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次期大統領のトランプ氏(C)日刊ゲンダイ
トランプ相場が証明した“黒田バズーカ”の役立たず 日本経済一歩先の真相
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/194444
2016年11月25日 日刊ゲンダイ
ここにきて急激に円安が進んでいる。10月初旬には1ドル=100円前後でウロチョロしていたが、ここ数日は110円台に突入。アッという間に1割ほど安くなった。
一方、株価は急上昇し、終値で10カ月半ぶりに1万8000円台を回復。これまで伸び悩んでいた輸出関連など幅広い銘柄に、円安期待効果で買いが集まっている。つい最近まで年間ベースで5年ぶりに下落するとみられた弱気相場がまるでウソのように、市場から「年内2万円台もあるぞ」と威勢のいい声が聞こえてくる。
一気に円安・株高へと大きくふれた相場を見るにつけ、“黒田バズーカ”なんて何の成果も挙げていないのだなと、改めてつくづく思い知らされる。
言うまでもなく、マーケットのこうした激変は、良かれ悪しかれトランプ・ショックがもたらしたものだ。超大国のリーダーが、とんでもない「怪物」に代わると分かった途端、世界のあらゆる市場に激震が走った。
今のところ、向こう10年間で1兆ドル規模のインフラ投資宣言など、トランプ氏が掲げる大型財政出動への期待から、ドルへの買い注文が殺到。ドル以外の通貨が軒並み下落する「トランプ買い」現象により、相対的に円も安くなったわけだ。つまり日銀の黒田総裁が指をくわえている間に、あれよあれよと円安・株高に転じたのである。
やれバズーカだ、異次元緩和だ、揚げ句はマイナス金利だ、とあの手この手で黒田日銀がさんざっぱらマーケットを刺激しても、ここ数カ月はビクともしなかった。怪物大統領が誕生した直後の急変は、いかにマーケットが国際関係の変化によって動いているかの証左で、黒田日銀がいくら局地戦で小手先戦術を繰り出したところで、大勢には影響を及ぼさない。巨大な国際マーケットの前では「役立たず」であることを大いに物語っている。
■気がかりな脱EUラッシュ
それにしても、トランプ氏の「アメリカ第一主義」と「極端な保護貿易への傾斜」によって、世界の経済は一体どうなるのだろうか。年末から来年にかけて欧州は選挙ラッシュだ。排外主義を掲げるマリーヌ・ルペン党首率いる国民戦線が躍進するフランスをはじめ、イタリア、オランダ、ドイツでも「イギリスに続け」とばかりに脱EUの動きが目覚ましい。
1958年にEECが発足して以来、EC、EUと展開してきた欧州一体化の流れが、今や予断を許さない状況になっている。EU離脱ラッシュが巻き起これば、共通通貨ユーロは存在価値を失ってしまう。それこそ、トランプ氏の目指す「偉大なるアメリカ」のスローガン通り、唯一の国際通貨としてドルの支配力はますます強まっていくことになる。
そんな為替環境で、この国の経済はどうなっていくのか。まったく先が読めない状態に置かれている。
高橋乗宣 エコノミスト
1940年広島生まれ。崇徳学園高から東京教育大(現・筑波大)に進学。1970年、同大大学院博士課程を修了。大学講師を経て、73年に三菱総合研究所に入社。主席研究員、参与、研究理事など景気予測チームの主査を長く務める。バブル崩壊後の長期デフレを的確に言い当てるなど、景気予測の実績は多数。三菱総研顧問となった2000年より明海大学大学院教授。01年から崇徳学園理事長。05年から10年まで相愛大学学長を務めた。
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