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ドライバルク船の運賃下落で海運各社の業績が悪化(イメージ)
韓国・韓進海運が経営破たん、対岸の火事ですまない日本
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160915-00010002-newswitch-ind
ニュースイッチ 9月15日(木)7時55分配信
■強者に対抗、さらなる再編も
韓国の海運最大手である韓進海運が8月末に経営破たんし、世界各地の港湾で船の入港を拒否され、貨物が停滞するなど影響が広がっている。破たんは主力のコンテナ船事業の運賃低迷が主因だが、海運市況の悪化は日本の海運各社にとっても同じ。日本郵船、商船三井、川崎汽船の海運大手3社と韓進は、2017年4月に始まる海運アライアンス「ザ・アライアンス」に加盟する予定で、“対岸の火事”と言っていられない状況にある。
韓進の経営破たんで、現在同じアライアンスに加盟する川崎汽船は一部の貨物が止まり、荷主への説明に追われるなど、影響を受けている。先週末に港湾使用料の一部を支払ったことで、荷下ろしが始まった船もあるが、大半は今も海上を漂っており、先行きは見えないまま。ほとんどの船は釜山港など韓国の港湾に戻り、貨物を積み替えることになりそうだが、そのコストは当面、荷主の負担になる可能性も高い。
コンテナ船の運賃は欧州の通貨危機や中国経済の成長鈍化などを受けて、年々下落。15年に約6年ぶりに最安値を更新すると、その後も下がり続け、春にはアジア―欧州間の20フィートコンテナ1個当たりの運賃が300ドルと、最安値に落ち込んだ。世界最大手でデンマークのA・P・モラー・マースクや、世界2位でスイスのMSC、世界3位の仏CMA CGMなども業績が軒並み赤字に転落。韓進は厳しい市場環境に耐えきれず、体力勝負に負けた格好だ。
韓進の破たん後、コンテナ船の運賃は、一時的な船腹供給過剰の解消により、アジア―欧州間で約1000ドルに上昇。業界には一瞬、安堵(あんど)感が広がったものの、マースクがすかさず北米向けを増便。クリスマス商戦を前にした物流需要の取り込みを図っており、「それでは意味が無い」と、海運関係者からはため息が漏れる。
現状、韓進破たんの影響を直接受けているのは川崎汽船だけだが、ザ・アライアンスでは日本の海運大手3社が韓進と同じ枠組みに入る。ザ・アライアンスの船腹量は韓進を含めて、世界シェア18%で3番手。今後の破たん処理で、韓進が清算されることになれば、上位2グループにさらに水をあけられる可能性もある。
コンテナ船はマースクがスケールメリットを効かせてシェアを高める戦略で市場をリードしており、3社が並び立つ日本の海運会社にとっては分が悪い分野。強者に対抗するには、新たなパートナーの選定など、アライアンスのさらなる再編も含め、3社の踏み込んだ連携も必要になりそうだ。
日刊工業新聞第ニ産業部・高屋優理
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