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新興国の企業債務膨張
金融緩和背景、7年で3倍 世界経済のリスクに
【シンガポール=吉田渉】アジアや中東など新興国の企業が抱える債務が膨張している。最近7年余りで債務残高は3倍近い25兆ドル(約2600兆円)まで膨らみ、増加ペースは経済成長を大きく上回る。外貨建ての借り入れも多く、米国が年内に利上げすれば新興国通貨の下落から返済負担が増し、企業経営を圧迫する。雇用や投資の抑制など世界経済のリスクとなる恐れがくすぶる。
巨額債務が新興国の企業経営の重荷となっている(6月に経営破綻したブラジル通信大手オイの店舗、サンパウロ)=ロイター
国連貿易開発会議(UNCTAD)は9月の報告書で「債務激増への警報が鳴り響いている」と指摘した。国際決済銀行(BIS)によると、新興20カ国・地域の企業(金融機関を除く)の債務残高は2008年末の約9兆ドルから16年3月末には25兆ドルへと増えた。ほぼ同じ期間にこれらの国・地域の名目国内総生産(GDP)が1.5倍の増加だったのと比べ、借金の増え方は急激だ。
先進国の企業の債務残高が約35兆ドルとほぼ横ばいで推移しているのを見ても、新興国企業の借金の急増ぶりが際立つ。08年のリーマン・ショック以降、世界的な金融緩和により低利での資金調達が可能になり、新興国企業は借金を膨らませた。特に中国企業の借り入れが3.8倍と大きく拡大し、トルコ企業の債務残高も2倍超に膨らんだ。
外貨建て債務も多い。QUICK・ファクトセットのデータによると、日本経済新聞が選出したアジア主要企業「Asia300」のドル建て社債残高は、15年末時点で2660億ドル。08年末に比べて2.5倍に増えた。現地通貨建ての市場整備が進んで全体に占めるドル建ての割合は6割から4割に低下したが、なお依存度は高い。
借金頼みで投資を続けてきた新興国企業を世界経済の回復の弱さが直撃している。計画に収入が届かず、借金返済が滞る構図だ。シンガポールでは海洋油田開発関連スワイバー・ホールディングスが7月末に資金繰りに行き詰まり、更生手続きに入った。ブラジルの通信大手オイも6月、巨額の負債を抱え破綻した。
返済負担はさらに膨らむ見通しだ。BISは8月、新興国企業が10年以降に大量発行した社債が償還期限を迎え、16〜18年の償還総額は13〜15年に比べて4割多い3400億ドルに達すると指摘。借金の借り換えが円滑に進むか懸念を示した。
加えて、米国の年内利上げ観測も不安材料となる。米利上げでドル高が進めば、自国通貨に換算した返済額は膨らむ。
焦点となるのは、米利上げに伴うドル高のペースと、投資マネーの動きだ。センテニアル・アジア・アドバイザーズ(シンガポール)のマヌ・バスカラン最高経営責任者(CEO)は「新興国からの資金流出が緩やかなら、対処は可能だ」とみている。米経済の回復に伴う販売増で、債務返済に必要な資金は確保できるとの見方だ。
一方で、米利上げのペースが市場の想定を上回れば、マネーが一気に逃げ出すリスクが新興国経済に追い打ちをかける。国際金融協会(IIF)によると、新興国市場への資金流入額から流出額を引いた「純流入額」は今年3〜8月の半年間に1075億ドル。この時期に米利上げ観測がいったん遠のいたことなどで、昨年通年の2倍超の水準に達した。それだけ投機的な要素も強い。
ドル高が進んで借金の返済負担が増え、投資マネーも海外に流出すれば、新興国の企業は資金繰りの手当てに追われることになる。投資や雇用の抑制を招き、実体経済を下押しする悪循環に陥る懸念が浮上している。
[日経新聞11月1日朝刊P.7]
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