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FBIお墨付きでも安心できず、投資家はトランプ氏の逆転勝利警戒
Anchalee Worrachate
2016年11月8日 07:03 JST
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米国株:急反発、S&P500は10日ぶり上昇−FBI発表で安心感
NY原油(7日):7営業日ぶりに上昇、クリントン氏勝利観測広がる
米国債:下落、クリントン氏勝利の公算拡大で逃避需要が後退
大統領選:両候補とも重要州に力−クリントン氏優位で迎える決戦前夜
クリントン氏メール問題でFBI結論は全てを変えたわけではない
オールド・ミューチュアルはヘッジを維持、逆転可能性排除できず
連邦捜査局(FBI)がヒラリー・クリントン氏の電子メール問題について再調査でも犯罪に当たらないとの結論に達した後も、一部の大手機関投資家は米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利した場合に備えたヘッジを維持している。
ミレニアム・グローバル・インベストメンツは、共和党候補のトランプ氏勝利の確率がまだ35%あると考えている。オールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズは、大方の予想に反してトランプ氏が勝利する可能性を排除することはできないとみて、ヘッジを維持している。ジャナス・キャピタル・インターナショナルも同じ考えだ。3社の運用資産は合わせて5000億ドル(約52兆2800億円)を超える。
投資家はトランプ氏の逆転勝利警戒
投資家はトランプ氏の逆転勝利警戒 Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
世論調査は若干のクリントン氏リードを示す。FBIの結論は同候補に追い風ではあるが、投資家は英国が欧州連合(EU)離脱を選んだ国民投票が忘れられない。世論調査で劣勢の側が逆転する可能性を過小評価してやけどをするのを避けることに全力を注いでいる。
ミレニアム・グローバルのマネーマネジャー、リチャード・ベンソン氏(ロンドン在勤)はFBIの判断について「これで全てが変わるとは確信できない。この新展開を受けて自分のポジションを変えることはしていない。世論調査の差を急速に縮小させたトランプ氏の勢いは止まるかもしれないが、問題は静かなトランプ支持者がどれだけいるかだ」と話した。
ベンソン氏は詳細には触れなかったが「リスクに対して割が良く、下値が限定的なポジションを多数」持ち、選挙結果にヘッジしていると明らかにした。
ジャナスの運用者、ライアン・マイアーバーグ氏は、6日のFBIの「ニュースの後、大きな動きは何もしていない。ポートフォリオの下方向リスクを管理することに焦点を当てている。クリントン氏の勝利を予想はしているものの、トランプ氏勝利の確率約30%というのは極めて高い数字だ」と語った。
オールド・ミューチュアルのマーク・ナッシュ氏も、クリントン氏勝利とその反応によるドルと債券利回りの上昇を予想しているが、逆の結果になった場合のためのヘッジを減らすことはしていないと述べた。
原題:Unfazed by FBI Twist, Investors Hold Onto Trump-Upset Hedges(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGA941SYF01X01
日本株は続伸で始まる、米大統領選の不安後退−直近下落業種が高い
長谷川敏郎
2016年11月8日 07:58 JST 更新日時 2016年11月8日 09:21 JST
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米国株:急反発、S&P500は10日ぶり上昇−FBI発表で安心感
NY原油(7日):7営業日ぶりに上昇、クリントン氏勝利観測広がる
米国債:下落、クリントン氏勝利の公算拡大で逃避需要が後退
FBIお墨付きでも安心できず、投資家はトランプ氏の逆転勝利警戒
8日の東京株式相場は続伸で始まった。米国の大統領選挙でクリントン候補優位の見方が強まったことや為替など金融市場の安定から、自動車や精密機器など輸出関連の一角、海運や保険など直近で下げが大きかった業種が上昇。市況高が追い風となる非鉄金属株も高い。
TOPIXの始値は前日比4.77ポイント(0.4%)高の1367.57、日経平均株価は65円49銭(0.4%)高の1万7242円70銭。
米大統領選投票日を翌日に控えた7日、民主党候補ヒラリー・クリントン氏の小幅リードが複数の世論調査で示された。NBCニュース/ウォールストリート・ジャーナル調査やABCニュース/ワシントン・ポスト調査などでは4ポイントの差でクリントン氏が共和党のドナルド・トランプ氏を上回った。また、ネイト・シルバー氏のサイト、ファイブサーティエイトでの選挙予測ではクリントン氏勝利の確率が69%、ニューヨーク・タイムズ紙の予測モデルでは84%となっている。
クリントン氏優位
クリントン氏優位 Photographer: Pete Marovich/Bloomberg
クリントン氏勝利の観測から7日の米国株市場は大幅高となる一方、逃避需要が減退した米債券市場は下落。クリントン氏勝利の場合は米金融当局による12月の利上げの可能性が高まるとみられており、先物市場に織り込まれる12月の利上げ確率は80%と、前週末の76%から一段と上昇した。きょう午前の為替市場ではドル・円相場が1ドル=104円台半ばと、東京株市場の7日終値時点104円37銭に対して落ち着いた動きとなっている。
日経平均は世論調査などでのトランプ氏優位が伝えられた後、政策不透明感や米早期利上げ観測の後退から2日と4日の取引で計537円下落した。昨日は272円高となり下げ幅の半分を取り戻した。過度な警戒感が和らぐことで、直近の下げが大きかった業種には見直し買いや買い戻しが継続しやすい状況だ。1日終値からきのうまでの東証33業種の騰落率では、海運や保険、パルプ・紙、非鉄、輸送用機器などの下落率が大きかった。非鉄株は7日に銅やニッケルなど金属市況が上げていることも追い風となっている。
SMBCフレンド証券投資情報部の松野利彦チーフストラテジストは「どちらが勝利するかでこれまで振り回されたが、ようやくクリントン候補勝利の見方で固まりつつある。政策の予見可能性が高いことからマーケットとしては安心感がある」とし、きょうでクリントン候補勝利を株価は「7−8割程度織り込みそうだ」と述べた。
もっとも、米連邦捜査局(FBI)のコミー長官がクリントン候補による国務長官時代の私的な電子メール使用は犯罪に相当しないという結論に変更はないと伝えたことは、きのうの東京株市場では先行して織り込んでいた面もあり、朝方の日本株の上げ幅は限定されている。「仮に接戦になるとトランプ候補が敗北宣言しないことや訴訟を起こす可能性があり、12月の選挙人投票まで不透明感が残ることもありえる」と松野氏は述べ、投票結果が明らかになる日本時間あす午前まで次第に様子見ムードが強まりそうだと予想していた。
東証33業種ではゴム製品、精密機器、保険、輸送用機器、証券・商品先物取引、空運、パルプ・紙、非鉄、海運が高い。鉱業、倉庫・運輸、陸運、建設などは安い。
東証1部売買代金上位ではソフトバンクグループ、アステラス製薬が高い。決算が好感されたブラザー工業、みずほ証券が格上げしたスズキも上げている。半面、決算失望のいすゞ自動車や浜松ホトニクスは安く、国際石油開発帝石も軟調。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGAN476TTDSP01
米国株:急反発、S&P500は10日ぶり上昇−FBI発表で安心感
Joseph Ciolli
2016年11月8日 06:36 JST 更新日時 2016年11月8日 07:29 JST
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NY原油(7日):7営業日ぶりに上昇、クリントン氏勝利観測広がる
米国債:下落、クリントン氏勝利の公算拡大で逃避需要が後退
FBIお墨付きでも安心できず、投資家はトランプ氏の逆転勝利警戒
大統領選:両候補とも重要州に力−クリントン氏優位で迎える決戦前夜
7日の米国株は反発。S&P500種株価指数は1980年以来最長の連続安を脱し、10日ぶりに上昇た。この日は銀行やテクノロジー、製薬が上げを主導。JPモルガン・チェースやマイクロソフトはいずれも急伸した。
米連邦捜査局(FBI)のコミー長官は6日、米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏による国務長官時代の私的な電子メール使用について、犯罪に相当しないという結論に変更はないと伝えた。7日の米国株式市場では安心感が広がった。
ウェドブッシュ・セキュリティーズ(ロサンゼルス)の株式トレーディング担当マネジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「先週末まで9日続落だった。ドナルド・トランプ共和党候補が勝利する可能性が市場に強い警戒感をもたらしていた」と述べ、「クリントン候補の電子メール問題に関するFBIの発表で、警戒感はある程度取り除かれた。8日の投票に伴い、週内は強いボラティリティがみられることは確実に分かる」と続けた。
S&P500種株価指数は前営業日比2.2%上昇の2131.52で終了。ダウ工業株30種平均は371.32ドル(2.1%)高い18259.60ドル。ナスダック総合指数は2.4%上昇した。
NY証取のトレーディングフロア
NY証取のトレーディングフロア Photographer: Michael Nagle/Bloomberg
FBIは10月28日、クリントン氏が国務長官時代に私的な電子メール・サーバーを使っていた問題をめぐり調査を再開したことを明らかにした。
マックイーン・ボール・アンド・アソシエイツ(ペンシルベニア州ベスレヘム)の最高投資責任者(CIO)、ビル・シュルツ氏は「調査終了によって状況が若干明確になった」と述べ、「これで大統領選をめぐる主な不透明感の緩和、もしくは除去に近づいた。それが株式市場のポジショニングにも見て取れる」と続けた。
企業の決算シーズンも終わりが近づいている。S&P500種採用企業のうち約85%がすでに決算を発表した。このうち売上高が予想を上回った企業は56%、利益が予想を超えたのは76%だった。アナリスト予想によれば、S&P500種企業の第3四半期決算は2.5%の増益。
米食品流通大手、シスコは上昇。同社第1四半期の利益がアナリスト予想を上回ったことが好感された。
原題:Anxiety Drains From Market as S&P 500 Rallies After FBI Letter(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGAJ9K6VDKHT01
NY原油(7日):7営業日ぶりに上昇、クリントン氏勝利観測広がる
Mark Shenk
2016年11月8日 05:56 JST
7日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が7営業日ぶりに上昇。大統領候補ヒラリー・クリントン氏のメール問題で米連邦捜査局(FBI)が訴追しないとあらためて決定したことから、同氏当選の観測が広がり、金融市場は広く堅調となった。石油輸出国機構(OPEC)のバルキンド事務局長は減産合意について、ロシアも「同調している」と述べた。
マクロ・リスク・アドバイザーズ(ニューヨーク)のエネルギー担当チーフストラテジスト、クリス・ケッテンマン氏は「米大統領選挙はあらゆる市場で最前列中央に位置する材料だ」と指摘。「ロシアがOPECと産油制限で協力する姿勢を固めたとの観測が週末に流れたが、30日の会議に焦点を移すのは、8日の投票結果を確認してからだ」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物12月限は前営業日比82セント(1.86%)高い1バレル=44.89ドルで終了。ロンドンICEのブレント1月限は57セント(1.3%)上昇の46.15ドル。
原題:Oil Rises for First Time in Seven Days as Clinton Gets FBI Boost(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGAGB16VDKHU01
米国債:下落、クリントン氏勝利の公算拡大で逃避需要が後退
Brian Chappatta、Lukanyo Mnyanda
2016年11月8日 07:49 JST
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大統領選:両候補とも重要州に力−クリントン氏優位で迎える決戦前夜
7日の米国債相場は下落。米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏が国務長官時代に私的な電子メールを使用していた問題で、米連邦捜査局(FBI)が再調査の結果、犯罪には相当しないとあらためて発表したことから、安全資産としての需要が後退した。
2年債利回りは7営業日ぶりに上昇。クリントン氏勝利の可能性が高まったとの観測が背景にある。クリントン氏勝利の場合は米金融当局による12月の利上げの可能性が高まると、ストラテジストらは予想している。先物市場に織り込まれる年末までの利上げ確率は80%と、前週末の76%から上昇。
MCAP(ニューヨーク)の債券取引責任者、マイケル・フランゼーゼ氏は「米金融当局は可能な限り政治に関わりたくないと考えている」とし、「クリントン氏が勝利すれば世界的に現状維持となる」と語った。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前週末比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.83%。同年債(表面利率1.5%、2026年8月償還)価格は14/32下げて97 3/32。
米金融政策により敏感な2年債の利回りは3bp上げて0.82%。過去6営業日では10bp下げていた。
米労働省が4日発表した10月の雇用統計では賃金の伸び加速が示され、市場では年内の利上げ観測が強まった。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)メリルリンチの世界経済責任者、イーサン・ハリス氏は「金融当局が12月の利上げを強く望んでおり、現在から12月半ばまでに極めて衝撃的なことが起こらない限り当局の認識は変わらないということを市場は受け入れ始めている」と分析。「大統領選にばかり注目が集まっているが、そうした中で金融当局は12月利上げの可能性が極めて高いとのシグナルを静かに発している」と指摘した。
原題:Treasuries Lead Global Bonds Selloff After FBI Absolves Clinton(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGAMPXSYF01X01
【コラム】米大統領選、市場の反応はこうなる−エラリアン
Mohamed El-Erian
2016年11月8日 03:22 JST
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いずれの選挙結果でもボラティリティは高まる公算
基本シナリオ通りでも数年以内に現在の安定試される
米国民は8日、史上最も異様な選挙戦を経て大統領選の投票日を迎える。そこで投資家が留意しておくべき点は多い。
選挙の行方は過去10日間で接戦の様相を呈したが、大方の予想は引き続き民主党候補のクリントン氏勝利だ。一方で同時に行われる議会選は共和党が勝利し、大統領と議会のにらみ合いが長引くというのが最も一般的な予測だと言える。この場合、市場の反応は比較的穏やかで秩序立ったものになる公算が大きい。株式は全体としてレンジ内の動きにとどまり、債券や為替もそうなるだろう。
この基本シナリオに加え、2つの「テールリスク」が存在する。
共和党候補のトランプ氏が大統領選で勝利し、従来の通商関係を崩す政策姿勢、つまり中国やメキシコ製品に対する関税強化や、北米自由貿易協定(NAFTA)撤回をすぐさま実行に移す意思をあらためて表明すれば、株式市場は急落するだろう。同氏が信頼できる代替案の提示もなくドッド・フランク法の即時停止など、金融システムの将来像に不透明感を生み出す場合、市場の下げはいっそう大きくなる。
この第1のテールリスクシナリオでは、株式市場の混乱が投資適格級とハイイールドの両方の社債にも広がる恐れがある。国債市場の反応はより微妙になる可能性が高い。普通国債は低成長見通しとインフレ上昇期待の間で綱引きが続く。インフレ連動国債(TIPS)などインフレに敏感な証券は、財政政策主導によるインフレ加速の可能性が高まることから、市場がこれらの証券の見通しを上方修正しそうで、不透明性は後退する。
もう1つのテールリスク、クリントン氏だけでなく議会選でも民主党が勝利して同党が議会の過半数を握る場合も、株式市場は売りに見舞われる。特定の業界(製薬や従来型エネルギー)の動きは、いっそう大きくなるだろう。財政出動の可能性が上昇し、債券市場も売り圧力にさらされる。
この2つのテールリスクシナリオで、為替には異なった影響が出る。トランプ氏勝利で保護主義的な政策が打ち出される場合、ドル高が実現することになりそうだ。通商戦争になれば、当初は米国とその主要貿易パートナーの両方が打撃を受けるだろうが、米国経済はあまり開かれていないため失うものが比較的少ない。対照的に、民主党大勝のシナリオではドル安に動く。
クリントン大統領誕生、議会は共和党支配が続くという基本シナリオの下では、低いが安定した経済成長、金融市場の低いボラティリティーという2つの特徴が持続すると見込まれている。これは市場の一致した見方ではあるが、向こう数年で試される公算が大きいことを個人的に指摘しておきたい。
まず第1に、低成長の長期化はそれ自体が混乱の要因を助長する。もう1つは金融市場のボラティリティーを抑えている中央銀行の政策効果の持続性が問われていることだ。一部の中銀はこの能力が低下したことを露呈した(円相場における日銀の影響力低下がいい例だ)。米連邦準備制度など別の中銀は以前のような政策の実施に消極的だ。さらに欧州中央銀行(ECB)や中国人民銀行を含む多くの中銀は、意図しない結果や副作用に対する脅威が大きくなっているため多くを語ろうとしていない。中央銀行の政策効果については懐疑的になる必要があろう。
(モハメド・エラリアン氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピー編集部の意見を反映するものではありません)
原題:How Markets Will React to U.S. Elections: Mohamed A. El-Erian(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-11-07/OGA1116K50XW01
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