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【社説】
中央銀行、途方に暮れる
FRBと日銀の金融政策は魔力を失った
2016 年 9 月 22 日 15:44 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)と日本銀行は21日、それぞれ金融政策に関する新たな声明を発表した。どうしたらいいか分からない、というのが共通のメッセージだ。日銀は過去の過ちを一掃しようとする一方、FRBは多くの反対意見が内部で上がるなか利上げを見送った。
FRBが利上げを見送ったことは驚くべきことではない。大統領選が迫っているうえ、オバマ政権に任命されたラエル・ブレイナードFRB理事が先週、利上げ反対を表明していたからだ。連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げの見通しをこれまで以上に強く示唆し、同時に12月まで待つことにして利上げ見送りを選んだ。にもかかわらず、今回の決定には3人のタカ派が反対票を投じた。反対3人はこの5年で最も多い。
さらに驚くべきは、新たに公表された今後の経済成長見通しだ。FRBのコンセンサスでは2019年までの年間経済成長率を1.8%から2%、「長期」では1.8%と予想している。よく考えてみてほしい。成長率が以前なら停滞と定義されるような水準であっても、FRBは12月以降、利上げに踏み切るかもしれない。
現在の米国の経済政策を前提とすれば、FRBの成長見通しはおそらく正しいのだろう。しかしこの見通しが金融刺激策の限界を際立たせていることは間違いない。FRBのケインズ主義者たちも金融政策によって経済を押し上げることができるとは言っていない。これまで何年もそれが可能だと主張していたのだが。
低成長でも12月利上げ?
低成長が続くとなれば、FRBは12月になったからといって利上げに踏み切るのかという疑問が生じる。イエレン議長が記者会見で何とか示すことができたのは、労働市場が逼迫(ひっぱく)するときは失業率が低く、インフレ率が上昇するというFRBおなじみのフィリップス曲線についての見解だった。したがって金利は上がるはずだ。FRBはまず、満期を迎える保有債券のロールオーバーをやめると発表したほうがいいと考える人たちがいる。われわれも賛成だ。しかしイエレン氏率いるFRBはまず利上げを実施することにこだわっているようだ。せいぜい頑張ってほしい。
日銀について言えば、黒田東彦総裁もどうやって景気を回復しようか戸惑っているようだ。 日銀政策委員会が行った最も重要な決定は、長期債の利回りを誘導目標にするために国債の購入の仕方を変更すると決めたことだ。一般的に中央銀行は短期金利を誘導目標としてきたが、金融危機以降は長期金利に影響力を行使するために債券購入を活用していた。日銀は今後、マイナス0.3%にまで落ち込んでいる10年物国債の利回りを0%に直接誘導することになる。
21日に決定した日銀の政策は、イールドカーブのスティープ化を確立させることを狙ったものだ。それが実現すれば、短期の預金を受け入れて長期で貸し付ける銀行の収益にとっては助けになる。金融システムの安定をめぐる懸念が後退し、日本の銀行株は急騰、市場全体も上昇した。預金の利息に頼る日本の年金生活者もほっとするだろう。
しかしこの政策は、黒田氏によって今年採用されたマイナス金利政策が金融刺激策として失敗したことを暗黙のうちに認めるものだ。マイナス金利によって、銀行貸し出しは赤字となり、消費者意欲は損なわれた。
債券の償還期限によって金利を設定すれば、予期せぬ影響が生じる恐れがある。イールドカーブのスティープ化は通常、成長率と物価上昇率がさらに上昇すると予想されていることを意味する。しかしこうした期待がない状態で人工的なイールドカーブが形成されれば、長期的な貯蓄を一層促し、デフレの悪化を招く恐れがある。日本の非効率的な銀行が事業の再構築はもう十分だと思ってしまう恐れもある。
黒田総裁、今度は本気か
インフレ期待を生み出す上で障害となっているのは日銀の傷ついた信頼性だ。3年前、黒田氏は2%という非現実的なインフレ目標を設定し、この目標を2年以内に達成すると約束したが、その期間は何度も延長されてきた。黒田氏は21日、この予定をあきらめ、日銀が「できるだけ早期に」目標を「上回る」ことを目指すと述べた。今回は本当に本気だと、市場に語り掛けようとしているように聞こえる。
以上から分かるのは、経済の救い手として中銀を頼りにした時代が終わりそうだということである。2008年以降の政策についてこれまでどのような議論があったにせよ、中銀が約束した停滞からの回復は実現していない。
政治家は他の手段を模索しなければならない。民主主義国家が自信を取り戻し、それぞれが抱える多くの問題に対処するために、繁栄を取り戻す必要がある。日本の安倍晋三首相は2012年に約束したサプライサイド改革を実行しなければならない。米国の次期大統領には税制改革や規制緩和などを中心とした新たな成長政策が必要だ。中央銀行は魔力を失ってしまった――過去に持っていたとすれば、の話だが。
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矛盾する日銀の政策、組織の亀裂浮き彫りに
日銀の黒田東彦総裁(21日) ENLARGE
日銀の黒田東彦総裁(21日) PHOTO: EUROPEAN PRESSPHOTO AGENCY
By PETER LANDERS
2016 年 9 月 22 日 07:43 JST
相反する二つのことを同時に発表するのは、一つの組織の中で意見が対立している兆候だ。
日本銀行は21日、不人気な量的緩和から身を引くような政策を打ち出しながら、その後退などないという趣旨の言説を組み合わせた。
日銀の新たな政策の柱は、10年物国債利回りをゼロに誘導するために必要なだけ債券を買い入れることだ。その半面、長期国債の買い入れ額を年間80兆円に据え置きつつ、金融緩和を「強化する」と述べた。
これら二つの目標は矛盾する。例えばバナナ売りが栽培農家に対し、1キロ当たり50円の市場価格を維持するのに必要なだけバナナを調達すると言いながら、年間80トンの買い付けを宣言することを考えてみてほしい。需要で値上がりし、約束の80トンに達する前にバナナの価格が100円になってしまったら一体どうするのだろうか。
日銀が本気で新旧の政策を並行して進めるつもりなら、似たようなジレンマに陥るだろう。10年物国債は日本の千数百兆円に上る債券市場のベンチマークだ。需要が急激に縮小すれば、利回りをゼロに維持するために年間80兆円より多く買い入れる必要に迫られる。逆に、リスク回避志向の強い日本で10年物国債の需要が高まり、日銀が全く手を出さなくても良い状態になる可能性もある。
黒田東彦総裁はこの矛盾を説明する上で、実質的に年間80兆円の国債買い入れ目標を否定した。実際の買い入れ額の「増減はあり得る」と記者会見で述べ、弁明の余地を作り出した。バナナ売りの例で言えば、本当に実現したいのは1キロ当たり50円の価格であり、後はそれほど重要ではないと位置付けた格好だ。
従来路線を事実上捨てたことで、黒田総裁は自らに批判的だった勢力の思い通りになった。2%のインフレを導くはずが、実際は今年から物価の下落が再開した。黒田総裁は心変わりの一因は、10年物国債利回りが夏の間中マイナス圏で推移し、利益が圧迫されている金融機関などからの圧力と認めた。
りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネージャーは、日銀がマイナス金利の悪影響を意識して政策を変えたのは明らかだと述べた。
わざわざ年間80兆円の買い入れ目標に言及し続ける理由は、日銀内の見解の相違にある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1週間前、日銀政策委員会に参加する9人のうち7人が総論として量的緩和に賛成しているものの、方法に関する立場は分かれていると報じた。事情を知る複数の関係者によると、今回の金融政策決定会合前の数週間前に一部の政策委員が、資産買い入れではなく金利を政策の中心に据えることを提案したものの、年間80兆円という目標からの後退を少しも示唆したくない勢力からの反対に遭った。
勝ったのは金利目標派だ。しかも21日の動きは、黒田総裁自身がその一派に加わっていることを浮き彫りにした。負け組に対してはせいぜい、80兆円という数字を少なくとも書面に残し、インフレ目標を2%から「2%超」というより積極的な内容に変える譲歩を見せたにすぎない。
新たな政策は賛成7票、反対2票で採択された。反対したのはそもそも金融緩和に後ろ向きな勢力だったと考えられる。黒田総裁は7人の取りまとめに今のところ成功している。だが日銀がインフレ目標を達成できない状況が続けば、ひび割れた組織の外見を取り繕うのは一段と難しくなるだろう。
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日銀、バーナンキ氏の忠告どこまで聞いたか
バーナンキ氏は政府がチーズの価格を上昇させたい場合2つの選択肢があるとした
By ANJANI TRIVEDI
2016 年 9 月 22 日 00:13 JST
米連邦準備制度理事会(FRB)前議長のベン・バーナンキ氏が日本を訪れた7月、同氏が当局者に「ヘリコプターマネー」導入を進言するために来日したのではとの臆測が広がった。
結局のところ、日本銀行の黒田東彦総裁が21日の政策決定会合後の記者会見で明らかにした長期金利の誘導目標の設定は、バーナンキ氏が議論していたのと同じようなことなのかもしれない。これは米国が第二次世界大戦時に採用していた金融政策だ。バーナンキ氏は3月のブログ投稿で、長期金利の目標を設定することがいかに難しいか、その一方でいかに強いシグナルを送ることができるかを細かく説明していた。
この中で、政府がチーズの価格上昇を目指している状況を仮定した場合、2つの選択肢があるとした。1つは大量のチーズを購入し市場に価格の決定を委ねる方法。もう1つは価格を設定し、その維持のために必要なチーズを購入する方法。黒田総裁は今回、価格の設定を決めたことになる。
バーナンキ氏が「一風変わった政策手段」と呼ぶこの方法は、インフレ期待に影響を与え得る。インフレ期待を高めるのは黒田総裁の望んでいることだ。バーナンキ氏は、この方法で達成できることには限界があり「バランスシートを制御できなくなる」リスクを伴うとも指摘している。黒田総裁がこの忠告にまで耳を傾けていることを願うばかりだ。
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwjzsMrr4KLPAhVS7WMKHX73DYAQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10616159211553144711104582327811058782318&usg=AFQjCNEN-vIqFvACGBgbY4Pt3fGBfDtf2A
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