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原油、イランが安値攻勢 3月積みで異例の値下げ
制裁解除、シェア回復急ぐ
米欧などの制裁解除を受け原油増産に向けて動き出したイランが出荷価格を引き下げている。通常は四半期ごとに価格を決めているが、3月積みでの異例の値下げにより制裁で失ったシェアの回復を急ぐ。主要産油国による増産凍結の動きを受け、原油価格はひとまず底入れしている。イランは増産姿勢を崩さず、上昇幅を抑える要因となっている。
イラン産原油は通常、競合するサウジアラビア産を基準に増減額を設定し出荷価格を決める。代表油種の一つである「イラニアンヘビー」も類似油種のサウジ産「アラビアンミディアム」が基準になる。
米情報会社プラッツによると、「イラニアンヘビー」は2015年通年でサウジ産より0.06ドル前後安かった。制裁解除後の1月以降、イランは値下げに動き1〜2月は0.1ドル安、3月に0.2ドル安とした。四半期の途中で変更するのは異例だ。この水準までサウジ産と価格差が広がるのは08年12月以来という。
イランは1月に核問題による米欧の経済制裁を解かれ、再び自由に原油を輸出できるようになった。直ちに日量50万バレルの増産を決定し、さらに50万バレルの上積みを掲げ制裁下で失った市場シェアの回復を急ぐ。疲弊した国内経済を立て直す財源として、原油輸出を伸ばすのが緊急の課題だ。
制裁解除後にまず、地理的に近い欧州への輸出に動いた。アジアでも売り込みに力を入れている。
原油の国際価格は年明け後に反発。指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は2月の1バレル26ドル台を底に一時41ドルまで回復した。サウジアラビアやロシアなど4カ国が他の産油国が同調することを条件に、増産凍結に向けて合意した影響が大きい。
底入れ感は広がっているものの、1バレル100ドルを超えていた2年前に比べると半値以下。依然として低い水準の値動きとなっている。米国のシェールオイルの減産のペースが鈍いことや、イランの増産など供給過剰の懸念が払拭されない。
4月17日にも産油国が再び集まり生産凍結を協議する見通しだ。サウジやロシアに加え他の産油国も参加し増産凍結で合意が広がる可能性がある。ただイランのザンギャネ石油相は産油量が日量400万バレルに達するまでは増産凍結に加わらない考えを表明。生産量を戻し販路を確保することを優先させる方針だ。
イランは2005年に日量388万バレルの原油を生産し、石油輸出国機構(OPEC)内で2位の約13%のシェアを占めていた。制裁により15年の生産量は290万バレル弱まで減少、シェアも約9%まで下がっていた。
日本は05年に13%あったイラン産のシェアが15年は約5%に低下している。石油連盟の木村康会長(JXホールディングス会長)は「安定供給と経済性のバランスを考えて、検討したい」と述べ、調達先の多様化にイラン産原油は役立つとみる。
[日経新聞3月30日朝刊P.20]
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