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医療費の支払いに困ったら?知っておきたい貸付制度
http://diamond.jp/articles/-/106716
2016年11月3日 早川幸子 [フリーライター] ダイヤモンド・オンライン
健康保険には、所得に応じて1ヵ月に支払う自己負担額に上限を設けた「高額療養費」という制度があり、実際に患者が自己負担する医療費は低く抑えられるように配慮されている。
がんの治療や移植手術など、高度な医療にも健康保険は適用されているので、際限なく医療費がかかる心配はない。だが、70歳未満の人は、健康保険証とは別に「限度額適用認定証」を事前に用意しておかないと、いったん医療機関の窓口では、年齢や所得に応じた1〜3割の自己負担分を払う必要があるのだ。
たとえば、70歳未満で医療費が300万円かかった場合、窓口負担は90万円。高額療養費の申請をすれば払い戻してもらえるとはいえ、一時的にでも数十万円のお金を用意するのはかなりの負担になる。
そんなときに活用したいのが、「高額療養費貸付制度」だ。
■限度額適用認定証が医療費を抑える近道
病院や診療所を受診すると、会計時に年齢や所得に応じて、かかった医療費の1〜3割を自己負担する。
たとえば、風邪をひいて薬を処方してもらう場合は、初診料と処方せん料などがかかるだけなので、70歳未満の人が自己負担するのは1000円程度。毎月の家計費からでも、支払うのが難しくない金額ではないだろうか。
だが、心臓疾患の手術を受けたり、がんで抗がん剤や放射線などの治療を受けたりすると医療費も高額になる。前述のように、医療費が300万円かかった場合、70歳未満の人が窓口負担は90万円にも及ぶ。
ただし、いずれの健康保険にも「高額療養費」という制度があり、1ヵ月に患者が支払う自己負担額には限度額が設けられている。
高額療養費の限度額は、70歳未満の人は所得に応じて5段階に分類されており、年収約370万〜約770万円の人の場合は【8万100円+(医療費−26万7000円)×1%】。高額療養費が適用されると、医療費が300万円かかった場合の患者の自己負担は10万7430円になる。
だが、医療機関の窓口では、健康保険証を見ただけでは、患者がどの所得区分に分類されている人なのかを判断できない。そのため、以前はだれもがいったん窓口で1〜3割の自己負担分を支払ったあとで、加入している健康保険組合に申請して高額療養費の払い戻し手続きをとっていた。
だが、還付金が払い戻されるのは、申請から約3ヵ月後だ。いずれ払い戻されるとはいえ、その間の資金繰りに困る人もいるため、2007年4月に作られたのが「限度額適用認定証」だ。
限度額適用認定証は患者の所得区分を証明するもので、これを提示すると、医療機関の窓口での支払いが1〜3割の一部負担金ではなく、高額療養費の限度額のみになる。導入された当初は入院時の医療費にしか使えなかったが、最近は通院で抗がん剤治療や放射線治療などが行われ、入院しなくても医療費が高額になるケースが増えているため、2012年4月からは通院でも使えるようになっている。
この限度額適用認定証があれば、医療費が300万円かかっても、窓口で支払うのは90万円ではなく、最初から高額療養費の限度額10万7430円になる
そのため、現状では医療費の持ち出しをできるだけ抑えるためには、限度額適用認定証を利用するのがいちばんいい。入院したり、がんの治療をしたりすることが分かっている場合は、事前に自分が加入している健康保険組合に問い合わせて、認定証を発行してもらうようにしたい。
ただし、事故にあったり、急に倒れて入院した場合は、事前に限度額適用認定証を準備することはできない。その場合は、従前通りに、1〜3割の一部負担金を窓口で支払ったあとで、自分が加入している健康保険組合に申請して、高額療養費の還付申請を行うことになる。
こうしたケースで利用したいのが「高額療養費貸付制度」だ。
■高額療養費支給見込額の8〜9割を無利子で借りられる
高額療養費貸付制度は、当面の医療費の支払いにあてる資金として、健康保険組合が高額療養費支給見込み額の8〜9割を無利子で貸してくれるというもの。おもに中小企業の従業員が加入する協会けんぽは8割まで、市区町村の国民健康保険は9割までとなっている。
「貸付制度」といっても、借りたお金は高額療養費の申請後に還付されるものなので、それを先払いしてくれるというイメージだ。
貸付方法は加入している健康保険組合によって異なり、国民健康保険は高額療養費支給見込み額の9割を直接病院に支払ってくれる。患者が病院の窓口で支払うのは、高額療養費の自己負担限度額に加えて、高額療養費で払い戻される見込み額の1割分。病院の窓口で、とりあえず支払った支給見込み額の1割分は、後日、健康保険組合から還付される。
協会けんぽは、患者に直接、高額療養費の支給見込み額の8割を貸し付ける方法をとっており、申し込みから2〜3週間程度で申込者の銀行口座に振り込まれる。そして、高額療養費の支給額が決定したら、その給付金が自動的に貸付金(支給見込み額の8割)の返済にあてられ、残りの2割が患者の口座に振り込まれる。つまり、高額療養費の給付金で、借りたお金を清算するのだ。
ただし、いずれの健保でも、実際の高額療養費が貸付金より少なかった場合は、その差額を健康保険組合に返納しなければならない。
限度額適用認定証があれば、払い戻しの手間はかからないが、突然の事故や発病などで認定証の入手に時間がかかる場合は、こうした貸付制度があることも思い出してほしい。
■保証人がいれば無利子の生活福祉資金貸付制度
自己負担した医療費が一定額を超えると、高額療養費の対象になり、負担はずいぶんと軽くなる。だが、問題は高額療養費の限度額までは届かないけれど、がんの治療などで数万円の医療費がずっとかかり続けるケースだ。
貯蓄や民間のがん保険などでカバーできればいいが、治療が長引くと、当面の医療費や生活費が心細くなってくることもあるだろう。その場合は、国の「生活福祉資金」の利用を検討してみよう。
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯のほか、障害のある人や介護が必要な高齢者のいる世帯向けの融資制度で、市区町村の社会福祉協議会が窓口だ。
融資額の上限は、原則的に170万円だが、病気の療養期間や介護期間が1年〜1年6ヵ月以内で、世帯の自立に必要と認められると最高230万円まで借りられることもある。
福祉資金は、連帯保証人がいれば無利子で借りられるのが特徴。保証人なしでも年利1.5%の低利となっている。返済が始まるのは最終貸付日から6ヵ月以内で、5年以内に返済する。たとえば、100万円を借りた場合の毎月返済額は、無利子だと1万6000円程度、金利1.5%だと1万7000円程度だ。
ただし、利用できるのは、「住民税非課税程度」「生活保護法の生活扶助基準の1.7倍程度」などの年収要件があり、必要な資金を他から借りられないことも条件となっている。誰でも利用できるわけではないが、要件を満たせば医療費を無利子、または低利で借りられるメリットは大きい。
健康保険の高額療養費貸付制度、国の生活福祉資金貸付制度などの存在を知らないと、銀行のカードローンや消費者金融に手を出しかねない。
だが、これらは実質年率が12〜14%など高利なものが多く、さらに家計を苦しめることにもなりかねない。
もしも、医療費の支払いに困ったら、加入している健康保険や市区町村社会福祉協議会に相談してみよう。
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