★阿修羅♪ > 経世済民113 > 418.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
ローソンを子会社化した三菱商事の「思惑」〜コンビニ戦国時代へ ファミマ、セブンはどう動く?(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/418.html
投稿者 赤かぶ 日時 2016 年 9 月 20 日 08:04:30: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

ローソンを子会社化した三菱商事の「思惑」〜コンビニ戦国時代へ ファミマ、セブンはどう動く?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49753
2016.9.20 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス


■コンビニ戦国時代の幕開け

三菱商事は先週金曜日(9月16日)、最大で1440億円を投じて株式公開買い付け(TOB)を行い、コンビニエンスストア第3位のローソンの株式を買い増して同社を連結子会社にする方針を発表した。

三菱商事は今年3月、銅や液化天然ガス(LNG)といった海外の資源ビジネスなどに失敗して最終赤字を計上したことに対応、今期からの3ヵ年計画で「資源」と「非資源」の投下資本のリバランスなどを公約しており、今回の「ローソン子会社化は具体策の第1弾」(三菱商事広報部)という。

コンビニ業界では、セブン−イレブン・ジャパンがこの7月に国内既存店の48ヵ月連続増収の記録を打ち立てるなど、長年にわたって首位の座に君臨してきた。

一方、業界3位だったファミリーマートが4位だったサークルKサンクスを今月1日付で吸収して、ローソンから2位の座を奪い、さらに上をうかがう姿勢を鮮明にしている。

ローソンも、三菱商事による連結子会社化を機に、三菱商事の経営資源をより積極的に活用して競争力を高める構えで、大手3社が入り乱れて覇を競う“コンビニ戦国時代”が幕を開けることになりそうだ。

まず、事実関係と発表内容を見ておこう。

そもそも三菱商事がローソンに出資したのは、2000年のこと。持ちかけたのは、膨らんだ借入金返済のための資産売却を進めていたダイエーの創業者で、同社の代表取締役会長の座にあった中内功氏だ。「ローソンの最有力売却先はダイエーと包括提携関係にある丸紅だ」という当時の下馬評を覆し、三菱商事が20%の株式を取得した。

その後の買い増しによって、現在は発行済み株式の33.4%を保有している。三菱商事はローソンの筆頭株主で、会計処理上、ローソンを「持ち分法適用会社」としている。

■ローソンの連結子会社化は「正解」か

前述のように、三菱商事がローソンを連結子会社化する背景には、同社が3ヵ年計画「中期経営戦略 2018〜新たな事業経営モデルへの挑戦〜」で、「資源」と「非資源」のバランス見直しと、「事業投資」から「事業経営」へのシフトを掲げていることがある。

「非資源」の重点分野である生活産業グループにおいて、ローソンはかねてシナジー効果を追求する重要なパートナーであり、さらに成果を挙げるために資本関係の強化が避けられないというのだ。

三菱商事は16日の取締役会で、TOBを行う方針を承認するとともに、「ローソンの上場を維持する考えも確認した」(広報部)という。プレスリリースによると、買付予定株数の上限は16,649,900株。すでに取得している株式33,500,200株と合わせて、発行済み株式の50%強を保有する計画である。

TOBは2017年1月に開始する予定。買付価格は1株あたり8650円を想定している。この価格は今月14日までの1ヵ月間の平均株価に、15.09%のプレミアム(割増金)を上乗せして算出した。

ローソンも同日の取締役会で、これまで以上に三菱商事の経営資源を活用しやすい関係作りが不可欠だとして、TOBに賛成する姿勢を打ち出した。

次に筆者の評価だが、三菱商事の戦略として見た場合、ローソンの連結子会社化にはおおいに頷ける部分とそうでもない部分が混在している。

最も頷けるのは、ローソンが依然としてコンビニ大手の一角を占めており、コンビニ事業が国内での堅実な成長と海外展開による高成長が見込まれる産業であることだ。そうした分野へのシフトには、「資源」と「非資源」のバランス見直しを掲げる三菱商事の戦略として説得力がある。

■弱点にテコ入れするという正攻法

繰り返すが、三菱商事は海外の資源ビジネスの失敗が響いて、2016年3月期決算に1326億円の最終赤字を計上した。その結果、長年、守り続けてきた「収益ナンバーワン総合商社」の座を、伊藤忠商事に明け渡した。

その伊藤忠商事が総合商社の先頭を切って、コンビニ大手のファミリーマートに出資したのは、三菱商事のローソンへの出資より2年早い1998年のこと。

リテール(小売り)産業の極みであるコンビニ事業に、B to B(企業間取引)のビジネスモデルである総合商社が出資することが馴染むのかを疑問視する声が多かった時代にもかかわらず、伊藤忠商事は着々とファミリーマートとの関係強化に取り組んだ。

そして、冷凍・冷蔵、物流・管理などコンビニ周辺分野の企業経営でも実績を積み上げて、連結ベースの収益確保に繋げてきた。

ファミリーマートとは対照的に、かつて小売りトップを誇ったダイエーが起業したローソンには、畑違いのうえ、それほど緊密な関係に無かった総合商社・三菱商事への身売りに違和感があったとされる。

そこで、三菱商事出身で、2002年にローソンの社長に就いた新浪剛史氏(現・サントリーホールディングス社長)は、あえて三菱商事を退社し、出身母体と距離を置くことでローソン内部での信用確立に努めたという。

最近は、一転してこの距離を埋めることが急務になり、ローソンの玉塚元一氏は今年3月、竹増貞信氏に社長(COO)の椅子を譲り、自身は会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した。

この社長交代の理由について、玉塚氏は発表の席上、「竹増氏は三菱商事の出身。競争が激しい中で成長するには、三菱商事を巻き込み総力戦に持っていかなければならない」と語っていた。

出遅れて弱点になりつつあった分野を再評価し、テコ入れするという戦略としてみても、三菱商事の決断は説得力がある。

ただ、目を付けた分野が良くても、成功率の高い具体策が採れる保証はない。三菱商事は33.4%の出資を行い、ローソンを持ち分法適用会社にしている。加えて、8人いるローソンの取締役のうち、3人は三菱商事の関係者で、すでに強い影響力を確保しているはずだ。

■回収するのに27年もかかるけど…

そうした中で、わざわざ1440億円もの巨費を投じてローソンを連結子会社にすることには疑問が残る。巨額の資本を短期間に、かつ直接的に回収するのは難しいからである。

ローソンの2016年2月期の最終利益(313億円)を例に単純計算すると、三菱商事が連結子会社化のためにローソン株の保有比率を従来の33.4%から50%強に引き上げたとしても、それによって連結決算に取り込める利益は157億円弱と、52億円強しか増えない。

ローソンの配当を考慮せず、この利益水準が続くと仮定すれば、1440億円の回収には27年以上の歳月がかかることになる。

株式市場も難しさを見透かしたのだろう。ローソンの連結子会社化を発表した16日、三菱商事の株価は、終値で前日比29円安の2065円50銭に下がり、5日続落を記録した。

3ヵ年計画で掲げた公約を実現するために、ローソンの連結子会社化を打ち出した以上、三菱商事が内外のコンビニ事業や関連事業の成長をテコ入れしてリターンを増やそうとするのは当然のことだ。ローソン以外の案件への投資やM&A(企業の合併・買収)に取り組む必要があるのも明らかだろう。

■海外店舗数は圧倒的に負けている

一方で、三菱商事によるローソンの連結子会社化は、コンビニ業界の勢力図を大きく塗り替える可能性がある。

冒頭でも触れたように、ファミリーマートは、ユニー・グループホールディングスとの経営統合に伴うサークルKサンクスの吸収によって、売上高や店舗数でローソンを抜いてコンビニ業界2位に浮上した。

8月末の店舗数を見ると、セブン−イレブン・ジャパン(1万9044)はもちろん、ファミリーマート(1万8240)にも、ローソン(1万2606)は大きく水を開けられた。

三菱商事にすれば、自社が前期決算で伊藤忠商事に首位の座を明け渡したうえ、コンビニ業界の連結子会社にするローソンが、伊藤忠商事を後ろ盾とするファミリーマートの後塵を拝するのは耐え難いはずだ。勢い、ローソンの競争力回復のため、テコ入れが熱を帯びるだろう。

やや余談だが、三菱商事の海外、特に経済の高成長が見込まれる東南アジアでの展開力は、日産自動車があえて燃費不正騒ぎの渦中にあった三菱自動車との資本提携に踏み切った理由の一つに掲げたほど強いという。

この三菱商事の海外展開力は、ローソンが海外での店舗展開の出遅れを挽回するカギとみられている。

ちなみに、8月末の海外店舗数は、セブン−イレブン・ジャパンの4万1046、ファミリーマートの6092に対し、ローソンはわずか926。竹増社長は現状を憂い、今年7月に上海で開いた記者会見で、2020年までに海外店数を5000にする目標を明らかにしている。三菱商事の後押し無しに、この目標を実現するのは容易でない。

■ローソンは勝者になれるか

今後、ローソンは、「小商圏型」の「製造小売業」を目指すという。これは、全国に160と言われる専用工場を持ち、弁当やおにぎりを中心に豊富な独自商品を取り揃えて売り上げを伸ばすセブン−イレブン・ジャパンに対抗、食品メーカーの協力を得て、原材料調達から商品開発、製造、販売までを一貫してコントロールする体制を築く戦略だ。

ローソンがこの戦略を打ち出したのは、今春公表した「1000日全員実行プロジェクト」という名の3ヵ年計画だ。ローソンは、この計画で「小商圏型」の「製造小売業」への脱皮実現の必要条件として「三菱商事によるバックアップ」を挙げていた。

一方、伊藤忠商事は、三菱商事のローソン子会社化について、「コンビニ業界の競争が一段と激化するのは確実だ」(広報部)としつつも、「現下のファミリーマートの最大の課題は、サークルKサンクスとの統合を軌道に乗せること」と当面は内部固めを急ぎ、その後に新生ユニー・ファミリーマートホールディングス全体の後押しに乗り出す構えをみせている。

業界3位のローソン、2位のファミリーマートがそれぞれ、大手総合商社の後ろ盾を得て競争力の再構築を進める中で、現在までのところ、首位のセブン−イレブン・ジャパンは総合商社との関係が浅く独立色が強い。

セブン−イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスの大株主上位10社には、第7位に三井物産が総合商社として唯一名前を連ねている。が、その出資比率はわずか1.83%と、ローソンの連結子会社化に乗り出す三菱商事や、ユニー・ファミリーマートホールディングスに33.4%の出資をしている伊藤忠商事と比べると桁違いに希薄だ。

それだけに注目されるのが、セブン&アイ・ホールディングスの次の一手だ。今後も総合商社と一定の距離を置く戦略を採り続けるのか、三井物産との関係強化に向かうのか。

他にも、ファミリーマートへのシフトが鮮明になる以前は友好関係にあった伊藤忠商事との復縁や、豊富な資金力を武器に非資源分野の幅広い企業経営に意欲を示す三菱商事など、パートナーの選択肢には事欠かない。

次はいったい何が起きるのか。戦国時代を迎えたコンビニ業界から目が離せない。

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民113掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民113掲示板  
次へ