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最新予測!トランプ「大逆転」の可能性はこのぐらいの確率 まさかのハプニングは本当にないか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50087
2016.10.31 橋 洋一経済学者 嘉悦大学教授 現代ビジネス
■大統領選は「筋書きのないドラマ」か?
日本シリーズは波瀾の末、日本ハムファイターズが広島カープに勝った。第1、2戦に広島カープが圧勝したので、そのまま広島カープが優勝かとも思った。しかし、第3戦で10回の裏にサヨナラ勝ちすると日ハムに流れが傾いた。
日ハムは、第4戦で8回裏に勝ち越し、第5戦でまさかの9回裏のサヨナラ満塁ホームランで、連勝した。第6戦も8回表に、押し出し、その後満塁ホームランで勝負あった。野球は「筋書きのないドラマ」というが、まさにその通りだった。
はたして、米大統領選は野球のような予想外の展開になるのだろうか。それとも大方の世論調査どおりの結果になるのだろうか。
米大統領選の予測に関しては、統計モデルを使ったもの、専業分析家によるもの、メディアによるものなど十数種類もある。例えば、2016 Presidential Election Forecasts というサイトもある(http://www.270towin.com/2016-election-forecast-predictions/)。
最新時点(多くは10月26日)では、それらのすべてにおいて、クリントン氏が優勢と予想されている。全米の各州選挙人538人の過半数である270人を獲得すれば勝利するが、統計モデル分析では、クリントン氏が少なくとも320人以上を獲得すると予想されている。
筆者は米プリンストン大学に留学していたので、プリンストン大学の予測モデル(http://election.princeton.edu/electoral-college-map/)をしばしば参考にしている。このモデルは統計的な手法であり、手法・中身はわかりやすいから、使いやすいものだ。
全米の各州選挙人538人の過半数である270人を獲得すれば勝利するが、プリンストン大モデルでは、クリントン氏323人、トランプ氏209人、未定等6人。トランプ氏が現時点より獲得投票率が2%高くなったとしても、クリントン氏288人、トランプ氏215人、未定等35人となり、クリントン氏の優位は動かない。
逆にクリントン氏の獲得投票率が2%高くなれば、クリントン氏356人、トランプ氏182人、未定なしとクリントン氏が圧勝する。クリントン氏が大統領になる確率は97%という。
■驚くほどの一致
他の統計モデルも紹介しよう。
2012年11月12日付け本コラム「政治評論はいまだ『マネーボール以前』の世界!」(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34022)で紹介した、NYタイムズのFiveThirtyEight(http://projects.fivethirtyeight.com/2016-election-forecast/)の予測だ。
それによれば、クリントン氏324人、トランプ氏212人、未定等2人である。クリントン氏が大統領になる確率は81%となっている。
もっとも、統計モデルを使うと似たような結果になりがちだ。そこで、その他の分析で、結果の違うものを二つ紹介しよう。これで、ほぼすべての米大統領選の予測をカバーすることができる(下図)。
一つは、バージニア大学の専門家による分析で、Sabato's Crystal Ball(http://www.centerforpolitics.org/crystalball/)として知られているものだ。それによれば、クリントン氏352人、トランプ氏173人、未定等13人となっている。
もう一つは、AP通信の分析である(http://interactives.ap.org/2016/road-to-270/#Election2016)。それによれば クリントン氏278人、トランプ氏173人、未定等87人である。
これらの4つの分析で、各州がどうなるかをみてみよう。
おどろくほど、ほとんどの州の結果は一致しており、わずか4州、アリゾナ(選挙人11人)、オハイオ(選挙人18人)、ノースカロライナ(選挙人15人)、フロリダ(選挙人29人)を接戦州とみるか、トランプ優勢州とみるかで違っているだけだ。そして、どこの分析でもアイオア(選挙人4人)が接戦州であることは変わりない。
それでも、クリントン氏の優位は動かない。
プリンストン大分析では、トランプ氏の投票率が2%高くなるという感応度分析を行っているが、クリントン氏288人なので、クリントン氏の勝ちだ。その中身を見ると、上の5州すべてがクリントン勝利とはならないが、それらを落としてもクリントン氏が勝つとなっている。
要するに、クリントン氏が盤石と思われる州をトランプ氏が奪い取って、さらに接戦5州をすべてトランプ氏が勝利するという、奇跡的な状況でないと、トランプ氏の勝利はないわけだ。それには、トランプ氏はさらに2%を超える投票率の上乗せが必要というわけだ。
■ハプニングはゼロではない
オハイオ州はしばしば大統領選を決定する州といわれている。米大統領選の勝敗を分けるのは、選挙のたびに民主、共和両党に振れる「スイング・ステート」である。例えば、大票田であるフロリダ、オハイオ、ノースカロライナ各州が最激戦区とされる。
このうち、オハイオ州については、1900年以降の28回の大統領選で同州を制した候補が大統領に当選したケースは26回になる。2回の例外は、1944年民主党ルーズベルトと1960年民主党ケネディだけだ。
今回もオハイオ州は大接戦であり、今のところトランプ氏がクリントン氏を若干リードしている。ただし、仮にクリントン氏がオハイオ州を落としても、上に書いたように大統領になる公算は高い。
筆者は一応統計分析者なので、トランプ氏の2%を超える投票率の上乗せがまったくあり得ないとはいえないが、かなり確率は低いだろうと考えている。
9月末からの3回に及ぶテレビ討論の結果、トランプ氏は大統領にふさわしくないと米国民に判断されたようだ。
ただし、10月28日にFBIが、クリントン氏のメール問題を再調査すると発表したことの影響は不明である。もし、この問題で、トランプ氏が投票率で2%を超えてアップできれば、奇跡の大逆転ということなる。その可能性は高いとはいえないが、ゼロではない。
大統領選挙は野球のようなハプニングは起こりにくいが、それでもハプニングはゼロでない。
日本シリーズの第6戦、10対4となった8回裏と9回裏に、広島は逆転のチャンスはゼロでなかった。しかし、結果としては逆転できなかった。6点差を2回で逆転できる確率はゼロでないが、かなり低い。クリントンのメール問題があっても、トランプ氏が逆転できる確率は、そのくらいに低いだろう。
市場も政府もそう見込んでいるだろう。安倍首相は、9月に訪米した際、クリントン氏と会談をしている。過去の日本の首相で、大統領選挙中に次期大統領になる人物と会談したことは例がまずない。
そこでどのような話が行われたかは定かでないが、日米安保、TPP、日ソ交渉などの重要課題も話され、日米関係の先取り的なものだろう。もしクリントン氏が勝てば、これは安倍政権の隠れた外交のヒットになるだろう。
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