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突然、公売中止に!魔物が棲むという「新宿のビル跡地」の呪い 「いわくつきの土地」で新たな動きが…(週刊現代)
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/699.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 29 日 11:26:21: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

突然、公売中止に!魔物が棲むという「新宿のビル跡地」の呪い 「いわくつきの土地」で新たな動きが…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49744
2016.9.29 週刊現代 :現代ビジネス


東京のど真ん中にある500m2ほどの一等地。そこを舞台に数々の闇社会の住人たちが跋扈してきた。その「怨念の土地」で起きた新たな動き。だが、土地にかけられた「呪い」は、容易には消えない—。

■駅から徒歩1分の超一等地

一日の乗降客数は360万人を超え、日本、いや世界最大級のターミナルのひとつに数えられる新宿駅。代々木方面へ臨む南口から見渡せば、巨大なバスターミナルが広がり、百貨店の高島屋をはじめ、オフィスビルが多数建ち並ぶ。

この新宿駅から徒歩1分ほどという超一等地に「その土地」はある。アスファルトでのっぺりと塗り固められた、493m2(約150坪)の更地。周囲にはJR東日本の本社、小田急ホテルセンチュリーサザンタワーといったビルが並ぶなか、そこだけまるで歯が抜けたようだ。道路に面してめぐらされた柵の前を、OLやサラリーマンが足早に行きかう。

一見、整備中のなんということもない土地だが、実は、この土地と、そこに建っていたビルをめぐっては十数人が逮捕され、幾人もの死者が出たいわくつきの物件だ。昭和から平成に時をまたぎ、バブル期に醸成された「土地への欲望」に取りつかれた数多の魑魅魍魎が蠢いた。「日本で一番ダーティな土地」と言っても過言ではない。

不動産業界の人間であればその名を知らぬ者はいないその土地は、「真珠宮ビル跡地」という。

誰も触れたがらないこの土地で新たな動きがあったのは、今年8月26日のことだった。ビル跡地が、東京都によって公売にかけられ、落札されたのだ。ついにあの土地が売られる—。

入札日、東京都庁舎の入札室にひとりの男性が現れ、購入価格を記した書類を提出した。コンビニに弁当や惣菜などを販売する武蔵野グループの傘下企業・武蔵野ハウジング(本社・埼玉県朝霞市)の担当者である。

結果、武蔵野ハウジングが落札。価格は31億1000万円。ビル近くの不動産業者が言う。

「公売の最低落札価格は約24億円でしたが、数億円上乗せするのもうなずけます。真珠宮ビル跡地は非常に好立地。駅から近く、面積も広い。人通りが多いわけではないので商業施設には向きませんが、オフィスビルにすればすぐ埋まる。また、この一等地に自社ビルを建てられれば、企業としてハクがつき、こんなにいいことはありません」

しかし、いわくつきの土地の「宿命」だろうか、落札の直後に不可解なことが起きた。同社が所有権移転の手続きをした後、決済の直前になって、公売そのものが取り消されてしまったのだ。

人気を集めることが必至という土地で公売が行われ、なぜその取引が成立しなくなるのか。公売が行われた事情を、不動産関係者が解説する。

「この土地の実質的な管理者はA氏という男性。かつて旧川崎財閥の資産管理会社社長の番頭を務め、株価操縦で逮捕歴もある人物です。山口組系暴力団の元組長とも知遇があると言われます。

真珠宮ビル跡地は、あの立地ですから、買いたいと思っている企業は多い。しかし上場企業はもちろん、社会的に認知された規模の企業は、かつてここで起きた事件も含めて、コンプライアンスの観点から購入に踏み切れない。A氏の人脈から、反社組織への利益供与を疑われる可能性もあるからです」

「何もお話しできません」

そこで選ばれたのが、公売という方法だった。不動産関係者が続ける。

「あの土地は税金の滞納で都に差し押さえられていましたから、所有者が都に相談すれば公売できます。しかも、国が基準となる値を決めるから、買い手に対して『反社組織への利益供与だ』という批判が出にくい。そうした事情から、公売が選ばれたのだと思う」

そして武蔵野ハウジングが落札。武蔵野グループは、年間の売り上げが1200億円を超える優良企業で、落札後の保証金2億円超もキチンと払っている。にもかかわらず、公売が取り消しとなったのである。

同社の担当者は、

「9月2日、都税務事務所から『公売が取り消しになった』と連絡があり、購入できませんでした」

と言うが、そこには複雑な事情がありそうだ。

なぜなら、武蔵野ハウジング側の関係者が、差し押さえの原因である滞納された税金を支払い、そのことによって公売が取り消しになってしまったと見られているからである。

一体どういうことなのか。この土地の背景に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。

「滞納された税金を払ったのは、同社の顧問弁護士だとされています。武蔵野ハウジングはこの土地について詳細を知らずに購入した。しかし、後からいわくつきの物件だと判明し、あえて税金の支払いを肩代わりして公売を流したのではないかと言われています」

武蔵野ハウジングの担当者は言葉を濁す。

「入札したことは確かですが、それ以上は何もお話しできません」

同社の顧問弁護士に聞くと、

「税金の滞納分を払った人物は存じております。ですが、申し上げることはできません」

と回答があった。

やはりこの土地はそう簡単には売れない—皮肉にも、そんな事実を改めて明らかにすることになった今回の騒動。

その深層を知るためには、この土地が持つ、宿痾の歴史に触れなければならない。

■バブルが生んだ魔窟

近隣住民や周囲の不動産業者らの証言、登記簿などから遡ると、現在の真珠宮ビル跡地は、戦後すぐの時期、周辺の土地とも合わせて、Oという一族の持ち物だった。当初はもっと広い土地で、駐車場として使われていたが、周囲の開発が進み、'78年に真珠宮ビルが建設されると、そこに大手電子メーカーのオフィスや有名喫茶店チェーンなどが入った。全盛期には賃料だけで、月数百万円もの収入があったという。

真珠宮ビル跡地は、住所の上では渋谷区代々木になるが、'80年代以降の代々木の公示価格は、1m2あたり百数十万円だったのが、'90年代初頭には1500万円前後、'90年代末には300万円ほどと乱高下する。

こうしたバブルの狂乱を挟んで、真珠宮ビルが放つ「魔力」は凄まじかっただろう。

「地価が下がってきた当時は、付近の土地と合わせて大規模開発をする可能性も取りざたされました。うまく転売すれば数億円の利益は固い土地でした」(前出・不動産業者)

O一族もそうした「魔力」に憑かれたのかもしれない。O一族がたどった数奇な流転は、宮崎学著『上場企業が警察に抹殺された日』に詳しい。同書によると、以降の経緯の要旨は以下の通り。

〈'93年、それまでの当主が死亡すると、家族のなかで土地をめぐっていざこざが起きた。この内紛を利用して儲けようと、様々な人々がO一族に接触を図る。'02年には稲川会系の幹部が、ビルの乗っ取りを図り、管理会社・真珠宮の商業登記簿を改竄。幹部は逮捕された〉

そして事態の混乱に拍車をかける男がO一族に近づく。司法書士の野崎和興氏である。バブル期に「事件師」として名を馳せた野崎氏は、人をはさんでO一族に近づき、管理会社の役員になる。『上場企業が警察に抹殺された日』から引こう。

〈オーナー一族の人間を老人ホームに入れた挙句、痴呆を進ませて野垂れ死にさせ、またその息子は刑務所や精神病院送りにした後、フィリピンで軟禁生活を送らせる〉

こうした手法で野崎氏は真珠宮ビルを実質的に支配するに至ったと、同書は解説する。

'04~'05年には、この土地に登場した新たな業者によって、さらなる混乱が起きる。地上げや株取引で儲けていた山口組系暴力団のフロント企業(暴力団が深く関与した企業)が、このビルを購入することになったのだ。

だが、物件の実質的な決定権を持つと主張する野崎氏とこのフロント企業の間で対立が生じ、それが悲劇につながった。'06年3月、野崎氏が東京・北青山の路上で、刃渡り数十pの包丁を用いて背中や腰をメッタ刺しにされ、殺害されたのである。

事件には前出の山口組系暴力団の組員が関与していたことが発覚する。全国紙社会部記者が言う。

「'10年12月には、事件の際に運転手役をしていた暴力団組員が逮捕され、殺意は否定したものの犯行を認めました。さらに、実行犯のひとりと見られた組員は香港経由でタイに逃亡し、国際指名手配されましたが、'11年に現地で何者かに射殺されました。彼をタイに逃がした人物も日本で変死。この土地をめぐってこれだけの人が奇妙な死に方をしているのです」(全国紙社会部記者)

同時に、警察の捜査はその山口組系暴力団の組長(現在は引退)にまで及ぶ。'06年5月、元組長が逮捕された。

容疑は、電磁的公正証書原本不実記録、同供用。つまり、先のフロント企業が真珠宮ビルを購入した際に、不正な登記の書き換えが行われていたというのだ。

こうした暴力団を巻き込んだ事件は、'10年に元組長が東京高裁で有罪判決を下され(その後、上告は棄却)、いったん収束したかに思えた。それを象徴するように、'11年にはビルも解体された。

■買いたくても買えない土地

しかし、いくら更地になろうとも、一度その土地に染みついた過去からは容易に逃れられるものではない。一般的な企業はこの土地に手出しをできずにいた。

実際、これまで企業や個人が購入に動いてきたが、話がまとまったことはない。'10年頃には、ひとりの買い手が1億円の手付金とともに名乗りを上げたが、結局購入に失敗。手付金が返って来なくなった。すると、その買い手にカネを貸していた人間が、資金を取り戻せなくなることをおそれて暴力団に相談。その組員が買い手を恫喝し、結果、5人が逮捕された。

昨年2月には、東証1部に上場する大手量販店が関連会社を使って購入を画策したこともあった。

「立地が良いということで相当検討をしたようですが、大手量販店側も、そこがいわくつきの土地であると知り、検討をやめたそうです」(前出の不動産関係者)

昨年8月にも、物件が動く気配はあった。前出の不動産関係者が続ける。

「ある企業が26億5000万円の売買契約を結び、3億円の手付金を払って、所有権移転の仮登記をしたのです。実質的な購入者は、千葉で事業会社を運営している建築関係の男性でした。ですが、これも残りの購入資金が準備できず、うまくいかなかった。ただ、この男性は相当この土地に未練があるようですが」

そうしたなか、今度こそ、まっとうに契約が成立するかもしれないと思われた矢先の、公売取り消しだった。

今後、この土地がまっとうな企業に買われる日は来るのか。そしてその時、これまでこの土地をめぐって流されてきた血は、きれいに拭い去られるのだろうか。

「週刊現代」2016年9月24日・10月1日合併号より
 

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