約1.80ドル)で、バリクさんが渡した野菜の値段は70ルピーだったという。
インド政府は現金をため込んで脱税している人々を懲らしめるため200億枚以上の紙幣を無効にしたが、新札への交換はなかなか進まず、特に農村地域では紙幣不足による悪影響が深刻化している。
農村には銀行の支店がほとんどなく、あったとしても行員が足りない。村人たちは使える札を求めて銀行で1日待ったが、手ぶらで帰ることになったという。現金自動預払機(ATM)もほとんどない。インドには10万人の成人に対してATMが18台しかないのだ。
田舎にはデビットカード、クレジットカード、オンラインで決済できる人もほとんどいない。そのため、人々は昔ながらの現金不要の支払い手段に頼っている。
秋の収穫後で豊富にあるコメは一般的な交換手段として用いられる。コメとレンズマメ、コメとジャガイモ、コメと調理油、コメと塩といった具合だ。
オリッサ州のある村では、サフーさんが娘の結婚式ために服を買いに行った。店主は前払い金がなくてもサリー(ヒンズー教の女性が着用する伝統的なドレス)、ルンギー(男性が身に付ける腰布)、木綿のタオルなどを渡してくれたが、その代金の担保として金のイヤリングを預かった。
インドの農村部にとって、現金不足の長期化は単に不便だけでは済まされない。冬の播種期は始まったばかりで、農家には種や肥料を購入したり、人手を雇うための現金が必要になる。政府は農家や農産物を扱う流通業者に多くの現金を届けるため、引き出し限度額を緩和してきた。
田舎の現金不足は大都市にも影響を及ぼしている。商売を営むソンカール氏は11月18日、デリーにあるアーザードプル卸売市場に届く果物や野菜の量が通常の水準から75%も減少していると述べた。
ソンカール氏によると、農家が農産物を付けで売ることに合意したとしても、それを運ぶ運送業者は前払い金を欲しがるのだという。「市場にはほとんど人けがない」。
今のところ、食品の入手が困難になっていることを示す証拠はあまりない。インドの消費者庁が毎日出しているデータによると、普通の食料雑貨品の小売価格は先週以来あまり変わっていないという。
インド北部のビハール州では農家のマハトさんが娘の結婚式用の菓子作りのために大量の牛乳を必要としていた。隣人のクマールさんは2頭の牛を飼育している。クマールさんはマハトさんの農園で収穫された野菜5日分と引き換えに必要なだけの牛乳を提供することになった。
「われわれは互いを十分に信用している」とクマールさんは言う。「どちらかが約束を破るということはない」
デリーの西にあるハリヤナ州では、ラム・メハールさんが最近、25キロのコメを家族の女性が着る服数着と交換した。「この方法でなんとかできた」とメハールさんは言う。
すぐにまた現金での取引ができるようになることを願っていると話す人もいる。
村の美容院で働くサンダさんは「食べていくのが非常に難しくなってきた」と不満を漏らした。「あと何日間、物々交換で生きていかなくてはならないのだろうか」
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