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ワシントンで不審死した「プーチン元側近」:FBIへの寝返り阻止?(フォーサイト)
http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/420.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 4 月 19 日 15:34:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ワシントンで不審死した「プーチン元側近」:FBIへの寝返り阻止?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160419-00010000-fsight-int
新潮社 フォーサイト 4月19日(火)12時46分配信


 いつものように、今年3月のワシントン取材も、デュポンサークルのクラブに投宿した。そこは便利で動きやすく、雰囲気がいい。
 いつもと違う気分になったのは、近くの別のホテルで昨年11月、ある奇妙な事件が起きていたことを知ったからだった。
「デュポンサークル・ホテル」。決してファンシーではない4つ星のホテル。特派員時代、ここで開かれたシンポジウムを傍聴したことも何回かあった。「日米半導体合意」の密約文書がほしい、と元米政府高官に頼むとこのホテルに来いと指示され、文書を持つ米紙記者を紹介されたこともあった。米政府機関が招待客を泊める宿としてもよく使われる、と聞いた。
 だが、ここでプーチン・ロシア大統領の元側近の男が不審死していたというのだ。なぜ元側近をこんなところで殺(あや)めたのだろうか。
 そして、ロシア情報機関の犯罪、との証拠が確認されれば、「米ロ冷戦」は深刻な段階を迎えるのではないか。

■よたよた歩いてホテルの部屋に

 3月10日、ワシントンの検視官事務所が警察当局と合同で、解剖所見を発表した。頭部のほか、首や胴体、腕、脚に鈍器で打撲傷を受けていたというのだ。だが、事故で転んでできた傷なのか、交通事故なのか、あるいは犯罪なのか、原因は明らかにされなかった。
 奇妙なのはそれだけではない。解剖結果の発表が11月5日の死亡から4カ月以上も経っていたのは極めておかしかった。今もその理由は不明だ。
 死亡したのはミハイル・レシン氏(享年57)。そもそも、ビバリーヒルズなどに合計約3000万ドル(約32億円)の豪邸5軒を所有する超リッチな男にしては、人生の最後に泊まったホテルはふさわしくなかった。
 米メディアによると、彼はウィルソン・センターが主催して別のホテルで開いた11月3日夜の寄付金集めのディナー・パーティーに出席するためワシントンに来ていた。しかしその夜、ロシア人の友人が電話しても返事がなく、パーティーには姿を見せなかった。
 ニューヨーク・タイムズによれば、彼は2日夜友人らと痛飲、3日午前にもまだ酒屋で酒を買い求めるなどひどく酔っ払っていた。4日夜には、事故あるいはけんかのせいか、よたよた歩きで、ホテルに戻ってきた。ガードマンが彼をベッドに寝かせようとしたが、抵抗されたという。翌朝、掃除婦が部屋に入って彼の死体を発見した。他殺であったとしても、証拠はない、という状況のようだ。

■批判メディアを弾圧

 レシン氏は元々エンジニアで、ソ連崩壊とともにぼろもうけした類の男で、自分の広告代理店を年商数十億ドルの大企業に育てた。エリツィン、プーチン両政権下の1999〜2004年メディア担当相、さらに04〜09年ロシア・マスメディア関係連盟顧問を務めた。この間、政権批判の報道で知られた独立テレビを所有するウラジーミル・グシンスキー氏の持株会社に対して、数々の不正摘発を理由に圧力をかけ、国有天然ガス企業の子会社ガスプロム・メディアの傘下に買収するなど、メディア企業を統合整理し、自由な報道を弾圧し続けて「ブルドーザー」の異名をとった。ソチ五輪前、ロシアのプロパガンダ番組を放映するRTの設立にも参加した。
 彼は13〜15年初めまでガスプロム・メディアのトップの座に就いていたが、それを最後にリタイア。それ以後はカリフォルニア州に住まわせた元モデルの女性と自分の間に生まれた娘の家とロシアを行き来していたようだ。彼は既に、同州に不動産会社も設立していた。娘と息子も同州在住で、遺体は同州に埋葬されたという。

■FBIに情報協力

 ではレシン氏はなぜ、こんな形で不審死したのか。元国家安全保障局(NSA)分析官で防諜対策の専門家、ジョン・シンドラー氏はニューヨーク・オブザーバー紙の自分のコラムで「彼は昨年には米連邦捜査局(FBI)に協力するようになっていた」と指摘している。
 では、FBIに対してどんな協力をしていたのか。
 実は、レシン氏は米ロの人権団体から、報道の自由の侵害を理由に告発されていた。レシン氏に対する入国ビザの取り消しや在米資産の没収といった要求もされていた。彼が持つカリフォルニア州の資産および投資のリストが米上下両院議員に配布されたこともあった。
 これを受けて、ロジャー・ウィッカー上院議員(ミシシッピ州選出、共和党)は2014年、対外汚職防止法違反容疑などを根拠に、司法省に捜査を要請した。しかし、ピーター・カジック司法次官補は数カ月後、その件は司法省刑事部門とFBIに回した、と回答しただけで、具体的にはまったく何の動きも表面化しなかったという。
 ただ、奇妙なことに、その動きを受けて、レシン氏はガスプロム・メディアを退社、2015年には頻繁に訪米するようになった。それとともに、レシン氏の悩みは深くなり、酒量も増えたとの情報もある。
 米政府はクリミア半島併合問題で対ロ制裁の強化へと動いている。FBIはレシン氏の対米投資の問題などをテコに、レシン氏からプーチン氏の取り巻き銀行家らに関する情報を得ようとしていたとみられる。デュポンサークル・ホテルはレシン氏事情聴取のためFBIが準備したのではないかとの報道もある。
 これに対してロシア機関がレシン氏の口封じのため荒っぽい作戦に出た可能性もあり、その場合はレシン氏の身の安全を確保できなかったFBIの責任が追及される恐れもあるだろう。

■「陰謀の証拠」の難点

 ロシア秘密機関の関与を示す証拠が発見された場合、米ロ関係は一気に「冷戦2.0」の時代を迎える(シンドラー氏)とみられる。しかし、そんな危険な時代への突入を恐れて、米政府が捜査を抑える可能性はないのか。ケネディ暗殺にはソ連が関与した可能性があったが、冷戦の深刻化を恐れてジョンソン米大統領が捜査に消極的で、「CIA陰謀説」の流布を放置したという説もある。
 逆に、懸命な捜査にもかかわらず、証拠をまったく発見できなかった例の方が多いようだ。

早稲田大学客員教授 春名幹男

Foresight(フォーサイト)|国際情報サイト
http://www.fsight.jp/

 

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コメント
 
1. 2016年4月19日 16:57:26 : OO6Zlan35k : ScYwLWGZkzE[426]

Column | 2016年 04月 19日 11:12 JST 関連トピックス: トップニュース

コラム:ロシアはいつ壊れるのか

John Lloyd

[14日 ロイター] - ロシアはいつ崩壊するのか。どん底の原油価格や、西側諸国による制裁、インフレ、そして人口危機──。第2のロシア革命はいつ起こるのだろうか。1917年に発生したロシア革命から100周年を迎える来年だろうか。

第1次ロシア革命では、労働者や農民、兵士がサンクトペテルブルクの豪華な宮殿にいる貴族階級に反抗して決起した。その人数は膨大ではなかったが、十分なものだった。

プーチン大統領が率いるソ連崩壊後の支配階級は今や、モスクワの豪華なクレムリン宮殿に移り、生まれながらに裕福ではなかった埋め合わせに、大きな富をお互いにぐっと差し出し合っている。不平不満のある人々にとっては、魅力的な目標だろう。

今のところ、革命の兆しもないし、深刻なデモさえもない。クレムリンの中枢にいるプーチン氏は、世論調査で80─90%の支持率を享受し、非常に高い人気を今も誇っている。2014年3月にロシアがウクライナ南部にあるクリミア半島を併合して以来、この2年間そのような状況が続いている。

ウラジーミル・ナボコフの1945年の著書「A Conversation Piece(原題)」の中で、ロシアの白軍の亡命大佐は、彼の祖国を奪った共産党の宿敵だったが、スターリンへの敬愛の感情を爆発させている。「偉大なロシア人民は目覚めた。そして、我が祖国は再び偉大な国となる。今日、ロシアから出てくるあらゆる言葉に、私は力を感じる。私は古き母国ロシアの素晴らしさを感じる」

著名なリベラル色の強い評論家、アンドレイ・コレスニコフ氏は、現在のロシアの指導部が「不自由さを聖なるものにする」傾向があると書いた。すなわち「新しい社会契約は、ロシア人民がクリミアや国家威信と引き換えに自由を放棄することを要求している」

このような誇りの高まりに伴って、それを強化するような姿勢が現れている。つまり、スターリンへのさらなる称賛と、米国やヨーロッパ連合体(EU)に対する称賛の大幅な低下だ。ロシア人の大部分は、権力の誇示を称賛する亡命大佐と一致している。

「ロシアは再び偉大な国である」という誇りの植え付けは、クレムリンにとって最大の、そしておそらく唯一のカードであり、何度も使う必要があるだろう。ロバート・カプラン氏は最近のエッセイの中で、プーチン氏の「外交政策はより創造的に、そして、用意周到でなければならない。彼が海外でカオスを作り出せば作り出すほど、国内での彼の安定的な独裁体制が価値あるものとなる」と記した。

ロシア大統領が本当に西側を嫌いかどうかはともかく、プーチン氏が生き残れるかどうかは、彼自身がそう振る舞うことにかかっている。

しかし、プーチン氏の成功には1つの問題がある。クリミア併合は、制裁実施前から顕著だった同国の不況を補うものとなった。それは、堅調な消費増加と引き換えに、国家への忠誠を要求し、指導者層が裕福になるよう任せるという、プーチン流の社会契約から、人々の話題を変えた。

コレスニコフ氏が指摘するように、「国家イデオロギーは未来への最重要な概念は与えてくれない。その土台はロシアの過去の栄光だ。この意味では、国家イデオロギーは、極めて限定的な寿命しか持ち合わせていない」。カプランもこれに同意している。「プーチン氏は経済破綻の影響から自らのレジームを守ることはできなだろう」と。

ロシアで最も優秀なエコノミストの1人は今月、ロシアのナショナリズム、及び帝国主義の復活は脆弱であり、それを変える、もしくは変えなければならないとの予想の確固とした裏付けを示そうとした。(カプラン氏は、フルシチョフを1964年に倒したようなクーデターの可能性を排除できないと考えている)。

第1期プーチン政権で経済開発貿易相第1次官を務め、現在はフロリダ州立大教授のミハイル・ドミトリエフ氏は、「プーチンの春」で改革が実施できると考えた優秀な若手リベラル派のグループの1人だった。しかし、プーチン政権が独裁に向かって漂流しているとみるや、ドミトリエフ氏はグループを去った。

同氏は、英王立国際問題研究所(チャタムハウス)での年次ロシア講義の中で、注意深いエコノミストの手本となっている。すなわち、ロシア経済は大災害ではない。ロシアの中央銀行は、どの中銀に劣らず、景気後退を何とか管理してきた。失業率は約6%と低く、欧州の多くの国よりははるかに低水準だ。輸入が足りず、その分を国内生産でまかなう点で成功してきた。原油価格の下落で白日の下にさらされた、ロシアの原油価格依存は、経済を他の分野にも多様化させなくてはいけないという新たな関心を起こしている──。

とは言うものの、ロシアは今年、推定で1.5%のマイナス成長という景気後退に直面している。よくて、かなり低いプラス成長へ戻る予想だ。2017年は0.9%、2018年は1.2%の成長が見込まれている。運がよければ、ロシアは10年後、GDPが危機以前の水準まで戻るだろう。雇用は堅調だ。従業員を解雇するよりも、雇用者は賃金を削減するからだ。消費はかなり悪化している。

驚くべきことではないが、政治家の人気は落ち込んできている。メドベージェフ首相の支持率は大幅に低下してきている。多くの州知事の支持率も同様だ。

しかし、プーチン氏は違う。以前の多くの独裁者と同く、たとえ彼が命令を下したとしても、政治論争を超えた人物となっている。同氏は、自らのレジームが建てられている岩だ。欠かせない人物だ。大多数のロシア人が同氏に与えている支持、もしくは愛情、が消えるとすれば、現在の権力構造を支えるすべてが失われることになる。

その時、他の世界にいるわれわれは未知の領域に踏み込むことになる。ロシアは指導者を中心に団結することができず、はっきりとした後継者もいない。リベラル派は小さく、いまだ信頼を置けない集団のままだ。

皮肉にも、希望は抗議運動の中にある。ドミトリエフ氏によれば、ロシアにおいて、抗議運動はおおよそ経済的な混乱から数年遅れて起こるという。例えば、2011年の抗議運動の高まりは、世界の他の多くの国と同様、2008年の激しい景気後退の3年後だった。

抗議運動によって、より強く過激なナショナリストのグループや、プーチニズムの終焉はこの偉大な国が、自らの復活に必要な欧州との関係を再構築する好機とみる人々が、指導者として登場することもあり得る。

「ヨーロッパの運命」は、旧ソ連のゴルバチョフ元大統領が1980年代後半にソ連を開放した根底にある意味だった。それは、1990年代当時のエリツィン政権によっても、断続的に保たれた。しかし、それはもてあそばれ、2000年代になってプーチン氏によってきっぱりと捨てられた。

プーチン氏がもし失脚するならば、ロシアは復活のチャンスがある。それを望む人々は誰でも勇気と強さ、そして支援を必要とするだろう。こうした人々が失敗したとき、今日より危険な領域に私たちは踏み入ることになろう。

*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。


http://jp.reuters.com/article/russia-putin-idJPKCN0XG054


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