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小池百合子都知事、「無電柱化&電線地中下化」に異様な執念の理由…コストは電柱の10倍
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16681.html
2016.09.18 文=編集部 Business Journal
無電柱革命――。小池百合子東京都知事が掲げた公約である。街中に張り巡らされた電線を地中に埋設し、電柱を取り払うというものだ。電柱を撤去することによって街の景観を良くする上に、震災時の電柱倒壊による二次災害を防止する。
小池氏は衆議院議員時代から無電柱化議員連盟を立ち上げ、議員立法で「無電柱化の推進に関する法律案」の成立を目指してきた。
松原隆一郎東京大学大学院教授と共著で『無電柱革命』(PHP新書)を刊行している。電柱をなくすことは、これまでは景観問題に絞られがちだったが、小池氏は「防災・安全な通行の確保」の観点から無電柱化を取り上げる。新知事として、この政策を実現させたいとしている。
現在、電柱をなくす作業は、国と地方と電線を管理する民間企業が費用を3分の1ずつ負担して進めている。国と地方が公道の下に共同溝をつくり、民間企業がその溝に電線を通す。それでも電線管理者の負担分だけで1キロメートル当たり2億円。電柱を使った場合と比べて10倍のコストがかかる。
無電柱化率はロンドンやパリ、香港は100%になっているが、日本では東京23区で7%にすぎない。
2020年の東京五輪に向け、政府はこの政策を進める。国土交通省が16年度補正予算で事業費を確保したほか、財務省が政策投資銀行から電力会社や通信会社に資金を貸し出す仕組みを新たに設けて後押しする。
株式市場では関連銘柄が物色されている。こうした株式は「小池銘柄」と呼ばれ始めた。
■イトーヨーギョー、ゼニス羽田、沖電線が無電柱銘柄の本命
コンクリート2次製品中堅のイトーヨーギョーの株が買われている。6月24日に536円だった株価は9月5日には1329円2.4倍に跳ね上がった。都知事選で小池氏が当選したことで弾みがついた。政府が20年の東京五輪に向け無電柱化を進めるという報道を材料に、個人投資家の資金が流入した。9月5日には一時、前週末比211円高の1329円に急騰、年初来高値を更新した。
イトーヨーギョーはマンホールや歩車道境界ブロックなどの製品をつくっている会社で、一般人にはほとんど知られていない。集中豪雨による路面冠水の抑制システム製品も拡販中だ。既存の埋設物が多い箇所で無電柱化を進める工法を開発していることが買いの根拠のようだ。
17年3月期の売上高は前年同期比8%増の25億円、営業利益は4500万円の黒字(前年同期は1400万円の黒字)、最終利益は3500万円の黒字(同1800万の黒字)の見込み。
マンホール製造のゼニス羽田ホールディングスの株も買われた。株価は6月16日の安値148円から9月5日の高値338円まで2.3倍に上昇した。ゼニス羽田も9月5日に一時、18%超上昇して338円と、こちらも年初来高値をつけた。
同社は11年4月にハネックスと日本ゼニスパイプが経営統合。防災や雨水向けのコンクリートパイプの2次製品が主力。官需の数量が伸びず、17年3月期連結決算の売上高は前年同期比1%増の155億円、営業利益は15%減の15億円、純利益は19%減の10億円と減益の見込みだ。マンホールやカルバート(暗渠)などの電線地中化に関連したコンクリート2次製品を扱っており、無電柱化関連銘柄として買われた。
■無電柱に期待感広がる
沖電気工業(OKI)の子会社、沖電線にも買いが広がった。株価は6月24日の150円から8月26日には高値250円と1.7倍になった。なお、年初来の高値は7月25日の289円である。高値更新が次のターゲットになる。
電線・ケーブル事業と放電加工機用電極線が2本柱。円高の進行で輸出採算が悪化しており、17年3月期の連結決算の売上高は前年同期比2%減の110億円、営業利益は1%増の6億円、純利益は14%増の4億円の見込み。
政府は新たに地中に埋めた電線やケーブルにかかる固定資産税を軽減することにしており、沖電線が扱う電線やケーブルの販売が伸びるという思惑から値幅取りを狙った買い物が入った。
電気通信工事最大手のコムシスホールディングス、下水道・地中工事に特化した大盛工業のほか、電気工事では中国電力系の中電工、東京電力系の関電工、関西電力系のきんでん、住友電工系の住友電設、NTTの電気通信工事を手掛ける協和エクシオなども折りに触れ物色されている。
製造業では、産業用ホースやゴムシートのタイガースポリマー、下水道向けヒューム管首位の日本ヒューム、太平洋セメント系の短形コンクリート管の旭コンクリート工業、電力やNTT向けのポール(柱)で圧倒的に強い日本コンクリート工業、九州最大手のコンクリート2次製品メーカーのヤマックス、下水用鉄ぶたや電線共同溝用鉄ぶたなど小物鋳物の虹技なども候補だ。
小池氏は、20年の東京五輪開催までに首都高中央環状線内の都道の無電柱化を完成させたい意向だ。無電柱化に踏み切れば、「小池銘柄」と呼ばれる一連の銘柄群が活気づくことになる。
(文=編集部)
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