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働き方革命2.0
ひとり親にも優しく、出勤日・時間がフリー
労働集約型企業が考える“総活躍”
2016年10月18日(火)
寺岡 篤志
日経ビジネスは10月17日号に特集記事「成長への最後のチャンス 働き方改革2.0」を掲載し、先進企業の事例を取り上げた。こうした企業は、終身雇用という安定を引き替えに無限定の働き方を課してきた日本式の雇用を見直し、社員個人のQOL(生活の質)を上げるに止まらず、会社の生産性アップにつなげている。同一労働同一賃金や長時間労働の是正といった題目を掲げる政府の改革を先取りした動きだ。
一方、非正規社員が大半の労働集約型の中小企業では、必要とされる改革の方向性は変わってくる。大阪府の水産加工会社は出勤日も出勤時間も当日従業員が決めて良いという大胆な改革に乗り出した。中小が思いつきで始めた奇抜な改革と軽んじるなかれ。そこには政府や大企業が忘れがちな重要な示唆が含まれている。
パプアニューギニア産のエビの加工品を生産・販売するパプアニューギニア海産(PNG海産、大阪府茨木市)は2013年から、パート社員が事前申告無しにいつでも好きな日に出勤・欠勤できる「フリースケジュール制」を始めたことで知られる。今年9月からは勤務時間も当日に決められるよう、更に勤務制度を緩和した。それまでは事前に労使間で相談して出勤する日の勤務時間を固定していたが、好きな時間に出社・退勤ができるようになった。
パプアニューギニア海産の従業員は8割以上がパートの女性
3年前からPNG海産で働く女性(32)は小学生の長女と暮らすシングルマザーだ。9月の制度改変前、一日8時間半、平均して週4日出勤していた時の働き方はどうだったか。例えば長女が「学校に行きたくない」とぐずりだしたとき「いいから行ってきなさい!」と追い立てるしかなかった。また長女が体調を崩したときは、状況を見極める前に休むことを決めざるを得ない。丸一日分の給与を犠牲にするかどうか、その判断は母子家庭にとっては死活問題だった。「制度変更後は、少し出勤を遅らせればいいだけ。友達とけんかしたとか、先生に不満があるとか、長女の具体的な悩みを聞ける余裕もできました」。
「政府は“普通の家庭”しか見ていない」
PNG海産の12人の授業員のうち、10人がパート契約。いずれも女性で、シングルマザーや生活費の足しにするため働く主婦らだ。「キャリアアップを前提にした国の働き方改革のビジョンって、旦那さんに一定の収入がある“普通の家庭”しか対象にしてないのかな、と思うことがあります」。フリースケジュール制を発案した武藤北斗工場長はこう語る。
例えば安倍晋三首相自ら本部長を務める「すべての女性が輝く社会づくり本部」が5月に発表した「女性活躍加速のための重点方針2016」。ひとり親支援の項目も掲載されているが、主な具体策は内閣府の「子どもの貧困対策会議」の中で策定している。つまり働き方改革ではなく、福祉の枠組みで対策が議論されており、ひとり親のキャリアアップのビジョンは曖昧なままだ。
ひとり親だから働きにくい、という単純な話ではない。周りに子育てで頼れる親類がいるか、キャリアアップのために一時的に収入を減らせる余裕があるか、あるいは福祉補助を受けることがスティグマ(負の烙印)になるような地域環境かどうかなど、「働く条件」は千差万別。どんな女性も「総活躍」させるためには、一層の働き方の多様化が必要になる。
以前は1週間で離職もざら
武藤工場長は、妻の子育てから改革の発想を得た
PNG海産の10人のパート従業員のうち、8人はフリースケジュール制導入から働いているベテランだ。しかし、以前はたった1〜2週間で離職する女性パートも多かった。武藤工場長は「立ち仕事で楽ではないし、作業も地味。この道で食っていく、というこだわりもパートにはないから、ほかにいい職が見つかれば辞めてしまうのは当たり前だった」と振り返る。宮城県石巻市に会社を構えていたPNG海産は東日本大震災で被災し、大阪で再出発。馴染みのない土地での人材集めはさらに難しくなった。
武藤工場長自身も15〜6歳の3児の父。「恥ずかしながら子育てには全く関わっていない」というが、妻の姿を見ながら、働く女性に定着してもらう方法を考えた。「子どもって、いつも大人の思うとおりにはならない。大人が忙しいときに病気になるし、突然機嫌も悪くなる。余裕のある働き方ができない環境だと、大人はつい子どもを責めちゃって、子どもの不安が増す悪循環。専業主婦のうちの妻でも大変なのだから、働くお母さんは絶対寝不足で作業効率も落ちるに決まっている」。こんな気づきがフリースケジュール制を産んだ。
生産性向上にも寄与
改革の効果は業績にもはっきりと表れている。フリースケジュール制開始前の2013年6月期と比較すると、2016年6月期は売上高が10%増の1億600万円、パート人件費は41%減の700万円になったのだ。
人件費の削減は離職率の低下で新規採用にかける費用が低下したことに加えて「職場の雰囲気が向上して、明らかに作業効率が上がった」(武藤工場長)。9月に勤務時間を自由化した後も「個人の生産性は全く落ちていない」(同)という。
制度の開始当初は週単位で出勤日数を決めるなど、一定の管理体制を敷いていた。しかし、実際には生活費を稼ぐことにシビアなパートタイムの女性は徒に欠勤をすることはない。武藤工場長は「結局、放っておいても勤務時間の合計は平準化されることが分かった。今ではタイムカードの管理以外、完全に放任しています」と話す。
出勤時間を自由化することで、「殿様出勤」する従業員に対して周囲から不満が出ないかという不安もあったが、杞憂に終わった。「人手が少なくて忙しいとき、思いもよらない時間に出勤する従業員がいると、みんな『助っ人が来た』って喜ぶんですよ(笑)。むしろ職場の雰囲気は良くなりました」(武藤工場長)
大企業へのヒントにも
PNG海産の改革はたまたま功を奏しただけの奇策と映るかもしれない。武藤工場長自身も「同じ事を大企業に適応できるとはとても思えません」と語る。しかし、そこには働き方改革が進まない大企業が学ぶべきヒントがある。
「どんな改革をやる時も、従業員からよく聴き取りをした上で、失敗を認めることを恐れずにまずやってみました。駄目ならすぐ止める、ということを従業員にも周知してから取り組んでいます」と武藤工場長は語る。
実際、失敗に終わった改革案もある。例えば、作業効率改善のためのアイデアを募る目安箱。内容に関わらず100円の報償を設定したが「お金のためにやっていると思われるのが嫌で、却ってみんな萎縮した」(武藤工場長)。そして私語。まずはいつでも私語自由にしてみたが、気の合わない従業員同士もいるので、むしろ気を遣い合ってしまう。逆に完全禁止にしてみると、職場がギスギスする。結果的には「正社員が居ないときのみ私語OK」という制度に落ち着いた。
好きな作業のミスマッチ解消
やってみると意外な発見を生んだ改革もあった。昨年末から始めた「嫌いな作業はしなくて良い」という制度だ。武藤工場長の掃除嫌いがきっかけで発案されたもので、単純に好きな作業に専念してもらった方が、作業効率が上がるだろうという思惑だった。しかし、従業員に各作業の「好き嫌いリスト」を作ってもらうと、本人は嫌いなのに周囲が好きだと勘違いしていた作業が多く見つかったのだ。どういうことか。
この人を仮にAさんとしよう。Aさんは容器の洗浄が本当は嫌いなのに、率先してやっていた。Aさんは、自分が嫌いな洗浄は他の人も嫌いだろうと思い込み、責任感から率先して「皆が嫌がる作業」を引き受けていたのだ。そのため、周囲はAさんが洗浄を好きだと勘違いしていた。しかし、実際にはAさんが洗浄を独りでやってしまうため、洗浄が好きなBさんは自分が好きな作業に関われないでいた。作業分担のミスマッチが起きていたのだ。
PNGのフリースケジュール制が奏功した背景には、こうした実験的な試行錯誤の積み上げがある。特集記事でも取り上げた資生堂のように、率先して改革に取り組む会社ほど壁にぶつかる。今、改革の末に生産性の向上という果実を獲得しているのは壁を乗り越えるための軌道修正の能力を備えた会社ばかりだ。
働き方改革は日本に染みついた慣習を打ち破る動きだ。当然、壁は高い。壁に当たる前から壁の高さを推し量ろうと躍起になって動き出せない企業、育児休業などの制度を作っただけで利用率が上がらず、壁に当たったまま動かない企業は、大きく出遅れている。働き方の枠組みが変わったとき、こうした企業の行き着く末路は先進企業への人材流出だ。今、危機感を持って改革に取り組むことが全ての会社に求められている。
このコラムについて
働き方革命2.0
政府が働き方改革の実現に向けて動き出した。
長時間労働の是正、非正規雇用者の待遇見直し…。テーマは山積している。
しかし悪しき雇用慣行を見直すだけでは日本経済は復活しない。強い会社も生まれない。
足元の議論をよそに、先行して働き方改革を実践する企業は知っている。
賃金制度、労働時間、契約形態を抜本的に見直し、社員の生産性を上げれば、企業の競争力は高まり、経済も好循環に入ることを。
働き方革命は新たなフェーズに入った。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/101700076/101700001/
スウェーデンが1日6時間労働を導入している理由「8時間労働は効率的ではない」
Heaaart 2016年10月8日 05時50分 (2016年10月8日 15時15分 更新)
コメント
『クオリティ・オブ・ライフ』という言葉を耳にしたことはありますか?
この言葉には、「恵まれた環境で仕事や生活を楽しむ豊かな人生」という意味があります。
人生を豊かなものにしようと考えるなら、当たり前ですが仕事のことも考えなければいけません。
出典 Flickr
日本では8時間労働が基本で、残業なども合わせるとそれ以上のところも多いようです。
その一方で、スウェーデンでは6時間労働を取り入れる企業が増えているそうです。
6時間労働は体に良い
6時間労働を取り入れる理由の一つに健康の問題があります。
アメリカ人やヨーロッパ人、オーストラリア人など60万人を8.5年間調査したあるウェブサイトで、労働と健康に関するデータを紹介しています。
出典 sciencealert
そのサイトによると、週に55時間働く人は週に35〜40時間働く人に比べ、脳梗塞のリスクが35%高いという結果になっています。
脳梗塞だけではなく、冠状動脈疾患のリスクも13%高いようです。
病気の原因はさまざまありますが、長時間労働もその原因の一つになっているのかもしれません。
また、スウェーデンの企業が6時間労働を取り入れいている理由は「健康の問題」だけではありません。
8時間労働より効率があがる
8時間より6時間労働の方が効率良く仕事が出来るといいます。
働く人がプライベートの時間を充実させることで、体力も温存させられる。
その結果、集中して仕事に取り組むことが出来、高い質で仕事をこなせるようです。…
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スウェーデンのイェーテボリにあるトヨタ・サービスセンターでは、13年前から労働時間を6時間に変更しています。
ここでは人事異動も少なくして、社員の満足度を上げているそうです。
それにより、新しい人材の確保もしやすくなったといいます。
このサービスセンターは機械の効率的な使用、資本コストの低下などの影響もあり、利益が25%も上昇しているそうです。
病院や老人ホームでも取り入れられる
6時間労働を取り入れているアプリ制作会社のCEOは、ある取材に対しこう答えています。
8時間労働は人々が考えるほど効率的ではありません。
8時間も仕事に集中し続けるのは、非常に困難です。 しかも仕事の後にプライベートな時間をやりくりするのが、とても難しくなっています
出典 Flickr
労働時間が短縮される分、社員たちは効率的に働かなければなりません。
このアプリ会社ではミーティングを短かめに設定したり、気を散らすものをオフィスから取り除いているそうです。
その結果、6時間労働で効率も上がり、仕事が終わった後にも十分に体力が残っているのだそう。
スウェーデンでは、企業だけではなく病院や老人ホームでも労働時間を6時間にする動きがあります。
社会全体的に見て「長く働くことに価値がある」と思いがちな日本でも、この6時間労働を取り入れると効率がよくなるかもしれませんね。
「ブラック企業大賞2015」候補発表〜セブンイレブンなど6社
出典 YouTube
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