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スペイン・マドリード(Madrid)のスペイン広場(Plaza de Espana)に面した歴史的建物「エディフィシオ・エスパーニャ(Edificio Espana)」(2014年6月5日撮影)。(c)AFP/GERARD JULIEN〔AFPBB News〕
国際舞台で派手に転ぶ中国人投資家 驕りにかけては欧米並み、買収計画が相次ぎ頓挫
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48296
2016.11.3 Financial Times
中国に初期に投資した欧米人の一部は、あまりにもひどい失態を演じた。どうしてそんなことができたのか不思議に思わざるを得ない。
英国のビール大手バスは、1990年代に中国の「開かれた門戸」をくぐって進出したとき、「紅い口」と呼ばれる地方企業の荒っぽい起業家たちを現地パートナーに選んだ。
次に、冬には凍りつき、夏には洪水に見舞われる北朝鮮に近い僻地にビール工場を建てた。そこは物流があまりにお粗末だったため、値段が高すぎるバスのラガービール「テネンツ」が中国南部の大きな市場に届くまでに2カ月もかかることがあった。怒りが渦巻き、両社の関係は破綻した。バスは2000年に中国事業からの撤退を決めた。
今度は、中国の投資家が似たような愚行に手を染める番だ。中国企業は今、世界に打って出ることを促す「走出去」という中国政府の通達の実現を追求しているが、驕りたかぶって独りよがりな自己欺瞞の才能にかけては、少なくとも欧米の投資家たちに引けをとらないことが明らかになりつつある。
2015年半ば以降、400億ドル近い中国のM&A(合併・買収)計画が葬り去られた。安全保障と競争の面から各国政府が懸念を募らせていることが主な原因だ。この数字には、半導体製造装置メーカーの独アイクストロンに対する6億7000万ユーロの買収提案は含まれていない。ドイツ政府は10月、「これまで把握していなかった安保関連の情報」を入手したことで、先に出していた承認を撤回した。
中国勢のM&Aが承認された後であっても、大々的な問題勃発に至ることがある。往々にして、デューデリジェンス(資産査定)の欠如がその原因だ。
中国有数の富豪である不動産王の王健林氏は今年、スペインのニュースサイト「ペリオディスタ・デジタル」に対し、フランコ時代から存続するマドリードの象徴的なビル「エディフィシオ・エスパーニャ」を2014年に2億6500万ユーロで取得した後、「犬のような扱いを受けた」と語ったと報じられた。
同氏の率いる大連万達集団(ワンダ・グループ)は、その発言を否定している。だが、文化財として保護されている25階建てのビルを解体・再建する同社の計画の申請をマドリード市当局が却下したとき、王氏の怒りを隠す術はなかった。
同氏は今年、国営テレビで「もう2度と投資しない」という脅しを口にしながら、この論争が教訓になったと語った。建設許可は海外投資に先駆けて取得すべきだというものだ。ワンダ・グループは今、このビルを売却している。
中国自身の企業文化は、欧米企業と協力する習慣という意味で多くを与えてくれない。トップが常に、長を意味する「總」として知られる国において、企業のヒエラルキーに対する極端な敬意は息が詰まるような環境を生むことがある。最高経営責任者(CEO)が海外M&Aについてすべての決断を下すことにこだわる場合は、特にそうだ。
厳格な服従は、現場のチームからの意見を妨げ、デューデリジェンスと現地の知識、文化的な理解における弱点を悪化させることがある。こうした状況すべてが、コンサルティング会社ボストンコンサルティンググループ(BCG)の調査によると中国企業の海外買収の約3分の2が問題に突き当たるという事実を説明する一助になる。
中国の複合企業、中国中信集団(CITICグループ)は、現地パートナーのクライブ・パーマー氏との長引く法的論争の後、オーストラリアの鉄鉱石プロジェクトで25億ドルの評価損を計上した。パーマー氏は公の場で、中国人のことを「ろくでなし」、「自国民を撃つ卑劣な奴ら」などと批判した。同氏は後に、この発言について謝罪している。
また、寒々とした経験は、中国政府が外交上先鞭をつけた国では事業が比較的安全だという一部投資家の前提を覆している。中南米とアフリカの一部では、中国が出資する巨大プロジェクトが相次ぎ放棄されている。政治的な事情の変化と財源の減少の犠牲者だ。
胡錦濤・前国家主席が接近した西アフリカのガボンは、両国関係の冷え込みを受け、ベリンガの鉄鉱石鉱床を開発する35億ドル規模の中国プロジェクトを廃止した。中国から650億ドルの開発融資を受けたベネズエラでは、資金不足のために、総工費8億ドルの高速鉄道建設などのプロジェクトが障害にぶつかった。
そうした災難に見舞われた投資の規模のせいで、海外の中国人投資家は不運か不注意か、その両方であるように見える。それと比較すると、「中国の夢」が潰えてバスなどの外国企業が見舞われた屈辱は、懐かしい趣があるように見え始めてきた。
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