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15分で寝付きと睡眠の質を改善する「筋弛緩法」
ビジネスパーソンに贈る 眠りの超スキル
就寝前にオススメ! 高血圧や潰瘍の対策にも
2016年10月13日(木)
伊藤和弘=フリーランスライター
仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まないための、ぐっすり睡眠術をお届けしよう。
大切なプレゼンの前夜など、緊張が高まってなかなか寝付けないといった経験は誰にでもあることだろう。そんな緊張を体操によって和らげ、寝付きを良くしてくれる「筋弛緩法」というメソッドがある。これは不眠症の改善効果が高いことでも知られており、最近はテレビ番組でもしばしば取り上げられている。
正式には「漸進的筋弛緩法」。もともとは1930年代に米国の神経生理学者エドモンド・ジェイコブソン博士が「不安を少なくする」方法として創案したリラクゼーション法がベースになっていて、それを不眠症の治療に応用したものだ。
これまで多くの不眠症患者に筋弛緩法を指導してきた早稲田大学人間科学学術院助教の岡島義(いさ)さんは次のように説明する。
「緊張・不安とリラックスは天秤の関係になっています。まず、体に力が入っていることを自覚する。その力を抜くことで筋肉をリラックスさせると、それが精神のリラックスにもつながり、安眠をもたらすわけです」
実際、多くの不眠症患者に効果があった。これまでの研究を解析したところ、特に「寝付き」と「睡眠の質」の改善効果が高かったという。
寝る前に筋弛緩法を行うと「寝付き」と「睡眠の質」が改善
慢性不眠症の患者50名(男女半々、年齢は24〜79歳、平均39歳)を対象として、就寝前に筋弛緩法を4週間実施。「入眠困難」の項目では、寝付きにかかる時間が63分から28分に減少。「睡眠時間」は5.3時間から6.2時間へと長くなった。「睡眠の質」については、熟睡感を最大7点で回答させ、3.3点から4.9点に上昇した。 (Turner RM et al: J Consult Clin Psychol 47:500-508, 1979より引用、岡島氏が一部改変)
高血圧、潰瘍、頭痛、頻尿にも効果
「不眠症以外にも多くの効果があります」と岡島さんは続ける。
身体に対する効果としては、高血圧や不整脈の改善が確認されている。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった胃腸の症状を予防したり、回復を促進したりする効果もある。緊張性頭痛には即効性があるし、頻尿の改善効果もある。次に精神に対する効果。イライラを解消し、心が穏やかになる。気分転換の効果も高く、作業に疲れたときに行うと頭がクリアになり、効率が良くなるという。
不眠症の対策として行う場合は、就寝の直前に行うといい。ひと通りやり終えるのにかかる時間は15分程度だ。
5秒力を入れ、20秒力を抜くことを繰り返す
岡島さんに教えてもらった、筋弛緩法の具体的なやり方を紹介しよう。
(1)基本姿勢
ベルト、時計、メガネなど体を締め付けるものを外し、なるべく静かな所に行く。体の感覚に集中するため、テレビやラジオは消す。
柔らかいベッドやソファではなく、イスに腰かける。背もたれに背中をつけず、浅く座る。足を肩幅くらいに開き、足の裏をしっかり床に着ける。ひざの角度は90度がベスト。手はひざの上に置く。これが基本の姿勢になる。
力を入れるときは全力の8割くらいの力で5秒間。その後、20秒ほど力を抜いて「力が抜けている感覚」をしっかり確認する。時計を見ながら正確に計る必要はなく、だいたいで構わない。
基本姿勢
浅く腰をかけ(寄りかからずに)、両足の間隔を肩幅程度に開く。膝の角度は約90 度にして、足の裏を床にピタッとつける。
(2)手のリラックス
肘と前腕部を太ももの上に乗せて、上半身の体重をかける。手首はひざより前に出して、手の平を上に向ける。
8割くらいの力で拳を握り、90度内側にひねって拳を縦にして5秒キープ。
力を抜き、20秒ほど「手の平から力が抜けた感覚」(ジーンとする、血が引いていく感じなど)に集中する。
再び拳を5秒間握る。今回は「爪が食い込んで痛い」「指の関節が伸びている」など、「力が入っている感覚」をつかむようにする。
力を抜き、再び20秒ほど「力が抜けた感覚」を意識する。
次に、手の平を5秒間強く開き、指が伸びている感覚を意識する。20秒ほど力を抜き、感覚の変化を感じる。
手のリラックス
前かがみになり、手のひらをぎゅっと5秒ほど握る(上)。ストンと力を抜き、20秒ほど静止する(下)。同様にもう一度、手のひらを握り、ストンと力を抜く。最後は、手のひらを5秒ほど目一杯広げ、ストンと力を抜き20秒ほど静止する。
(3)腕のリラックス
基本姿勢から、拳を軽く握って腕を曲げていく。肘を脇に着けて5秒間力を入れる。
力を抜いて、手を太ももの上にストンと落とす。20秒ほど静止して、腕から力を抜けた感覚を意識する。
腕のリラックス
拳を軽く握り、肘をぐっと曲げ、脇を締める(上)。5秒キープ。太ももにストンと腕を落とし、20秒ほど静止する(下)。
(4)首のリラックス
まずは上下の動きから行う。背筋を伸ばし、あごを胸に着けるように首を前に曲げていく。うなじの部分が伸びていることを意識しながら5秒キープ。
肩を動かさず、ゆっくり顔を上に向けていく。できるだけ頭を後ろに反った状態で5秒キープ。のどが伸びている感覚や、うなじに皮膚が集まる感覚を意識する。
首をゆっくり元に戻し、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
次に左右に移る。まず、肩を動かさないように注意し、左耳を左肩に近づける。5秒キープし、右の首筋が伸びていることを意識する。
ゆっくり元に戻し、そのまま右耳を右肩に近づける。5秒キープし、左の首筋が伸びていることを意識する。
ゆっくり元に戻し、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
首のリラックス
背筋を伸ばして首をストンと落とし、あごと鎖骨を近づけていく(上)。首を痛めるといけないので、ゆっくり正面を向く。そのまま頭を後ろに下げていき、天井のなるべく後ろの方を見る(下)。
ゆっくり正面に戻す(上)。肩を動かさず、左肩に左耳を近づけていく(下)。元に戻し、同様に右肩に右耳を近づけていく。
(5)肩のリラックス
肩をぐっと持ち上げて5秒キープ。どこに力が入っているか確認する。ストンと落とし、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
肩のリラックス
首をすくめるようにして肩を上げ、5秒キープ(上)。ストンと力を抜き、20秒ほど静止する(下)。
(6)手・腕・肩のリラックス
今までやった「手のリラックス」「腕のリラックス」「肩のリラックス」を連続して行い、最後に肩を持ち上げたところで5秒間止める。その後、太ももの上にストンと手を落とし、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
(7)背中のリラックス
腕を後ろに反らし、肩甲骨の間を狭くするように胸を開く。力が入っている部分を意識しながら5秒キープ。ストンと力を抜き、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
背中のリラックス
腕を垂らし、そのまま後ろに引いていく。同時に、胸とお腹を前に突き出す(上)。5秒キープしてから、ストンと力を抜き、20秒ほど静止する(下)。
(8)腹部のリラックス
両手を重ねてへその下辺りに置く。口から大きく息を吐き、鼻から吸う。吸いきった時点で息を止めて、手でお腹を押す。それに対抗して腹筋に3〜5秒力を入れる。
息を吐いてストンと腕を太ももに落とす。20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
腹部のリラックス
両手を重ねてへその下に当て、息を口から「ふ〜」っと吐き出し、鼻から吸う。息を止め、手でお腹を押していき、その力を止めるように腹筋に力を入れる(上)。苦しくなってきたら、息を「ふ〜」っと吐くのと一緒に力を抜き、20秒ほど静止する(下)。
(9)脚のリラックス
背中を背もたれに着けて深く腰かける。膝をくっつけた状態で両足を持ち上げ、脚を真っすぐ伸ばす。足首を曲げて、ふくらはぎを伸ばした状態で5秒キープ。ストンと力を抜き、20秒ほど力が抜けた感覚を意識する。
脚のリラックス
腰を痛めるといけないので、背もたれに寄りかかれるように深く腰をかける。ひざをくっつけて脚を伸ばし、つま先を手前(身体の方)に向けて5秒キープ(上)。すべての糸が切れたようにストンと力を抜き、20秒ほど静止する(下)。
(10)全身のリラックス
これまでの手、腕、肩、脚のリラックスを連続して行い、最後に脚を伸ばしたところで5秒キープし、力が入っている部分を意識する。一度にやろうとせず、手、腕、肩、脚と順番に力を入れていくとやりやすい。
最後にストンと力を抜き、1分間そのままの姿勢を保つ。全身を見渡すようなつもりで体の様子を確認する。これで終了だ。
◇ ◇ ◇
最初はうまく感覚がつかめないかもしれないが、岡島さんによると「繰り返し行っていくうちに力が抜けた感覚が分かってくる」という。
「たくさんやるほどコツもつかめるし、リラックス効果も高くなっていきます。できれば1日2回くらいやるといい。最初は効果が感じられなくても、とりあえず1週間は続けてみてください」(岡島さん)
前に触れたように、不眠症の改善以外にもさまざまな効果を期待できる。お金もかからないことだし、寝付きの悪さに悩んでいる方はぜひ試してみてほしい。
(イラスト:DYO)
岡島義(おかじま いさ)さん
早稲田大学人間科学学術院 助教
2003年、日本大学文理学部卒業。08年、北海道医療大学大学院心理科学研究科博士課程修了。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、睡眠総合ケアクリニック代々木主任心理士などを経て、15年より現職。日本睡眠学会評議員。著書に『4週間でぐっすり眠れる本――つけるだけで不眠が治る睡眠ダイアリー』(さくら舎)など。
この記事は日経Gooday 2016年6月15日に掲載されたものであり、内容は掲載時点の情報です。
このコラムについて
ビジネスパーソンに贈る 眠りの超スキル
仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。しかし、大事なプレゼンや商談の日を寝不足でむかえたのでは、せっかくの準備も報われにくい。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まない! ぐっすり睡眠術をお届けしよう。
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