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歴史的な判決に歓喜のプロチョイス派(上)と抗議するプロライフ派(C)AP
米最高裁判決が大統領選挙の行方に多大な影響を与える ニューヨークからお届けします
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/185117
2016年7月7日 日刊ゲンダイ
6月27日、米最高裁が歴史的な判決を出しました。「妊娠中絶を制限」する州法を「違憲」とするものです。
この州法が今年発効されたテキサスでは、中絶の専門病院はすでに半分に減少し、今後はもっと少なくなると予想されていました。それに対し、最高裁が「NO」を突きつけたのです。判事らは「この州法が女性の健康を守るとは考えられず、逆に緊急を要する女性が違法な医師により危険な処置を受けるケースが増える可能性がある」とコメントしています。
アメリカでは、1973年に中絶が合法とされてからも、反対派と賛成派による論争が絶え間なく続いています。胎児の命を絶つのは間違っているとの考え方が「プロライフ派」で、逆に妊娠中絶は女性の選択の自由であり権利であるとするのが「プロチョイス派」。この2つが真っ向から対立し、極端な例としては、プロライフ派による中絶クリニックへの放火や爆破事件なども起きているほどです。
近年はテキサスを含むアメリカの8州で中絶を制限する州法が制定されましたが、今回の判決はこうした流れを一気に変えるだろうと受け止められています。
実は、妊娠中絶は、これまで常に大統領選の争点でもあり続けてきました。保守派の共和党候補はプロライフ派、リベラルの民主党はプロチョイス派という図式です。
つまり、トランプ候補は反対派。「中絶した女性に罰則を」と発言して炎上し、その後、発言を撤回しています。プロチョイス派のクリントン候補にとっては、今回の判決が追い風になると予想されています。
また、新大統領が指名するとみられる9人目の判事(スカリア判事の急死後、空席)が誰になるのかで、今後のアメリカの憲法解釈に大きな影響が出ることが改めて浮き彫りになった形です。
シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター
横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。
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