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黒田日銀総裁(ロイター/アフロ)
マイナス金利で日本国債暴落、はデタラメである…日本の財政状況は資産「超過」レベル
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16935.html
2016.10.19 文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授 Business Journal
日本国債のマイナス金利が、メガバンクや地方銀行の収益圧迫要因となっている、という指摘がなされているが、マイナス金利に関する素朴な疑問を取り上げながら、改めてこの金利政策について考えてみたい。
まず、マイナス金利の実態を正しく理解したい。日本銀行が1月29日に導入を決定したマイナス金利政策は、民間銀行が日銀に持っている当座預金残高総額のうち、230兆円を超える部分に原則として適用する。ということは、民間銀行としては、日銀の買いオペに応じて日銀当座預金が増加すると、「ペナルティを受ける」ということになる。ブタ積みを避けて貸出に回せば、ペナルティはないといえる。
欧州中央銀行では当座預金全部にマイナス金利がかかるのと比較すれば、日銀のマイナス金利は金融機関には優しいものとなっている。
また、昨年1年間の当座預金の平均残高である約220兆円から、銀行が日銀に必ず預けなければいけない所要準備額(約9兆円)を差し引いた約210兆円までは、0.1%の利息がついている。民間企業は民間銀行に当座預金してもほとんど利子はつかないが、民間銀行は日銀に当座預金すると0.1%の利子がつき、年間2000億円以上もらえるわけで、いわば「お小遣い」といえる。
以上の説明より、マイナス金利が直接民間に適用されることはないことがわかる。ただし、日銀の政策変更の結果、金利水準が下がって、金融機関経営が大変になっていると金融機関は訴える。もっとも、ちょっと前には1兆円を超える利益をたたき出した金融機関もあり、すぐに金融機関経営が危なくなるわけでない。
■国債購入は損とは限らない
金利水準の低下としては、国債金利もマイナスになっている。ただし、大雑把にいえば、償還期間が10年の国債でほぼ金利ゼロ、それより短い国債がマイナス金利、長い国債でプラス金利である。
素朴な疑問として、そもそも国債はマイナス金利なので保有すると損をするなら、なぜ銀行はそれでも国債を購入し続けているのか。
国債は資産運用手段のほか、貸出などの待機・準備、他の金融取引のための担保のためにも、金融機関としては保有しておく必要がある。このため、マイナス金利であっても資産運用以外の用途で必要ならば、金融機関として許容できることもある。この意味では、金融機関はマイナス金利の国債購入・所有で損をしているとはいえない面もある。
金融機関としては、国債のマイナス金利によって、他の儲かる金融商品の収益が減ることのほうがより心配である。例えば、銀行の住宅ローンでは高利のものが繰り上げ返済されており、生命保険会社は一部貯蓄保険の販売停止を行っているが、こうした動きは金融機関にとっては収益面でマイナス要因となる。
住宅ローンの繰り上げ返済は、新たに低利ローンを借りて高利ローンを返済すれば、借入者の金利負担は軽くなる。一方、銀行にとっては収益減になる。借入者にとっては大きな魅力なので、かなりの人が利用している。
生保による貯蓄保険の販売停止は、少し事情が複雑だ。
保険には、大きく分けて2種類の商品がある。掛け捨て型保険(定期保険)と貯蓄型保険(終身保険など)である。前者は単純に保障だけを求めるものである。それに対して、後者は保障と貯蓄の2つを求めるもので、掛け捨て型保険と払い込み保険料を運用する投資信託が組み合わさったような商品だ。
個人は保険を代理店や銀行などから購入するが、そのとき、代理店や銀行は保険会社から販売手数料をもらう。掛け捨て型保険の場合、販売手数料は保険契約者が払い込む保険料の半分ほどになる商品もある。貯蓄型保険でも、掛け捨て型保険と投資信託の組み合わせで、販売手数料は10%ほどになる場合もある。貯蓄だけの機能であれば、投資信託より高い手数料になっている。しかも、手数料は払込保険料に含まれており、透明性が低い。
金融庁は、保険商品の販売手数料の透明性が低いことを問題視しており、販売している銀行業界に開示するように求めていたが、保険代理店には求めていない。さらにマイナス金利で銀行業界も手数料を確保したいことから、開示は先送りされている。
保険業界による貯蓄型保険の販売停止は、そもそも商品として成り立たなくなったという理由のほかに、手数料を開示していないので、顧客との無用なトラブルを回避したいという理由もあるだろう。
いずれにしても、金利の低下は、一般の人々にとっては悪いことでない。預金金利はすでにほとんどゼロなので、下がっても痛手は少ない。その一方、借入などではメリットばかりだ。
■日本財政破綻説のデタラメ
それにもかかわらず、マイナス金利は金融機関にとっては「マイナス」なので、悪評が後を絶たない。
その一例を挙げよう。「このままマイナス金利が続くと国債の魅力が失われて、国債が暴落する」というものだ。これはデマに近い。国債だけの魅力が失われるのではなく、他の金利型金融商品の魅力がなくなるが、逆に株式型金融商品の魅力は高まる。
その上で、国債が暴落することがまずない。というのは、日本の財政状況が良いからだ。「国の借金は1000兆円」と煽る指摘が多いが、日銀を含めた政府の連結バランスシートから、右側の負債のみに着目するのでなく、左側の資産をみれば、現時点では借金はほとんどない。
さらに、みえない資産である徴税権を加味すれば、明らかに資産超過である。標準的なファイナンス理論からみれば、日本財政が破綻するという話はホラーと同じレベルである。実際、日本財政が破綻するといわれて20年くらいたっているが、金利は高騰せず円高になっているのは、破綻話がいかにデタラメであるかを示しているだろう。
この破綻説は、保有する国債や銀行預金を売らせて、他の金融商品を取得させる、悪徳商法にも使われる手法なので、この種の話をする人には気をつけたほうがいい。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)
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