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降圧剤を飲み続けると、EDになる可能性 飲まない人とは2倍の差が…!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53203
2017.12.03 週刊現代 :現代ビジネス
どうもこのところ勃ちが悪くて、セックスをする気にならない。実はそれ、飲んでいる「血圧の薬」のせいかもしれません。
飲まない人とは2倍の差が
千葉県松戸市在住の山本雄一郎さん(62歳・仮名)は、やや悲しげな表情を浮かべてこう振り返る。
「2年前の夏、血圧が150mmHgを超え、妻に言われて循環器科にかかったんです。医師と相談して降圧剤を処方してもらうことになり、いろいろ種類があるなかから『利尿薬』を選びました。ほかに比べて値段が安いのが決め手でした。
2週間降圧剤を飲み続け、血圧は上が130程度で安定してきたのでホッとしました。
ところがそのころから『勃ち』が悪くなり、ついには全然硬くならなくなってしまった。最初は体調のせいかと思いましたが、時間が経っても改善の兆しがない。
思い切って薬を処方した医師に聞いたら、『降圧剤のせいでしょう』と言う。降圧剤にそんな副作用があるなんて知らなかった。驚きました」
多くの男性が、年齢を重ねると高血圧に頭を悩ませるようになる。そこで、上がりすぎた血圧を下げるために用いるのが降圧剤だ。毎日飲み続けなければならないため、服用が習慣化する。
だが、何の気なしに薬を飲み続けていたところ、気がつけばいつのまにか勃起不全(ED)になっていた――こうした例はきわめて多い。
「降圧剤を飲むとEDになりやすいのはたしかです。そうした報告は数多く出されていますし、公益財団法人日本医療機能評価機構が出している『ED治療ガイドライン』でも、降圧剤がEDの『リスクファクター』のひとつであると認められています」と解説するのは、虎ノ門・日比谷クリニック院長で泌尿器科医の大和宣介氏である。
「実際に私が診た患者さんのなかにも、『カルシウム拮抗薬』という降圧剤を服用した後で『下のほうの元気がなくなった』『勃起しなくなった』と相談に訪れた方がいました。そういうときは、薬を別の種類の降圧剤に変えるなどして対応をしています」(大和氏)
これまでEDの主要な原因は「高血圧」であるとされてきた。しかし近年になって、降圧剤も、高血圧とは独立してEDのリスクであることが明らかになりつつある。
以下の研究が、そのことを示している。
ギリシア、バルカン地域で最大の学生数を誇る名門校テッサロニキ・アリストテレス大学。この大学で泌尿器を専門とするミヒャエル・ドーマス氏らのチームが、同国に暮らす358名の男性(年齢は31〜65歳)の高血圧患者を対象に調査を行った。
結果は驚くべきものだった。
被験者のうち、降圧剤を服用していた患者のグループでEDに罹患していた割合は40.4%にのぼった。一方、降圧剤を服用していなかった患者のグループでは、EDに罹患している人は19.8%にとどまった。
つまり、降圧剤を飲むことによって2倍以上もEDになりやすくなったということだ。
さらに、この研究では別の事実も明らかにされている。1種類の降圧剤を使っている人でEDに罹患しているのは36.3%だったが、2種類以上の降圧剤を併用している患者の罹患率は46.7%だった。複数の降圧剤を使っているほうがEDの罹患率が高いということだ。
スウェーデンではこんなデータも出ている。1990〜2006年、薬の副作用としてEDの症状が出たという報告が225件あったが、そのうち59件(26%)が降圧剤によるものだった。
いま、日本には1130万人のED患者がいると推計されている(「たまに勃起できる」などの中程度EDも含む)。年代別にみると、40代の5人に1人、50代の2.5人に1人、全世代(30〜70代)の4人に1人がEDだという。もはや「国民病」だ。
もしかするとそのEDの多くは、降圧剤を原因としているかもしれない。先の『ガイドライン』では、新規ED患者の25%が、薬によって発症しているというデータが紹介されているのだ。
降圧剤を飲んでいて、「勃起しにくい」と感じているのであれば、それは薬によって引き起こされている可能性が高い。
では、なぜ降圧剤はEDを引き起こすのか。
これは、勃起のメカニズムを考えるとわかりやすい。勃起は以下の流れで起きる。
@性的に興奮することで、神経から一酸化窒素(NO)が分泌される。このNOが筋肉、血管に作用し、「サイクリックGMP(cGMP)」という物質が分泌される。
AcGMPによってペニスの血管を取り巻く筋肉、海綿体が弛緩。血管が拡張する。
B拡張した血管に血が流れ込み、海綿体が拡張する。
Cペニス近くの「括約筋」が静脈を圧迫。血液が海綿体の外に出にくくなり、勃起する。
@〜Cのプロセスのどこかに問題が起きると、EDになってしまう。うまく興奮することができなかったり(@の問題)、cGMPが分泌されなかったり(Aの問題)してEDとなるのだ。
降圧剤の種類に注意
降圧剤は、Bのプロセスで問題が起きているという。獨協医科大学越谷病院泌尿器科の小堀善友氏が言う。
「厳密なメカニズムはまだ明らかになっておらず、議論の余地がありますが、降圧剤を飲むと、血行が悪くなることがわかっています。その結果、ペニスの血管に流れ込む血液の量が減少し、勃起をしにくくなると考えられているのです」
たとえば、日本で最も多く使われている「利尿薬」系の降圧剤は、体内の塩分と水分を排出させることによって血液の量を減少させ、血圧を下げる。
だが、体内を巡る血液の量が減ってしまえば、もちろんペニスに流れ込む血液の量も減り、それがEDにつながると言われている。
降圧剤は、種類によって効き方のメカニズムが異なるため、当然EDになるリスクの大小にも違いがある。
前出のドーマス氏らが行った研究によれば、利尿薬(フルイトランなど)や「β遮断薬」(メインテート、セロケンなど)といった降圧剤を服用している患者のほうが、「カルシウム拮抗薬」(アムロジン、コニールなど)、「ACE阻害薬」(コバシル、レニベースなど)、「アンジオテンシンU受容体拮抗薬(ARB)」(ミカルディス、ディオバンなど)を服用している患者よりも、EDになりやすかったという(それぞれの作用機序についてはページ末の表を参照)。
「ACE阻害薬、ARBは末梢循環(手足など体の末梢部の血の流れ)を悪化させにくく、EDになりにくいと言われます」(東邦大学医療センター大森病院の永尾光一氏)
前出の大和氏はこう指摘する。
「私が目を通してきた論文や報告のなかでは、カルシウム拮抗薬『アムロジピン』がEDを引き起こすリスクがあるとされていました。実際、私のクリニックに来る患者さんでも、この薬を処方すると『勃起しなくなってきた』と訴える人がたまにいます。
そうした場合には、薬を変える提案をし、ARBやβ遮断薬を服用してもらうようにしています」
日本人はEDになったとしても、そのことを恥じたり、「もう年だから」と諦めたりして病院にかからないことが多い。実際にEDになっている人のうち、病院に行っているのは、わずか9%にすぎないという指摘もあるほどだ。
しかし実は、降圧剤の種類を変えてみたり、薬そのものをやめる努力をしたりすることで、かつての「仁王勃ち」を取り戻すこともできると聞けばどうだろうか。
関西に暮らす土井克彦さん(58歳・仮名)は、「仁王勃ち」を取り戻した一人だ。土井さんが言う。
「私は55歳から降圧剤(カルシウム拮抗薬)を飲み始めました。そこからしばらくは、恋人とセックスを楽しんでいましたが、段々と勃起をしにくくなってきたんです。
年のせいかとも思いましたが、思い切って医師に相談すると、降圧剤が原因になっている可能性があると言われた。
『薬をやめたらよくなるんですか』と聞くと、『よくなるかもしれない』と言う。だから思い切って、降圧剤をやめられるという触れ込みの病院に行ってみることにしたんです。
幸い、重い血管の病気があるわけではなかったので、食生活を管理してもらい、キチンと運動をしたら1年ほどで降圧剤をやめることができた。そして、薬を飲まなくなると、段々と勃つようになったんです。
それにつれて気持ちも前向きになる。いまではまたセックスもできるようになりました。降圧剤をやめて本当によかったと思っています」
土井さんのように、降圧剤をやめることができ、EDも改善するというのは、一石二鳥の理想的なケースだ。
同時に飲むと副作用も
降圧剤を飲むことで勃起の力が衰えている人には、ED治療薬の世話になっている人も多いだろう。しかし、その飲み合わせは本当に大丈夫なのだろうか。
一般的に降圧剤とED治療薬を併用することは問題ないと言われている。だが、油断をしていると思わぬ落とし穴にハマる危険性もある。
まず、ED治療薬にはどのようなものがあるのか確認しておこう。
渋谷三丁目クリニック院長の古市昌之医師が解説する。
「現在、日本で販売されているED薬には、バイアグラ、シアリス、レビトラの3種類があり、それぞれ効き方に特徴があります。バイアグラとレビトラは服用後1時間ほどで勃起のピークを迎えると言われますが、シアリスは2〜3時間後にピークがくる。
また、バイアグラは食事をすると効果が低下すると言われています。レビトラは普通の食事なら大丈夫ですが、脂肪の多い食べ物を食べると効果が下がる。一方、シアリスは、食事をしても問題なく勃起します。ちなみに、飲酒をすると、どの薬も効き目が悪くなります。
どの薬にも副作用として、顔の火照り、頭痛、鼻づまりや動悸などがある。稀にですが、筋肉痛や下痢といった副作用も見られます」
このように効き方に違いはあるものの、EDに作用する基本的な仕組みはどれも同じだ。
前出の大和氏が解説する。
「ペニスの血管を拡張させるのは、一酸化窒素から生成されるcGMPです。cGMPは分解されやすい性質がありますが、ED治療薬はその分解を抑制する効果がある。
cGMPの濃度が保たれることにより、末梢血管のまわりの筋肉が弛緩し、血管が拡張。ペニスに血液が流れ込みやすくなる。その結果、勃起をしやすくなるというメカニズムです」
問題は、ED治療薬によって血管が拡張することで、血圧も低くなってしまうということだ。降圧剤と併用すると、ただでさえ血圧が下がっている状態でED治療薬を服用することになる。血圧が下がりすぎてしまうのである。
新宿ウエストクリニック院長の室田英明医師が語る。
「降圧剤とED治療薬を飲んでいる人は、血圧を下げる薬を2種類飲んでいるのに近い状態になります。場合によっては、たちくらみやふらつき、だるさといった副作用が出ることもある。
降圧剤とED治療薬は併用注意なのです。併用は可能ですが、こうした副作用については注意が必要です」
好循環を生むセックス
ほかにも、両者の併用には気をつけておくべきタイミングがある。
池谷医院院長の池谷敏郎氏はこう話す。
「基本的に、医師は降圧剤を、患者さんの血圧が標準値に近づくように処方しています。しかし、お酒を飲んで血管が広がったり、脱水症状で血液の量が減ったりしたときは、血圧が極端に下がりやすい状況になっています。
こういうタイミングでED治療薬を飲むと、血圧が下がりすぎてしまうこともある。そうした場合には、注意が必要です」
せっかくセックスのためにED治療薬を飲んで準備をしていたのに、立ち上がれずにフラフラしてコトに及べなかったのでは元も子もない。下手をしたら、ハデに転んで骨折、入院という事態にもなりかねない。
セックスという営みは、人間の体にいい影響を与える。
「セックスは寿命を延ばすというデータがあります。2010年の国際性機能学会誌に発表された論文では、セックスが体にもたらすメリットとして、血圧低下、前立腺がんの予防、うつなど精神疾患の予防、ストレスホルモンの低下、肥満の改善、免疫機能の向上といった点が箇条書きで書かれています。
さらには、セックスの回数が多いと、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の発症率が低くなり、それが長寿につながっている、と指摘する論文も出ています」(前出・小堀氏)
血圧を下げて降圧剤をやめられれば、EDは改善する。セックスができるようになれば血管が健康になり、さらに血圧も下がる。そしてまた勃起の調子はよくなる――血圧を下げれば、まさにいいことずくめのスパイラルが起きると言える。
これまで見てきた通り、一般的に考えられている以上に、勃起は男性の健康そのものと密接に関わっている。EDが単純な老化の結果であると考えると、自分の身体の奥深くで起きている重大な変化や不調を見逃すことになりかねない。
第2部では、EDの背後に隠された、重大な「危機」についてご紹介しよう。
「週刊現代」2017年10月14日・21日合併号より
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