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写真:The New York Times/アフロ
移民だらけの収容島があった!カナダは流入激増で地域社会破壊、欧州では今夏10倍に増幅か
http://biz-journal.jp/2016/05/post_15011.html
2016.05.09 文=渡邉哲也/経済評論家 Business Journal
昨年、中東から大量の難民・移民がヨーロッパに押し寄せたことが、世界的な話題となった。
この難民問題をめぐっては、今年に入ってからも混乱が見られており、バルカン半島の国々が入国規制を強化したことで、難民がギリシャに滞留する事態も起きている。
ヨーロッパには、シェンゲン圏と呼ばれる26カ国の中でヒト・モノ・カネの自由移動を認め、国境や税関などの物理的制限を設けない「シェンゲン協定」というルールがある。
しかし、今は各国が国境を復活させたり、「ギリシャをシェンゲン協定から外す」という議論が生まれたりしており、かつて統合を目指したヨーロッパがバラバラになりつつある状況だ。
そんななか、3月に欧州連合(EU)とトルコの間で、ある合意がなされた。トルコからギリシャに渡る難民や不法移民について、トルコに送り返すという内容だ。4月に入り、実際にギリシャからトルコへの難民の送還が始まっており、この難民対策の行方が注目を集めている。
●オーストラリアにある“移民島”とは?
さて、オーストラリアにクリスマス島という島がある。インド洋に浮かぶ、フィッシングでも有名な場所だ。オーストラリアといえば、古くから白人優先社会をつくり、非白人に対しては排除的な政策をとってきた。いわゆる「白豪主義」であり、それが国際的な批判を呼んだことも事実だ。
また、オーストラリアはもともとイギリスの植民地であり、インドやカナダなどと並んで「イギリス連邦」の一部であることが知られている。そして、1997年に香港がイギリスから中国に返還される際、オーストラリアやカナダは香港からの移民を受け入れる方針を示した。そのため、多くの香港人たちが中国人になることを嫌い、オーストラリアやカナダに移民申請を行った。
それまで、香港の人々はイギリス国民だったため、英語で教育を受けており、英語を話すことができる。そういった共通項が多いため、移民を受け入れても社会的な混乱には陥らないだろう。そういう目論見で、オーストラリアは移民を迎え入れた。
また、香港以外に地理的に近いインドネシアから“ボートピープル”が押し寄せるなど、オーストラリアには、さまざまなアジア系およびポリネシア系の移民が入り込むことになった。
一気に加速した移民流入に対するオーストラリアの回答が、前述したクリスマス島である。オーストラリアは、この島に移民収容施設をつくり、移民申請者を軒並み島に移送するという手段をとった。そして、審査をパスした者だけを移民として認定して入国、つまり島以外の本土に入れることを認めたのだ。
しかし、そのほとんどは不法移民や単なる出稼ぎ労働者などで、自国に強制送還されるケースが相次いだ。
また、オーストラリアの人権団体が「クリスマス島における移民収容は、人権上の問題があるのではないか」として訴訟を起こしたことがあるが、高等裁判所は「問題ない」との判決を下している。
そのため、ヨーロッパの一部の国では、「オーストラリアに学べ」とばかりに、島を買う動きが出てきている。その島に巨大な収容施設をつくってすべての難民を送り込み、じっくりと審査を行うというわけだ。
これに対して、人権団体などから「人権侵害ではないか」という声が上がっているが、世論は必ずしも反対ではない。昨年11月に発生したパリ同時多発テロ事件では、実行犯の数人が中東からの難民に紛れてヨーロッパ入りしていたことが明らかになるなど、難民流入によって治安の悪化を憂う国民も多い。そのため、この動きが現実味を増しているのだ。
●5月以降、難民問題が深刻化か
また、デンマークでは、難民申請者の財産を国が没収できる新法が成立した。デンマークの失業者は、失業手当などの社会保障を受けるためには一定額以上の所持品を売却しなくてはならない。そのため、「難民も失業者と同じ扱いにする」というわけだ。「難民だけが優遇されるのはおかしい。不平等だ」という国民感情の後押しもある。
同様の法案はノルウェーでも審議中だが、今ヨーロッパは、実にさまざまなロジックで難民問題に対応しているのだ。
また、難民対策には時期的な問題もある。本来、難民や移民の移動は春から夏にかけて行われることが多い。中東やアフリカからヨーロッパ、つまり暖かい地域から寒い地域への移動となるため、冬の場合は途中で力尽きてしまう危険があるからだ。
しかし、今は道中で人権団体が毛布や温かい衣類、食べ物などを配っているため、冬に減少するはずの難民が減らなかった。そのため、「このまま夏になると、さらに5倍10倍という数の難民が押し寄せるのではないか」ということで、ヨーロッパは難民対策を協議しているわけだ。
協議のタイムリミットは、「4月いっぱいだろう」といわれていた。4月を過ぎて暖かくなってくると、より移動しやすくなった難民が何倍にも膨れ上がると同時に、すでに移動に成功した難民が家族を呼び寄せることが予想されるからだ。
正当な難民が家族を呼び寄せるという行動を起こした場合、それを否定するのは人道的立場から考えると難しい。しかし、そうすると、収拾がつかなくなることも事実だ。
家族を呼び寄せ、呼び寄せられた家族がまた別の親類を呼び寄せ……というふうに止まらなくなり、本来想定していた人数を超える数の移民が流入してしまう。そして、その結果、地域コミュニティが破壊される。これは、実際にオーストラリアやカナダで起きたことだ。
これらの事情を踏まえると、5月以降、ヨーロッパの難民問題はさらに深刻化することは間違いないだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)
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