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いしだ・いら(右)/1960年、東京生まれ。84年、成蹊大卒業。97年「池袋ウエストゲートパーク」第36回オール読物推理小説新人賞、03年「4TEEN」第129回直木賞、06年「眠れぬ真珠」島清恋愛文学賞、13年「北斗ある殺人者の回心」第8回中央公論文学賞、各受賞。[メ−ルマガジン]石田衣良ブックト−ク『小説家と過ごす日曜日』毎月第2・4金曜日配信中!
なかむら・あつひこ/1972年、東京都生まれ。アダルト業界の実態を描いた『名前のない女たち』(宝島社)、『職業としてのAV女優』(幻冬舎新書)、『日本の風俗嬢』(新潮新書)など著書多数。フリーライターとして執筆を続けるかたわら介護事業に進出し、デイサービス事業所の代表を務めた経験をもとにした『崩壊する介護現場』(ベスト新書)が話題に。最新作は『貧困とセックス』(イースト新書)、『漫画ルポ 中年童貞』(リイド社)。
国に騙されブラック企業へ!?絶望的な若者の貧困最前線
http://diamond.jp/articles/-/106379
2016年11月1日 清談社 ダイヤモンド・オンライン
日本に住む6人に1人が、国民平均の半分以下の収入しかない貧困層だと言われる昨今、特に目立つのが若い世代の貧困だ。格差の固定化、ブラック労働問題、性の貧困化――。現代の若者をとりまく現状は厳しい。負のスパイラルから抜け出せない若者たちのリアルやその背景とは?『池袋ウエストゲートパークXII 西一番街ブラックバイト』を上梓した石田衣良氏と、貧困問題について第一線で取材を重ねてきたノンフィクションライターの中村淳彦氏が意見を交わす。
■江戸時代の士農工商に逆戻り?
格差が固定化する現代の日本
中村 石田さんの最新刊『池袋ウエストゲートパークXII』の最終章では、ブラックバイトを中心に話が進んでいきます。ブラック企業が猛威となったピークは2000年代後半、さすがに見かねた国が動いて、働き方の改革などが提唱されてからは少しずつ改善の動きがあります。しかし、大切な20代の時期に一度そうした企業に搾取されて精神疾患などの被害を負うと、なかなか這い上がれません。
石田 下に落ちても、セーフティーネットがもはや機能していないよね。「自由経済に規制をかけて労働者を守るべき」などといった意見は、昔は左派の主張だったのに、今やそれがリベラルの言葉になってきています。
中村 多くの人が危機感を覚える状況なのでしょうね。介護業界や飲食業界などの労働集約型のブラック企業を見ていても、普通にまじめに働く良心的な人たちの精神が壊れ、気がつけば貧困に陥っている。もはや普通の人が普通の企業に勤めて、それなりに自己実現して豊かに生きていくことは難しいことになっています。
石田 普通に豊かに生きているのは、上位20%ぐらいの少数派かな。今でも、大企業とか、若い人が好きな地方公務員はダメになりにくいでしょう。僕の知っている某大手では、社内結婚がものすごく増えている。年収の高い人同士でくっついて、2人で生涯年収は8億を下らないという。
中村 それでは格差が広がるばかりですね。高所得者カップルが増える一方、低賃金職として固定されている介護職や飲食店員なども職場カップルは多い。同居して世帯収入を上げても、お互いの賃金が低すぎて普通の生活ができないので性風俗に流れちゃう。最近は介護の世界では上層に位置しているはずの事業所管理者とかケアマネジャーまでが風俗でバイトをしているケースがあって、絶望的です。
石田 経済的な格差が固定されている現状を見ると、今になって江戸時代的な身分制度に逆戻りしつつある気がするね。
中村 鈴木大介氏との対談本『セックスと貧困』の中でも触れましたが、沖縄がその顕著な例で、貧困層の子どもは中学校から違法店で身体を売り、18歳になるとキャバクラで働いて、売春から上がれたら一段回ランクアップしたとみなされる、といった過酷な状況でした。
■借金まみれの日本の財政
破綻→ハイパーインフレの現実味
石田 貧困家庭に生まれたら身体を売るしかないっていうのは、それこそ江戸時代以前の貧困層と同じ現状ですよね。時代が一周りしてもとに戻っている。
中村 恐ろしいですね。映画の中の世界だったことが、現実に目の前に広がっている。都市でも地方でも貧困の固定化は進行しています。そんな状況なのに税収が40兆円程度の中で、予算100兆円ぐらいを投入して、借金まみれの中でも老人たちにお金が流れて、支援が必要な若者まで回っていないんです。
石田 まだまだ日本は豊かだと言い張る人もいるけど、そんなはずはない。平均賃金でどれくらいのものが購入できるのか、世界ランキングにすると、日本は韓国よりも2ランク下、そしてスペインよりもひとつ下。昼休みが2時間半あって、昼寝してセックスして会社に行っている国民よりも稼げていないんです。昔と同じ感覚で、ダムだの道路だのインフラに金をばら撒けば経済が持ち上がるって考えだと、地獄を見るはめになるよ。
中村 これからを支える若者にお金を使ってほしいし、支えてあげてほしい。それに今の日本は、風俗や売春する女性が多すぎる。最近はパパ活という愛人探しも若い普通の女性の間で流行っているし、女性の裸のデフレも止まらない。異常事態です。そろそろ日本から風俗や売春する女性を減らす方向に、社会を変えていくことは必須かと。
石田 今のこの現状って、第二次大戦の過程とひどく似通っているんですよ。こんなに戦線広げて、この戦争どうやって終わらせるの?っていうのと同じ状況で、こんなに紙幣を刷ってお金ばらまいて、この金融緩和をどうやって終わらせるのか?多くの人がなんとかなるって信じているけど、いつか敗戦がきます。こうしてみると70年たっても、国のやることって変わらない。
中村 近々、破綻する瞬間が来るってことですか。バブル崩壊どころじゃないですよね。
石田 ただ、日銀も政府もそれを狙っているかも。終戦をむかえたころの日本は今と同じで、とんでもない借金があって、インフレ率は5.7〜6倍ぐらい。でもその後、その借金がハイパーインフレのおかげで、1年で6分の1にまで減るわけ。今でも日本は強い輸出産業があるから、敗戦時と同じようなインフレが起こると借金はチャラになる。その後は国力が回復して経済が強くなる。回復するまでの3年間はどん底、一度阿鼻叫喚の地獄を見るのでしょう。
中村 ハイパーインフレで借金も富裕層の資産も減って、結局リセットされるわけですね。えー、そんなことが本当に起こるのでしょうか。とても想像つきません。
■国家や上層部が若者を洗脳
ポエムを信じた先に貧困が
石田 今ある老人偏重の予算配分は動かせない。若い子たちが著しく割を食っているっていうのが、現在の底辺のリアルなのでしょうね。
中村 池袋ウエストゲートパークの新作にありましたが、美辞麗句で若い子たちを洗脳して操って利益をあげるのは、ブラック企業の常套手段です。さらに奨学金、低賃金非正規労働など、若い子たちに酷いことばかりしている。どうして団塊から上の世代から「自分たちはいいから、若い子をどうにかしてくれ」という声が出てこないのか。
石田 国民的な気質かもしれないけど、震災以降、“絆”とか“お年寄りを大切に”みたいな、だれも逆らえないようなスローガンを多くの人がまっとうに信じるようになった。だから、いまだに老人医療だったり年金だったりに、じゃぶじゃぶお金を使う。その100分の1でも若い人に回せばいいのに。
中村 上位5%の富裕層に入る大手マスコミなり政治家なりの恵まれている人々は、そうした社会のゆがみに気がついてないってことでしょうか。
石田 わかってはいるけど、暗黙の了解で口にしてはいけないのかな?実は僕も震災のあと、NHKに何度か呼ばれて地震の報道番組とかに出た。「頑張ってなんとかみんなで助けあおう」みたいなこと以外、言えない雰囲気なの。それと同じような空気感で、老人医療の削減は口にできない。そうして封じ込められたまっとうな主張ってたくさんあると思う。しかも、今の日本は一度悪役にされると徹底的に吊るし上げられる。だから、みんなが息を殺して生きる。
中村 狭量な人だらけなのは、みんなお金がないからですよ。その半面、ブラック企業や悪質なベンチャー経営者に洗脳される若者はあとを絶たない。取材した中でも、ブラック企業が発信するポエムにハマる子が本当に多くて、何度説得しても洗脳がとれない。
石田 今の時代、人をうまく騙すのが一番いいビジネスでしょう。
中村 国にしても低賃金・長時間労働の介護業界への就労を勧めたりしている。素直な真面目な子たちがその言葉を信じて頑張ったら貧困という。よくそんな残酷なことができるよな、と思って見ています。
石田 振り込め詐欺と似ていません?国の政策にしても詐欺にしても、その裏に気がつかない人からどんどん犠牲になる。もはや、国や組織は手放しでは信用できないから、個々の人が知恵を絞って生き延びるしかない。僕も実際フリーターから始まって実感しているけど、勉強したらどうにか世の中で生き延びていくことはできるから。
中村 石田さんは大学卒業後の数年間はアルバイトで生計を立てていたと様々なところでおっしゃっています。本ばかり読んでいたとか。
石田 そう。というか、バイトしながらお金貯めて、家で本ばっかり読んでいた。でも、そうやって悶々と過ごす先に、意外となにかあったりする。文化的なステージだったりセンスだったりを磨いて、30代以降で勝負するって手はあると思うけどね。とにかく、若い世代には勉強して、自ら生き残る術を考えるべきだと伝えたいね。
■リンクする経済的な貧困と性の貧困
増殖する中年童貞たち
中村 本を読んでインプットしても、そのエネルギーを出す機会がなかったらその後も厳しいですよね。
石田 僕も小説家になれないでこじらせていたら、中村さんが書籍で紹介したような「中年童貞」になっていたかもしれません。
中村 中年童貞は、年を重ねても女性経験がないだけではなく、性格にも難があって本当に生きづらいと思う。自分がツライだけでなく、周囲にも迷惑をかけがちなので面倒な人種です。石田さんが中年童貞というのは、いくらなんでも想像つかないです。
石田 いやいや。ずっとフリーターだったらそうなっていた可能性もあるよ(笑)。中年童貞の話にも関連するけど、やはりお金とセックスは似ている。豊かな人は性生活も豊かで、全然ないところは全然ない。
中村 経済的な格差は、性の格差にも直結してします。
石田 その一方で、お金を持つ人も偏見で凝り固まっていたら、貧しい性生活を送っていたりする。日本人って快楽を学ぶみたいなことをしないですね。昔の若人衆みたいに先輩から教えられることもない。そう考えると、恋愛や性に関しても急速に貧しくなりつつあるのかな。
中村 その傾向は特に男性に顕著です。20代の4割が童貞と言われているし、少子化社会という洒落にならない事態にまで発展してしまいました。
石田 今の若い子たちは、僕らが未来に対して感じていた夢だったり快楽だったり、豊かさとか楽しみとか、すべて諦めて生きている。金を稼ぐにしてもセックスにしても、もっと動物的にガツガツしていってほしいよ。
中村 有り体に言えば、もっとセックスしろってことですね。
石田 そうそう。エロく豊かになる。経済を活性化させるなら、まずは欲望をもたないと(笑)。
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