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大半の医師は、便秘を「治療が必要な疾患」と考えていない。しかし… (※写真はイメージ)
便秘は寿命を縮める!? 笑いたくても笑えない本当の話〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170421-00000014-sasahi-life
週刊朝日 2017年4月28日号より抜粋
便が出ない──ともすれば笑い話で終わる便秘だが、寿命を縮めるとしても果たして笑えるだろうか。医師の治療にもばらつきがあり、専門家が一石を投じるべくガイドラインの作成を進めている。鍵となるのは便秘の種類だ。
慢性便秘症(便秘)は、最も頻度が高い消化器疾患の一つだ。若い間は女性が多いが、50歳以降は男女ともに患者数が増え、70〜80歳では男女差がなくなる。
近年、便秘がQOL(生活の質)を下げるだけでなく、寿命を縮めることも明らかになってきた。便秘による腹痛や腹部膨満感などが食欲低下を招き、栄養状態が悪化してさまざまな機能が落ち、心筋梗塞や脳卒中、寝たきりなどのリスクが高まると考えられている。
「ところが大半の医師は、便秘を『治療が必要な疾患』と考えていません」
こう指摘するのは、横浜市立大学大学院肝胆膵消化器病学教室の中島淳医師。現在「慢性便秘症診療ガイドライン」を作成しているメンバーの一人だ。ガイドラインは基本的な治療方針を提案するもので、多くの医師がこれを参考にする。
便秘で受診した場合によくあるのは、すぐに下剤が処方されるパターン。大腸内視鏡検査をした上で「大腸がんはない。異常なし」と言われることもよくある。しかし、便秘の原因を探り、治療に進むことは稀だ。患者は病院に不信感を抱き、市販薬を使う。うまくいく人がいる一方で、市販薬では満足感を得られなかったり、服用量が増えていく人が少なくない。
適切な便秘治療を広げようという動きが出ている中、中島医師が注目しているのは、漢方薬だ。
「漢方薬は効きめの強いものから弱いものまであり、作用が緩やかで、習慣性が低い。通常の便秘薬では対応できない腹痛や腹部膨満感などにも使えますし、患者の安心度が高いのもポイントです」(中島医師)
代表的なのは、「大黄甘草湯」「麻子仁丸」「潤腸湯」「桂枝加芍薬湯」「防風通聖散」「大建中湯」で、それぞれに特長がある。
東京都在住の平田達夫さん(仮名・62歳)は、60歳を過ぎて便秘がひどくなった。かかりつけ医は便を水分で軟らかくする非刺激性の下剤を処方したが、服用してもスッキリしない。再び相談すると、大腸粘膜に作用して蠕動(ぜんどう)運動を促す刺激性の下剤を処方された。ところが今度は下痢がひどくなり、中島医師の外来を受診。処方された「潤腸湯」を飲み始めると、1カ月ほどで快便を得られるようになった。
今年3月、「リナクロチド(商品名リンゼス)」が発売された。現段階では便秘型過敏性腸症候群が対象だが、2012年承認の「ルビプロストン(商品名アミティーザ)」と並んでエビデンス(科学的根拠)レベルが高い。欧米ではすでにこのレベルの高い薬が多く承認されており、日本もようやく、という状況だ。
「便秘は、腹痛、腹部膨満感、残便感など症状がいくつもあります。患者の言葉を“翻訳”し、最も困っている症状をくみ上げなくてはなりません。漢方薬や新薬など選択肢が増えることは、治療の大きな武器になるでしょう」(同)
同じくガイドライン作成メンバーで、指扇病院排便機能センター長の味村俊樹医師のもとには、便秘で悩む患者が全国から来る。彼らが求めているのは、「客観的な評価による原因に応じた便秘治療」だ。
診療では、問診に加えて「PAC−QOL」日本語版を使う。患者が回答・記入することでQOLを評価するもので、受診ごとに回答して治療効果を判定し、必要に応じて大腸内視鏡検査、大腸通過時間検査や排便造影検査などもおこなう。
「糖尿病や高血圧なども、生活習慣の改善や初期の薬物療法で改善しない場合は、原因究明のために精密検査をします。便秘診療も同じです」(味村医師)
客観的な評価ができたら、次は原因だ。
便秘は、大きく二つのタイプに分けられる。便が長い間大腸にとどまり、水分が少なくなって便が硬くなる「排便回数減少型」と、大腸の蠕動運動は正常で便は直腸まで来るが、そこからうまく出せない「排便困難型」だ。この二つはそれぞれ、さらに二つのタイプに分けられる。
▼「排便回数減少型」
【1】食物繊維の摂取量や食事量が少ない(大腸通過正常型)
【2】大蠕動の回数が少ない(大腸通過遅延型)
▼「排便困難型」
【3】便が硬い(大腸通過正常型)
【4】大腸や肛門の、機能や構造が異常(便排出障害)
原因を知ることが重要なのは、タイプによって治療が異なるからだ。たとえば「便秘には食物繊維」とよく言われるが、すべてのタイプに当てはまるわけではない。ある研究では、便秘患者147人に食物繊維を投与した場合、前出の【1】の治癒率が72%だったのに対し、【2】は治癒率0%、【4】は4%だった(【3】は調査外)。
「【2】や【3】であれば、非刺激性の下剤を毎日服用します。【1】は食物繊維摂取が大切です」(同)
【4】の原因として最も多いのは、「骨盤底筋協調運動障害」だ。排便時は、いきんで腹圧をかけると同時に、肛門を含む骨盤底筋が緩むことで、便がスムーズに出る。ところが障害のある人は、いきんだときに骨盤底筋がうまく緩まないどころか、逆に締めてしまう場合もある。なぜこのような障害が起こるか、まだ十分には解明されていない。
「便の硬さは正常か少し軟らかいのに排便困難感や残便感があり、そのため1日に何度もトイレに行くが、いきんでも排便できないことがある。こういった症状があれば骨盤底筋協調運動障害を疑い、排便造影検査をおこないます」(同)
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