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老後「住宅格差」、カネ次第のエゲツない実態…洗面所・浴室共同で学生アパート並みも
http://www.asyura2.com/16/hasan114/msg/480.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 10 月 18 日 00:41:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

              サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム(「国土交通省 HP」より)


老後「住宅格差」、カネ次第のエゲツない実態…洗面所・浴室共同で学生アパート並みも
http://biz-journal.jp/2016/10/post_16929.html
2016.10.18 文=山下和之/住宅ジャーナリスト Business Journal


 1戸当たり最大100万円の補助金が出ることもあって、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が増え続けています。筆者は取材、見学などに訪れることが多いのですが、その内容は千差万別でピンきり、各施設の間には雲泥の差があって、まさに「サ高住の沙汰も金次第」と考えさせられます。

■国土交通省マターの「住宅」としてスタート

 わが国では、有料老人ホームなどの高齢者向け「施設」の数は欧米先進国レベルに達しているものの、高齢者向けの「住宅」はまだまだ不足しています。この高齢者向け住宅の確保という点から2011年にスタートしたのが、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)です。

 高齢化社会の進行につれて新築住宅の減少が避けられないため、国土交通省としては高齢者向けの分野に本格的に参入、その存在感を維持しようとする狙いがあったともいわれています。

■目標の100万戸まではまだまだ遠い道のり

 ともあれ、そうした狙いから建設に当たっては1戸当たり100万円を上限とする補助金制度が創設され、あわせて所得税・法人税、固定資産税や不動産取得税の優遇措置が実施されたこともあって、急速に増加しました。

 図表1・2をご覧ください。累積棟数は15年末に5000棟を超え、累積戸数は16年に入って20万戸を超えました。しかし、それでも安倍政権が目標に掲げる100万戸にはほど遠く、今後も各種の支援策が継続され、ますます建設に拍車がかかるものとみられます。





■原則25平方メートル以上、台所、トイレ付きだが

 国の補助金を投じるわけですから、一定の水準を確保した住宅でなければなりません。図表3にあるように、専用部分の床面積は原則的に25平方メートル以上で、各戸に台所、トイレなどを備えている必要があります。

 しかし、これには「ただし」というただし書きがついています。入居者が共同で使用できる設備があれば、25平方メートル以下でも、また居室に台所、浴室などはなくてもいいことになっているのです。



■25平方メートル以上の住戸の割合は4分の1以下

 図表4をご覧ください。これまでのサ高住の住宅の専有面積をみると、20平方メートル未満が半数を超え、25平方メートルという原則をクリアしている住戸の割合は4分の1以下にとどまっています。

 トイレ、洗面についてはほぼ100%設置されていますが、キッチンがついているのは38.4%で、浴室は22.6%にとどまります。

 つまりは、多くのサ高住の住民は20平方メートル前後の狭い部屋で、キッチンや浴室は共同という、一昔前、二昔前の学生アパートのような生活を余儀なくされているといっていいでしょう。



■家賃5万円では広さも設備も限られる

 サービス付き高齢者向け住宅という賃貸住宅ですから、当然家賃が必要になってきます。その家賃は18平方メートル以上20平方メートル未満では1万円から26万円までと幅広く、最も多いのは5万円だそうです。20平方メートル以上22平方メートル未満でもやはり5万円が最多で、22平方メートル以上25平方メートル未満だと最多は6万円に上がります。
 この家賃では広さも設備も限られるということでしょう。

■キッチン、浴室なしは安全のため?

 サ高住の運営会社サイドからすれば、キッチンや浴室を個別に設置しないのは、広さが足りないという事情のほかに、「居住者の安全を考えてのこと」という言い分もあるようです。たしかに、厚生労働省の調査によると、毎年4000人以上の人が住宅内で溺死していますから、高齢者にとって浴室は危険がいっぱいです。

 しかし、それもバリアフリーの徹底によってかなりカバーできるはずです。居室と浴室の温度差を解消し、すべりにくい素材、手すりや緊急通報装置の設置などによって、安全性を高めることは可能です。

■自分で選択して入る人はまずいない

 こうした専有面積が狭く、家賃の安いサ高住については、多くの場合本人が選択して入居するのではなく、介護などに困った家族が探して入居させています。本人にはもう判断能力がなくなっているか、ある程度あっても、周りに遠慮して従わざるを得なくなっているのではないでしょうか。

 もちろん、ご本人やご家族にはそれぞれに事情があるにしても、現代版の「うば捨て山」といった印象は拭えません。

■ホテルライクなサ高住だってある

 その一方では、富裕層向けのサ高住もジワジワと増えています。東急沿線を中心に「グランクレール」ブランドのサ高住を展開している東急不動産がその代表格といっていいでしょう。
 その広さや設備、管理、また月額の負担などをみると、これまで見てきたサ高住とは大違い。ハイグレードマンションと同様に、エントランスにはコンシェルジュがいて、おしゃれなカフェなど共用施設も充実しています。

■月額負担が50万円を超える物件も

 月額の負担も、成城学園前駅近くの専有面積40平方メートル台で、一括払い方式だと80歳の入居時が4551万円で、月額費用は17万8000円。一括払いのない月払い方式では、入居時一時金が約95万円で、月額費用が49.4万円となっています。

 しかもこのなかには食費は含まれていませんから、実質的な負担は50万円以上、60万円、70万円と膨らんでいきそうです。

■有料老人ホームでも同じような格差が

 これは、何もサ高住に限りません。有料老人ホームでも同じような格差があります。格安の物件だと居室にトイレもない物件が珍しくありません。運営サイドからすれば、夜中に無理して一人でトイレを使おうとして重大な事故につながるリスクを回避するための措置ということになります。

 そうならないように、おむつを使うか、担当者を呼んでほしいということのようですが、生活する側からみれば、人格を無視されたような気持ちにならないでしょうか。

■黒塗りのハイヤーが待つ老人ホームも

 それに対して、やはり入居時の一時金が数千万円の高級老人ホームもあります。そうした物件だと、毎朝玄関に黒塗りのハイヤーが2、3台列をなして待っているといったケースもあります。安全のために平日は高級老人ホームで生活し、週末には自宅に帰るといった会社の会長さんなどがいるそうです。

 老後の生活もさまざま。うば捨て山にいかなければならない負け組ではなく、自分で選択して悠々自適な生活を送れる勝ち組になるよう、若いうちからシッカリと準備をしておく必要があります。

(文=山下和之/住宅ジャーナリスト)



 

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