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日銀が「長短金利操作」を導入した本当の理由
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160927-00010000-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 9月27日(火)16時0分配信
日銀は9月21日に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入を発表した。これまで日銀が実施してきたのは「量的・質的金融緩和」だった。今回の「長短金利操作」が何を意味するのかというと、「2%の物価安定目標が実現するまで、10年物国債利回りを0%程度に誘導する」ことだという。そして、この日銀の説明に対して、金融市場は戸惑いを隠せないでいる。
その理由は、現在、10年物国債の利回りはマイナス圏内にあるからだ。長期金利の指標とされる10年物国債利回りは、金融政策を発表した9月21日時点で-0.035%(終値ベース)だった。つまり、0%に誘導するということは、現状では長期金利をマイナス圏内から引き上げることを目指す、ということになってしまう。
その結果、今回の日銀の措置は、金融緩和ではなく、金融引き締めではないのかという思惑が金融市場に浮上しているのだ。
日銀がそうした疑念をマーケットが抱いてしまうことを、想定していなかったとは考えにくい。では、なぜそのリスクを冒してまで、長期金利を0%に誘導するという長短金利操作に踏み切ったのだろうか?
日銀の長短金利操作は、極めてシンプルにいうと、短期金利と長期金利の金利差(=長短金利差)を現状よりも拡大させることが目的だと考えられる。なぜ長短金利差の拡大を目指すのかというと、金融機関への配慮に他ならないだろう。
銀行や保険会社の基本的なビジネスモデルは、短期の資金を調達して、それを長期で運用するというもの。例えば、銀行は普通預金で資金を集めて、それをまとめて長期間、企業などに貸し出すことなどで収益を稼いでいる。
このとき収益を出す前提となるのは、調達する資金に付ける金利よりも、貸出をする金利の方が高くならなければならない、ということ。1%で調達した資金なら、少なくとも1%より高い金利で貸し出さなければ収益は得られない。そして、調達金利と貸出金利の差が大きければ大きいほど、つまり長短金利差が大きいほど、収益も大きくなるのである。
日銀が今年1月にマイナス金利を導入して以降、この長短金利差はいちだんと小さくなり、ほんのわずかとなってしまった。その結果、銀行(特に地方銀行)の収益は打撃を受け、株価が下落するという事態を招いた。生命保険会社の業績悪化も深刻化しつつある。
これを放置すると、金融機関の収益がいちだんと減少し、最終的には国内の金融システムが弱体化するかもしれない――日銀はこうした懸念を未然に防ぐために長短金利操作を導入したと考えられる。
しかし、日銀の目論見どおりに金融市場が動くかどうかは予断を許さない。長期金利を0%に誘導するといっても、長期金利は金融機関同士の取引で形成され、日銀は直接関与できないからだ。事実、日銀の政策発表以降、誘導方向とは逆に長期金利のマイナス幅は大きくなっている(23日の10年物国債利回りは-0.055%に低下した)。
また、長期金利を0%近辺に誘導できたとしても、金利差が拡大するかどうかは別問題だ。通常、短期金利は期間1年以下の金利を指すが、金融機関(特に生保)の収益を考慮すると、20年物や30年物といった“超長期”の金利との差が広がるかどうかもポイントになってくる。
教科書的に考えれば、10年物金利が上昇すれば、20年物、30年物の金利はそれ以上の幅で上昇すると想定され、金利差は拡大していく。だが、マーケットの動きを管理しようとする長短金利操作には、予期しない“副作用”が生じる可能性がある。
今後、日銀は、実際に長短金利操作に乗り出すこととなろう。長期金利が0%近辺になるかどうかとともに、他の期間の金利との差を注視していきたい。
文■松岡賢治(マネーライター)
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