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アベノミクスの下での日銀は「お役御免」になったのだろうか…(撮影:今井康一)
市場に迎合した日銀、それでも株式相場に残る不透明感
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160926-00137535-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 9月26日(月)16時31分配信
21日午後1時18分、日銀は今年の金融政策決定会合で最も遅い時刻に「総括的検証」の結果を公表した。
今回の決定についてはすでに詳しく報じられているが、要点は「イールドカーブ・コントロール」と「オーバーシュート型コミットメント」の導入・採用だろう。前者はマイナス金利の副作用としての銀行の収益悪化、機関投資家の運用難の深刻化などへの配慮とみられる。後者は2%という物価目標の達成に向けて長期戦で臨むという姿勢に変えたことを意味する。何年度の何時ごろまでにはという、これまでのコミットメントを修正したわけで事実上、数年程度での達成は難しいと認めたのに等しいだろう。
今年の動きをざっと振り返ってみよう。まずは1月の会合。当初こそ、マイナス金利の導入を好感した市場だが、すぐに副作用の大きさに気づき、グローバルなリスクオフの影響もあって日経平均は2月12日に1万5000円を割り込むなどつるべ落としのような商状となった。10年国債(指標銘柄)の利回りは同月22日にマイナス0.005%と遂に史上初のマイナスの領域に踏み込んだ。日本全体に運用難を嘆く声が満ちあふれたが、日銀がその効用を否定することはなかった。
今年を振り返るに当たって忘れられないのは4月の会合だ。副作用を和らげるため、欧州中央銀行(ECB)の新TLTRO(対象を絞った長期資金供給オペ)にならって日銀も企業向け融資に対して積極的な金融機関への日銀貸し出しにマイナス金利を適用するのではないかとの観測が広がる中で迎えた。しかし、日銀が現状維持を決めたことで市場は失望感に覆われた。
今にして思えば、これが変心の動機となったのではないかと想像されるのは、「三菱東京UFJ銀行がプライマリーディーラーの資格返上で調整」という6月8日の報道である。続く同月の会合では英国の国民投票を目前に政策変更を見送った。
だが、その時点で日銀の考えにはさらに微妙な変化が生じていたのではないだろうか。そう思わされたのが、7月会合でのETFの買い入れ枠の増大だ。4月のような「無回答」だと市場は失望しそうだが、さりとてマイナス金利の深掘りではさらにネガティブな反応を示しそう。こうしたジレンマから導き出されたのが「ETF」と、次回会合での「総括的な検証」を行うとの決定だったのではないか。
■ 日銀はもはや「お役御免」なのか
超長期金利の反転上昇は1カ月以上も前から起き始めていた。今回の会合ではこれを追認した格好だし、ETF購入で東証株価指数(TOPIX)型を軸にするというのは、日経平均株価への寄与度が高いファーストリテイリング <9983> などの株価に対する日銀の関与が大きくなり過ぎる、との批判の声に応えたかのようでもある。
黒田氏が日銀総裁に就任して3年半。「バズーカ」と称されるほど、市場に驚きをもたらすような思い切った施策を打ち出してきたが、これほど現状を追認し、さまざまな市場の要望、関係者の懇願を採り入れた全方位型のメニューを並べるのは今回が初めてである。法が許せば外債すら買い始めるのではないかと感じてしまう。
「日銀プレー」「日銀祭り」といった表現があるように株式市場でも金融政策決定会合は大きなイベントだったが、ここまで市場に迎合してしまった以上、今後は逆にイベントとしての重要度は減少するだろう。いくら「深掘りは可能」といっても誰も真に受けないし、物価が近いうちに2%になるとは誰も考えないとも思う。アベノミクスの下での日銀は「お役御免」となったのかもしれない。
一方、同日に終了した米連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の現状維持を決めた。「イエレン議長を始めとしてメンバー各氏のタカ派的なコメントは何だったのか」という釈然としない思いもあるが、直前でも追加利上げを見込むのは少数派で、予想通りの結論といえるだろう。
ニューヨークダウが8月15日の1万8636ドルから9月14日には1万8034ドルまで下落するなど、米国株は利上げの可能性を織り込み適度に調整していた。それだけに、現状維持を「適温相場の継続」と受け止めて反発。アップルの寄与度が高いナスダック総合指数は史上最高値をあっさりと更新した。
イエレン議長は会見で「年内に1度の利上げを考えている」と、さらに踏み込んだ考えを示したが、現状では市場の見立てに大きな変化はなく、12月の利上げを見込む向きは5割を若干上回る程度に過ぎないようだ。S&P500株価指数ベースの予想PERは、トムソン・ロイターの推計で約17.3倍と、数年内のレンジの上限に張り付いたままだが、低金利の継続という安堵感が高所恐怖症の発症を抑え込んでいるとみられる。
■ 節税対策売りは9月下旬から10月上旬がピーク
米国では26日に第1回目の大統領候補によるテレビ討論会が行われる。「一挙手一投足に注目」とは陳腐極まりない表現だが、健康という、人間として根源的な問題に焦点が当たってしまっている状況では、まさしく手や足の動きに、史上最多の1億人超の視聴者の目が向いてしまうのかもしれない。
対立候補は対立候補で、ブッシュ元大統領に「クリントンに投票する」と言われてしまうありさまだ。彼の場合は思考回路自体に問題を抱えているようだ。こんな大統領選挙になってしまうとは……。
同日から28日まで石油輸出国機構(OPEC)は非加盟の産油国も交えてアルジェリアで非公式会合を開催する予定である。主題は言うまでもなく増産凍結だが、首尾よく合意に至ることができるかどうか、依然として不透明さが残る。
なぜ10月が「魔の月」と言われるのか。最大の要因として、米国のミューチュアルファンドが同月の決算に向けてタックスロス、つまり節税対策の損出しに動くためとされている。売却損を計上するために評価損を抱えた銘柄を機械的に売却するというものだ。
日経平均は昨年の9月29日にダメ押し的な安値を付けた。タックスロスは9月下旬から10月上旬がピークと見られている。海外投資家は今年、日本株をすでに大きく売り越しておりミューチュアルファンドからの売りも昨年ほどの規模になるはずはないと思うが、一方で、昨年のような郵政3社の上場(11月4日)といった株式市場のイベントも見当たらない。しばらくは慎重なスタンスを維持すべきかもしれない。
せがわ・つよし●新日本証券(現みずほ証券)に入社後、株式投信の運用業務、情報部門、自己売買部門のマネージャーなどを歴任。さくら証券にエクイティ部部長として勤務後、2001年4月に新光証券(現みずほ証券)にストラテジストとして入社。独立後は経済番組のコメンテーターとして活躍し、現在は瀬川投資研究所代表。市場関係者への丹念な取材や緻密なデータ分析に基づいた独自の相場解説で人気。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
瀬川 剛
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