http://www.asyura2.com/16/kokusai13/msg/219.html
Tweet |
対北朝鮮強攻に拍車 韓国・朴氏を駆り立てる因縁
中ロとのあつれき辞さず
朝鮮半島を舞台に先鋭化する南北対立下で韓国が繰りだす強攻策が、ときに米国や日本をも驚かせる。主導するのは朴槿恵(パク・クネ)大統領。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記との間で強烈な個性がぶつかり合う。朴氏を駆り立てるものは何か――。
「無謀な挑発は自滅の道だ。北が思い知るまで断固として対応する」。25日、韓国中部の大田(テジョン)。北朝鮮による過去の事件の犠牲者らを前に朴氏は今後も強い圧力をかけていくと宣言した。14日夜には在外公館長167人を青瓦台(韓国大統領府)に集め、対北朝鮮制裁の完全履行に最善を尽くせと檄(げき)を飛ばし、30日午後、米ワシントンでの核安全保障サミット出席のためソウルを飛びたった。
「怒り」は1月6日に始まった。4回目の核実験強行に「必ず代価を払わせる」と宣言。1カ月後に長距離弾道ミサイルを発射されると、最近の韓国政権では半ば禁句となってきた北朝鮮の「体制崩壊」を口にした。
交渉相手として正恩氏を見限ったのだろう。韓国企業への打撃を覚悟で、北朝鮮内の開城工業団地の操業中断にも踏みきった。これまで北朝鮮からどんな挑発を受けても守り続けてきた最後の交流の門を閉ざした。
両親暗殺が影響
「これだ」と決めたら突き進む。大胆な言動は絶対権力者の家庭に生まれ育ち、その後、両親ともに暗殺され、自らも選挙の応援中に暴漢に襲われた類いまれな壮絶な人生とも無縁でない。
原点を政界入りする前の1989年の発言に見いだすことができる。この10年前に起きた朴正熙(パク・チョンヒ)元大統領の暗殺後、ひっそりと暮らしていた朴氏が久々にメディアに姿をみせた。父が主導した61年の軍事クーデターへの批判に「国が無くなる危機で民主主義を中断させるという話がどうして出てくるのか理解できない」ときつく反論。父の「革命」が北朝鮮から祖国を守ったと一心に擁護した。
父暗殺の5年前に父狙撃の流れ弾で実母を失った事件を、韓国は背後に北朝鮮の指令があったと断定した。北朝鮮をめぐる「因縁」が朴家に深く刻まれている。
大学で当時の女子学生には珍しい電子工学を専攻した。「専門性」が原則主義の行動に投影しているとの指摘もある。独身を貫き「国と結魂(婚)した」と話す。27歳のとき、父暗殺の悲報に接し、真っ先に口にしたのは「前方(軍事境界線)に異常はありませんか」。北朝鮮の侵攻を警戒したのだ。
外交のあつれきも辞さない。韓国が8日に発表した独自制裁「北朝鮮に寄港した船舶の180日間の韓国入港禁止」にロシアは眉をひそめたに違いない。ロシア産の石炭を北朝鮮の港に陸路で運び、船に積み替えて輸出する事業を韓国向けにはできなくなるためだ。
同事業の推進は朴氏がプーチン氏と決めた首脳合意だ。将来、朝鮮半島を縦断する鉄道やガスパイプラインの建設で朝鮮半島への権益拡大を狙うロシアがこだわり、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議でも例外対象にさせたほど。韓国の措置はプーチン氏を袖にした形となった。中国に対してはそれ以上だ。地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の在韓米軍配備に向けた米韓協議入りを決断し、中国政府の猛反発を浴びた。
裏切り許さない
微笑を浮かべた表情と敵味方を峻別(しゅんべつ)する手法に「氷の王女」の異名がある。「非朴派」の与党幹部が、野党と連携して大統領権限を制約する法改正に動くと、朴氏は「裏切りの政治」と激しく非難し、辞任圧力をかけた。4月13日投開票の総選挙の与党候補者選定でも非朴派の冷遇が際だった。
敵に容赦ない朴氏を北朝鮮は「老いぼれた雌犬」などと連日、口を極めて非難し、「朴槿恵逆賊一味を除去する報復戦に入る」と威嚇する。15日、正恩氏は近く核弾頭爆発実験と弾道ミサイル試験発射を実施すると予告した。国際社会の圧力に徹底抗戦の構えだ。
正恩体制の「業績」が並べられる朝鮮労働党大会は5月初旬。少なくともそれまでは朴氏の怒りがやみそうにない。
(ソウル支局長 峯岸博)
[日経新聞3月31日朝刊P.2]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。