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「黒田緩和疲れ」じわり、ドルは来年末90円へ−ミスター円・榊原氏
野沢茂樹、Kevin Buckland
2016年9月26日 15:12 JST 更新日時 2016年9月26日 17:00 JST
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日本銀行の黒田東彦総裁が約3年半にわたって進めてきた前例のない金融緩和は最終局面にあり、効果は徐々に薄れつつある−。ミスター円の異名を取る元財務官の榊原英資青山学院大学教授は、円相場は来年、1ドル=90円に向かって緩やかな上昇を続けるとみている。
榊原氏(75)は26日のインタビューで、円相場が「来年末に90円に達していても驚かない」と指摘。「日銀のアグレッシブな金融緩和は最終局面に入った。新たな枠組みで緩和を続けるが、かつてのような効果はない」と述べた。米国の利上げも以前は今年3、4回との見通しだったが、足元では年内に1回やるか否かに後退していると言い、日米両方の要因で緩やかな円高・ドル安が続くだろうと語った。
「マーケットは常に予測と現実だ」と、榊原氏は指摘。円が昨年6月に13年ぶり安値の125円86銭まで下げたのは黒田総裁の積極的な金融緩和が主因だったが、今や「金融緩和の終わりが近いとまでは言えない」が、景気動向は悪くないので「さらにマイナス金利を深掘りする感じはしない」と語る。米国の利上げは「予期されたほどきつい引き締めではない。年内になければ、さらにドル安になる」とみている。
Eisuke Sakakibara, professor at Aoyama Gakuin University Source: Bloomberg
円相場は日銀による金融緩和の枠組み変更の翌日、一時100円10銭と約1カ月ぶりの水準に上昇。6月下旬に付けた2013年11月以来の高値99円02銭に迫った。日銀は先週、当座預金の一部に適用する利息(付利)をマイナス0.1%で据え置く一方、10年物国債利回りがゼロ%程度で推移するよう、国債を買い入れる「長短金利操作」を新たな枠組みの中心に据えた。インフレ率が安定的に2%の物価目標を超えるまでマネタリーベースの拡大を続ける事実上の「時間軸政策」も採用した。
榊原氏は円相場が118円前後だった1月のインタビューで、110−115円のレンジに移ると予想。3月には年内に105−110円が取引レンジになると予測した。英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利する直前には、結果がどちらに転んでも100円を突破する可能性が高いと分析。円相場は年初から主要通貨に対し、ほぼ全面高となっている。
20カ国・地域(G20)は、金融政策について、為替相場を操作目標にせず、通貨安競争を避ける方針で一致している。ただ、円相場は年初から対ドルで約20円上昇。黒田総裁は26日の講演で、為替等が経済や物価に与える影響はしっかり注視していくと述べ、為替の安定のために最大限の努力をしていくつもりだと指摘した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-26/OE3KCS6S972G01
自動運転車、膨らむ期待と現実に落差
ウーバー・テクノロジーズがペンシルベニア州ピッツバーグで試験走行している自動運転車
MERENDINO/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
By CHRISTOPHER MIMS
2016 年 9 月 26 日 14:09 JST
最近の宣伝文句によれば、「完全自律型」の自動運転技術の実現は間近に迫っている。米ウーバー・テクノロジーズはペンシルベニア州ピッツバーグで米フォード・モーターの「フュージョン」を使用した自動運転車の配車サービスを試験的に始めている。フォード、独BMW、スウェーデンのボルボ・カー、米配車サービスのリフトは2021年までに完全自律型自動車を生産すると述べている。誇大な表現の多い米テスラ・モーターズのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に至っては、2年以内に実現すると宣言している。
しかし多くの業界関係者は、こうした主張は概して大げさだと考えている。間違いではないが、「自律型自動車」や「自動運転」という言葉は乱用されている。それら用語から連想するのは、車に乗り込み、行き先を入力したらすぐに眠ることができたり、何かを食べたり、スマートフォンを操作したりできるイメージだ。
‘どんな状況でも自律走行できる自動車の実現は優に15?20年はかかる’
?デューク大学のメアリー・カミングス教授
2021年までにそうなるわけではない。その実現には恐らく数十年はかかるだろう。
自動運転車開発で米ゼネラル・モーターズ(GM)と協力しているカーネギーメロン大学のラジ・ラジクマール教授(工学)は「そうした主張は願望であり、現実ではない」と一蹴。「技術の実現はまだ先だ。運転席からドライバーをなくせるようになるまでには、まだ長い道のりが待ち受けている」と指摘する。 こうした懐疑的な見方をしているのはラジクマール氏だけではない。デューク大学のメアリー・カミングス教授(機械・電気・コンピューター工学)は、「どんな状況でも自律走行できる」のが完全自律型自動車であり、「その実現には優に15?20年はかかる」と話す。
この分野について誰よりも詳しいのが、8月に退社するまで米グーグルの親会社アルファベットで自動運転車プロジェクトを7年間以上率いていたクリス・アームソン氏だ。同氏は3月、音楽・映画・テクノロジーの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」で自動運転車は一部の人は数年後に利用できるようになるが、誰もが利用できるようになるのは30年後だと述べた。つまり、ごく特定の用途には近く利用できるようになる可能性があるが、人間に完全に取って代わるまでには長い時間がかかるということだ。
「自動運転」をどう定義すべきか
言い換えれば、「自律」や「自動運転」をどう定義するかによるということに他ならない。
カリフォルニア大学バークレー校の高度な輸送技術開発プログラム「PATH」のマネジャーを務めるスティーブン・シュラッドオーバー氏は、「私がいつも指摘しているのが、空港でのターミナル間の人の輸送には40年前から無人車が使用されているということだ。しかし、それらは非常に厳重に保護された通行路を走行している」と語った。
例えば、フォードは2021年までに自動運転車を発売する計画を明らかにしている。同社の発表文や報道向け資料をよく読み、広報担当者の話を聞くと、自動運転が可能になるのは同社が詳細な3次元(3D)地図を作成でき、定期的に更新可能な主要都市の一部に限られる。それがどのくらいの範囲の地域になるかについて同社はコメントを控えている。
リフトはGMと協力しており、2021年までに完全自動運転車を発表する方針を明らかにしている。しかし、共同創設者のジョン・ジマー氏によると、それは特定の地域に限定され、最高速度も時速25マイル(約40キロ)に制限されるという。
ボルボとイスラエルのモービルアイも自動運転車に同様の制限を設ける計画だ。モービルアイは米半導体大手インテルやBMWと協力して自動運転技術の開発を手掛けている。ボルボで自動運転車プロジェクトのシニア・テクニカル・リーダーを務めるエリック・コリン氏は、地図が不十分な道路では自動運転モードにできないようにする可能性があると述べている。また、悪天候で自動車の知覚力が阻害される場合は、路肩に車を寄せたり、走行を停止したりするようにする計画だという。
最も経験豊富なグーグルが最も慎重
考えると恐ろしいが、「完全自律型」自動車に当初は人間の監視が必要な理由の1つはそれだ。
自動運転車に関して最も経験豊富なグーグルが、最も慎重な企業の1つでもあることは注目に値する。グーグルは自動運転車の発売時期をまだ明らかにしていないが、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のミニバンを使用して近く試験走行を始める計画だ。
短期的には「自動運転」車はテスラ車のような車両になるだろう。テスラ車には、安全な車間距離の維持や車線変更、緊急停止が自動でできる「トラフィック・アウェア・クルーズ・コントロール(TACC)」という機能が搭載されている。その次に登場する可能性が高いのが、ドライバーは不要だが、地図が十分に整った都市の決まったルート(空港からラスベガス中心部までなど)だけを走行できる車だ。
しかし、取材した人たちに共通していたのが、本当にどこへでも行ける車が手に入るのは何年も先だという意見だ。
もちろん、異なる見解もある。モービルアイの共同創設者で最高技術責任者(CTO)のアムノン・シャシュア氏は、自動運転車の感知や制御の問題点はほとんど解決されていると指摘。それらシステムの完成には科学の飛躍的進歩は必要なく、実世界で人間の運転を観察し、そこから得た情報に基づいてソフトウエアに小さな改良を重ねていけばいいだけだと話す。「材料はそろっている。後はエンジニアリングの問題だ」
悲観的な人たちでさえ、自動運転技術が実現しつつあることや、いずれは人の命を救えるようになり、ほぼ全ての自動車に搭載されることは認めている。しかし、2021年までの実現は期待しない方が賢明だろう。
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https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjfh5bz6KzPAhWGF5QKHRTaCV4QFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB12281053434115554903104582337020561646722&usg=AFQjCNEo8BGhJ40237MoItFzS7mN0zIh-g
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