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【第317回】 2016年11月10日 井手ゆきえ [医学ライター],-週刊ダイヤモンド編集部-
どちらか一つじゃだめ?カロリー制限か運動療法か
特定健診の結果で、メタボ中高年は食習慣の改善と運動療法を迫られる。せめてどちらか一つで、と思うのだが。
米国の研究によれば、適度な減量ができれば「カロリー制限」と「運動療法」の効果は同じらしい。
対象は、肥満やあまり運動をしない“座りっぱなし症候群”の45〜65歳の男女52人。
参加者は(1)カロリー制限だけ、(2)運動療法だけ、(3)両者を併用の3グループにわかれ、効果を比較。いずれも3カ月間で体重を6〜8%減らすプログラムが組まれた。
具体的には、(1)はカロリー摂取量を普段の80%以内に抑える、(2)普段より20%以上多くカロリーを消費するため身体活動量を増加、(3)はカロリー制限10%プラス身体活動量10%増である。
3カ月後に参加者の血圧、血清コレステロール値、血糖値を測定した結果、それぞれの値が改善。残りの人生で心筋梗塞や狭心症になるリスクが、36〜46%減ることが示された。
当初は、カロリー制限と運動療法の併用が最も効果があると予想されていたが、実際には「どれだけ減量できたか」が重要のようだ。
ただし、だ。普段の食生活にもよるが、1日のカロリー摂取量を20%減らすには300〜500キロカロリーの制限が必要。某牛丼チェーンの並盛りはまず、諦めざるを得ない。
運動量を20%増やすのも簡単ではない。全く運動習慣がなかった場合は、毎日5〜8キロメートルものウオーキングが必要になる。
あとは個人のお好みで、としか言えないが、3グループのなかで、一番早く減量目標を達成できたのはカロリー制限・運動療法の併用グループ。リバウンド率が低く、脱落率も他の6分の1だった。
また理由は不明だが、カロリー制限グループは、併用グループより心疾患の発症率が2〜3倍に上昇。一方運動療法のみでは、血糖値の改善効果が弱かった。ちょっとした体重増で2型糖尿病を発症しやすい日本人にとって、あまりうれしいことではない。
結局、健康維持にはカロリー制限+運動療法が最適らしい。諦めて両方に取り組みましょう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
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