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WHOの血圧ガイドライン改訂の影響は
WHO血圧ガイドライン改訂で多くの高血圧患者が作られた
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161208-00000003-pseven-life
週刊ポスト2016年12月16日号
高血圧と診断され降圧剤を服用するようになると、一生薬を飲み続けなければいけないのだろうか。北品川藤クリニックの石原藤樹院長は「降圧剤は必ずしも一生飲み続けるものではない」と話す。
「2001年にオーストラリアのマーク・ネルソン博士が雑誌『アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション』に“特に生活改善の指導がなくても、42%の患者が降圧剤の中止後に最低1年間、正常血圧を維持できた”と報告しています」
石原氏はかつて自らも降圧剤中止の経過観察を実施した。2009〜2011年の3年間、50歳以上の男女50人を、降圧剤をやめたグループと治療継続をしたグループの半数に分けて観察。その結果、治療を継続した25人は全員正常血圧を維持し、降圧剤の服用を中止した人では25人中20人が正常血圧を維持していた。
降圧剤をやめた後の生活改善の重要性が指摘される一方で、前述の『アメリカン・ジャーナル・オブ・ハイパーテンション』での報告では42%もの人が特に生活改善をしなくても正常血圧を維持している。ここに問題が潜んでいる。石原氏がいう。
「生活改善なしに正常血圧を維持している人の多くは軽症の高血圧の人たち。彼らはそもそも降圧剤を飲まなくてよかったのです」
東海大学名誉教授で大櫛医学情報研究所の大櫛陽一所長もいう。
「1962年の世界保健機関(WHO)のガイドラインでは60歳以上に具体的な血圧値は定められていなかった。
ところが1990年代に降圧剤の開発ラッシュとともに製薬企業が市場拡大を狙い、しのぎを削るようになった。それと時を同じくして、WHOも血圧のガイドラインを改訂し、『年齢にかかわらず上の血圧が140mmHg以上、下の血圧が90mmHg以上だと高血圧』とした。これにより新たに多くの高血圧患者が作り出された」
そうした人たちは、不要な降圧剤にカネを支払っていることになる。高血圧治療に取り組む坂東ハートクリニック院長の坂東正章医師はこういう。
「私もよく使用するカルシウム拮抗剤は、新薬で1錠50円、血管を収縮させるホルモンに作用するARBで120円程度。現在50歳の人がこれらの薬をやめられた場合、男性の平均寿命(80歳)で試算すると50万〜100万円にもなります」
適切に降圧剤を使用するメリットはあるが、一方で無視できないのが副作用である。動悸やふらつき、勃起不全など数あるなかでも恐ろしいのが「脳卒中」だ。車を運転中に発作を起こしたというAさん(74)はこう語る。
「ARBを5年近く服用しており、時折めまいや頭痛を感じることはありました。ところが、孫を迎えに車を運転している時、左半身が麻痺した感覚に襲われ、視野も急に狭くなったんです。意識も薄れていき、気づいたときにはガードレールにぶつかっていました。幸い事故では軽傷でしたが、脳梗塞寸前の一過性脳虚血発作と診断されました」
大櫛氏が続ける。
「私が行なった6年間の追跡調査では、高血圧患者同士で比較した場合、降圧剤を使わない人よりも降圧剤を使う人の方が死亡率が高いという結果が出た。心筋梗塞や脳卒中の原因とされる高血圧ですが、降圧剤により脳卒中などで死亡率が上がっては本末転倒です」
高血圧予防には、健康的な食生活と適度な運動が必要不可欠。もし高血圧気味でも、自宅で定期的に血圧を測定し、血圧が安定しているなら、自分から医師に減薬を持ちかけてみる。そうすることで初めて“降圧剤依存”から解放される光明が見えてくるのだ。
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