http://www.asyura2.com/16/kokusai15/msg/854.html
Tweet |
米ノースカロライナ州ウィンストンセーラムで選挙集会を開いた大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏(2016年10月27日撮影)〔AFPBB News〕
「太平洋は米国のもの」と宣言するヒラリー大統領 日本は米国に従いなさい、中国はミサイルで包囲します
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48264
2016.10.31 堀田 佳男 JBpress
民主党ヒラリー・クリントン候補(以下ヒラリー)のメール問題が再燃している。読者の方は長引くメール問題にうんざりされているかもしれない。
筆者の見立てでは、ヒラリーはメール問題では生き残る。今年7月、米連邦捜査局(FBI)はヒラリーの訴追を見送った。いま新たに関連メールが発見されたことで、FBIは再捜査を始めるるが、ヒラリーが逮捕される可能性は低いだろう。
というのも、メール問題の核心はヒラリーが国務長官在任中、公務のやりとりを私的な電子メールアドレスで行っていた点に尽きるからだ。
問題が発覚した後、ヒラリーはメールの一部を削除しているが、米政府の極秘情報を中国やロシアに売却するスパイ行為をしていたわけでも、国際テロ組織に情報を流出していたわけでもない。
■新たに浮上したヒラリーの疑惑
ただ先週、ウォールストリート・ジャーナル紙がヒラリーの新たな疑惑を報じた。ヒラリーに親しい政治団体が、FBI幹部の妻に約5200万円の政治献金をしたというのだ。
FBI幹部というのはアンドリュー・マッケイブ氏で、同夫人は2015年にバージニア州議会選挙に出馬した時に政治献金を受け取っている。この献金がヒラリーのメールを調査しているFBIへの賄賂と受けとられているわけだ。
しかしヒラリー自身が直接関与した証拠は現時点ではつかめていない。しかも、同夫人は選挙に敗北した。
新たなメール問題と献金問題が浮上しているが、11月8日の投票日までにヒラリーの選挙での優位性を崩すことは難しいだろう。というのも、疑惑を裏づける作業が1週間で終了するとは思えないからだ。
カネにまつわる話は長い間クリントン家について回っており、本件でヒラリーの支持率が急落するとは考えにくい。
それよりも当欄では、10月15日に内部告発サイト「ウィキリークス」によって暴露されたヒラリーのメール内容について記したい。これは前述したメール問題とは別件である。
内容はヒラリーが日本と中国を含めた東アジアの安全保障問題について率直な意見を述べたもので、これまで非公開だった。
このメールはハッキングによって漏洩したものである。ヒラリーはトランプとの討論会で「ハッキングはロシア政府が関与している」と述べたが、真偽は定かではない。ただメールが漏洩したのは事実である。ヒラリーは、当件では被害者という立場だ。
漏洩された後、ウィキリークスがメールを入手し、いま段階的に公表している。ヒラリーの選挙対策本部のジョン・ポデスタ委員長のメールをはじめ、ハッキングで得たヒラリー関連のメールは数万通に達する。
ウィキリークスの創始者ジュリアン・アサンジ容疑者は現在、ロンドンのエクアドル大使館に滞在しており、政治的には反ヒラリーの立場にいる人物だ。アサンジ容疑者は、公開するメールをトランプへの追い風にしたいところだろう。
■太平洋は米国の海
けれども、公表されたヒラリーの関連メールがすべてマイナス要因になるわけではない。日本にとってはむしろヒラリーの本音を聞けたという点で、プラスと捉えられるかもしれない。紹介したいヒラリーの発言部分を翻訳したい。
「太平洋のほとんど全域は米国の支配下にあると言えます。『米国の海』と呼ぶことさえできます。西海岸のカリフォルニアからフィリピンまでです。もちろん日本もそこにいますね。当たり前ですが」
漏洩した発言は、2013年に大手投資銀行ゴールドマン・サックスで講演したときのものだ。ヒラリーは同年1月に国務長官を退官。その年に、太平洋を「米国の海(the American Sea)」と形容している。
これはヒラリー政権が誕生した時、米国の海上覇権が太平洋全域に及ぶことを意味している。さらに、歴史的に米国が太平洋に面した国家を自由化(独立)させたという意図の発言もしている。
米メディアの中には「ヒラリーは米国が太平洋を所有していると考えている」と書くところさえある。暴露されたメールには中国について述べている箇所もある。
「中国が北朝鮮の暴走を止めない限り、米国はミサイル防衛システムで中国を包囲するだろう。そしてより多くの米艦船を同海域に派遣することになる」
ヒラリーは「包囲する」を「ring China with missile defense」と表現している。中国をミサイルで取り囲んで締め上げるといった心意気が感じられる。これは中国の「太平洋分割支配」に対抗するものであり、ヒラリーの対中政策への意志を表したものと言える。
講演はゴールドマン・サックスの銀行員に非公開で行われたものだが、ヒラリーは「私はここにいるすべての方々を代表して発言しています」と前置きして、中国問題について述べている。
「中国は基本的に、南シナ海全域をコントロールしようとしています。何を主張しようが、それは国家の自由ですが、誰も(中国を)抑え込みにいかない限り、均衡を保つことはできなくなります。(中略)米国は軍事力を生かさなくてはいけません」
バラク・オバマ政権が採用した「アジア重視」政策は、ヒラリー政権が誕生しても継続されるはずだ。いや、むしろ対中政策ではオバマ大統領より強硬派になるであろうし、「中国封じ込め」という言葉が浮上するかもしれない。
ヒラリーにしてみると、日本と密接な同盟関係を維持し、強化するというスタンスは間違いないが、それは極めて表向きの顔である。実相は米国の海上覇権を太平洋全域で確実にすることであり、気持ちの上では「日本よ、従ってきなさい」といったところだろう。
■国務長官、国防長官人事が焦点
そこで重要になるのが、ヒラリー政権の国務長官と国防長官の人事だ。現職ジョン・ケリー国務長官をしばらく留任させるとの見方もあるし、ジョー・バイデン副大統領を起用するニュースも伝わる。
ワシントンのインサイダー情報としては、ヒラリーの知己であるウェンディ・ルース・シャーマン国務次官を抜擢するとの話もある。
シャーマン氏は2008年の大統領選挙でヒラリーの顧問役を務めた女性だ。またマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長の名前も挙がっている。
国防長官の呼び声が高いのはミシェル・フロノイ元国防次官。以前、国防長官候補として名前が挙がったが、家庭の事情を理由に固辞している。
だがヒラリー政権ではオファーを受理する可能性がある。またロードアイランド州選出のジャック・リード上院議員、ワシントン州選出のアダム・スミス下院議員の可能性もある。
いずれにしても、あと1週間で新大統領が誕生する。
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。