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「薬を替えたら2週間は続けて飲んでみて、効果が感じられるかどうかをさぐってください」(※写真はイメージ)
花粉症の新薬「ビラノア」と「デザレックス」登場 その実力とは?〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170322-00000041-sasahi-hlth
週刊朝日 2017年3月31日号より抜粋
花粉の飛散量がニュースになる時期。2017年は昨年の4.4〜11倍(ウェザーニュース)と発表された。不安を募らせる人も少なくないはずだが、新しい薬も登場している。
花粉症はアレルギー疾患の一つだ。本来、免疫機能は細菌やウイルスなどの病原体に対して働くが、アレルギー疾患では、一般的にそれほど毒性のないものや、ほかの人にとってはアレルゲン(アレルギー症状を起こす原因物質)とならないものに対して過剰な免疫反応が起きてしまう。また、突然、発症するのも特徴だ。
花粉症ではスギやヒノキ、カモガヤといった特定の花粉がアレルゲンになる。もっとも患者数が多いのが、2〜4月に飛散するスギ花粉によるものだ。おもな症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみで、侵入した花粉を排除するために起こるのだが、重症になると仕事ができない、外出できないなど、生活に支障をきたしてしまう。
山梨県在住の白川素子さん(仮名・53歳)は、30代の後半からスギ花粉症だった。自営業で仕事が忙しく市販薬で症状を抑えていたが、症状が強く出るようになったため、7年前に山梨大学病院耳鼻咽喉科を受診。抗ヒスタミン薬の「アレグラ」(一般名フェキソフェナジン塩酸塩)を処方してもらうようになった。
抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンという物質の働きを弱める薬で、現在、花粉症治療の第一選択薬になっている。
白川さんは2016年のシーズンにはアレグラの効果があまり感じられなかったので、今年1月、花粉飛散を前に同院の上條篤医師に相談した。昨年の夏に体調をくずした夫に代わって車の運転を任されるようになったこと、速く効く薬がいいことなどを聞いた上條医師は、16年11月から保険で使えるようになった新薬の「ビラノア」(同ビラスチン)をすすめた。
ビラノアも抗ヒスタミン薬の一つだが、薬の血液中の濃度が1時間でピークになり、効き目が速くあらわれるのが特徴だ。加えて、現在使われている抗ヒスタミン薬のなかで、副作用である眠気がもっとも起こりにくい。山梨大学病院では、1月時点ではまだビラノアを扱っていなかったため、取り扱いのある近くのクリニックを紹介した(山梨大学病院でも3月9日から処方開始)。
ビラノアは1日1回の服用で、食事の影響を受けて効き目が低下するため、食前1時間と食後2時間の計3時間は服用を避ける必要がある。白川さんは最初、昼食30分前に服用していたため、効果がいま一つだった。医師から再度、指導を受け、薬を飲んでから1時間以上経って食事をとるようにしたら、症状がほとんど感じられなくなった。眠気もなく、車の運転も問題はない。
新薬では効果や副作用などを見ながらの投薬が必要なことから、承認後1年間は2週間分しか処方できない。患者は月2回通院しなければならないが、白川さんは現時点で効果が出ているので苦にならないと話しているという。
同じく16年11月に保険が使えるようになった「デザレックス」(同デスロラタジン)という薬も即効性があり、長く効く抗ヒスタミン薬だ。効果の長さをあらわす血中半減期(血液中の薬物濃度がピーク時の半分になるまでにかかる時間)が19.5時間と、抗ヒスタミン薬の中でもっとも長い。また、食事の影響を受けにくいという特徴もある。
二つの新薬の登場でさらに選択肢が増え、薬を替えることで効果が期待できる場合もある。
「薬を替えたら2週間は続けて飲んでみて、効果が感じられるかどうかをさぐってください」
と上條医師は話す。
さらに、症状の強さや副作用だけでなく、白川さんのようにライフスタイルに合わせた選択が可能になってきている。
もちろん、外出時はマスクをする、ふとんや洗濯物を外干ししないなど、内服薬を使っていても、できるだけ触れる花粉の量を減らす努力は不可欠だ。
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