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16万円を諦めるか、200時間多く働くか、社会保険適用拡大で深まる悩み
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161104-42017727-bpnet-life
nikkei BPnet 11/4(金) 11:40配信
10月1日から社会保険適用範囲拡大がスタートした。前々回の中村薫氏の記事では、議論の対象となっている社会保険(厚生年金保険と健康保険)の意義を述べていた。今回は家計面から新制度を見ていこう。
●従来並みを得るには200時間多く働くことに
中村氏が述べていたことの繰り返しになるが、まずは社会保険適用拡大の対象になる要件を確認しておこう。
・勤め先の従業員が501人以上
・1年以上の雇用期間(更新で継続される場合も含む)で雇われている
・週20時間以上の勤務(残業分は除く)
・1カ月の給料が8万8000円以上(残業代、通勤手当などを除く)
・学生ではない(夜間・定時制学校を除く)
次に、今回の改正により社会保険加入の適用になった場合、どの程度の影響となるかをみていこう。たとえば年収が約129万円(月収:約10万8000円)、東京都、協会けんぽ、40歳未満の人の場合、改正前(130万円の壁)では、雇用保険料、所得税・住民税で約5万2000円を負担する。したがって手取りは約124万4000円となる。
同様のケースが、改正後(106万円の壁)ではさらに厚生年金保険料、健康保険料も負担することになり、その合計は約21万円(所得控除が増える分、所得税・住民税は少し安くなる)。手取りは約108万6000円で16万円の減収だ。
もし従来並みの手取りを目指すのであれば150万円程度の収入が必要だ(雇用保険料、社会保険料、所得税・住民税で約26万4000円の負担)。つまり時給1000円のパートであれば年間200時間、週に約4時間、勤務時間を増やさないといけないことになる。
年収106万円(月収:約8万8000円)であれば、改正前の手取りは約104万8000円だったものが、改正後は約89万円となってしまう。
さらに夫の扶養から外れると、夫の配偶者控除がなくなり、会社の家族手当なども適用外になる可能性が高い。なお夫の配偶者特別控除は残っているが、要件や控除額は狭まる。
今後収入が106万円以上となり厚生年金加入対象となった場合は、以下の3つのパターンになる。
@妻の手取りが下がる+夫の控除・手当がつかなくなる A妻の手取りは維持する(就業時間は増える)+夫の控除・手当がつかなくなる B妻の手取りが、夫からなくなる控除・手当以上に増える
よく「妻のパートがあれば世帯収入がアップする」と言われてきたが、このうちBでないと、少なくとも目先の世帯収入は上がらない。
■高齢のパート主婦は要注意
ところで今回の改正で対象になる妻がいる場合、もうひとつ注意することがある。年金受給にあたっては、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある夫が65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で、その人に生計を維持されている65歳未満の妻がいるときに加算される、「加給年金」という年金版家族手当のようなものがある。
さらに配偶者加給年金に加え夫の生年月日によっては特別加算額もある。昭和18年4月2日以降の生まれであれば合計は約39万円(平成28年度水準)となり、けっこうな金額といえる。妻が年下の場合、妻が65歳になるまでこれをもらい続けることができるのだ。
ところが加給年金受給に際しては、妻の厚生年金保険被保険者期間が20年以上で、妻が自分の厚生年金を受給するようになると停止されるというルールがある。
注意が必要なのは、昭和41年4月1日以前に生まれで現在65歳未満の妻だ。65歳未満で特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給資格を得るので、厚生年金加入拡大が適用され20年以上の被保険者となればこのルールに該当し、妻が65歳になるのを待たず支給停止となる。
たとえば昭和37年4月1日生まれでパート収入が120万円(手取り約101万円)の妻だとすると、5年間で本人の手取りは約505万円。しかし62歳になったら夫の加給年金は停止される。その額は1年分の手取り以上となる約120万円だ。それなら年収100万円で抑えても本人の手取りはほぼ変わらず、夫の加給年金がつくほうが良いと思ってしまう人がいてもおかしくはない。
なお昭和41年4月2日以降に生まれた妻であれば、もともと特別支給の老齢年金はないので、この問題は気にする必要はない。
■結局、どんな働き方が良いのか!?
筆者も、社会保険料を納めてでも女性が安心して長期に就業でき、経済的に力をつけられるようになることは大賛成だ。しかし現実的には、将来増額される年金より今の手取りがほしい世帯や、育児や介護のため長時間働きたくても家を空けられない人も多く、やむなく年収106万円未満に抑える選択をする世帯があることも理解できる。一方でこれを機にキャリアアップを目指し、収入や将来の年金増額を目指す人もいる。
このように家族構成や年代によってお金が必要な時期、必要な度合いは異なる。また今後働ける時間や年数、時給なども違う。世帯収入を左右する要因が社会保険料だけでない。また、育児期間が終わるなど、家庭の事情が変われば再び働き方が変わるかもしれない。したがって現時点の環境や手取りだけで今後の働き方を決めてしまうのは性急だ。キャリアプランやライフプランに応じてキャッシュフロー(将来にわたっての家計の収支の流れ)を見ながら柔軟に検討することをお勧めしたい。
2017年度の税制改正で、配偶者控除を廃止し「夫婦控除」にすることは見送られた。今後慎重な議論が必要とのことで、どのような内容になるかはわからないが、夫婦単位を前提とした控除は、妻の働き方にハードルを設けてしまいやすい。また今後の方向性として控除が拡大されることはないはずだ。控除を前提に働き方を考えると、制度改正のたびに振り回されることになる。女性が控除を気にせず、個人として経済力をつける方向に意識を変えていく覚悟もいずれは必要になろう。
もちろんそのためには、待機児童の解消など女性が働きやすいインフラを国が整備してくれることが必須ではあるが、社内や家庭においての男性の理解や協力が欠かせない。女性のひとりとして、男性にも今回の改正を機に、ぜひ女性の働き方や夫婦のあり方、家事・育児の分担などについて改めて考えていただくことをお願いしたい。
(「お金」見直し応援隊)
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