http://www.asyura2.com/16/hasan113/msg/131.html
Tweet |
貸出減らすマイナス金利
全国銀行協会がまとめた都市銀行の7月の貸出残高は前年同月比0.7%減った。減少は3年9カ月ぶり。日銀がマイナス金利政策を導入した2月から急に伸びが鈍った。
日銀はこの政策で金利水準を押し下げ、企業による投資増を狙った。金利は下がったが、デフレ下で取られるような策の導入で企業心理は慎重になった。
またマイナス金利政策は銀行の利ざやを圧迫した。コストを勘案した利ざやがプラスなら、銀行は貸し出しを増やすことで利益確保をめざせる。平時なら貸し出し増による景気浮揚が狙える。
しかし都銀のうち三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行の3月末の総資金利ざやはマイナス。これは貸出・有価証券運用の金利から調達金利と人件費など経費を差し引いた後の利ざやで、手間がかかる貸し出しの一部はコスト込みで赤字になっている。
銀行は利益を求める株式会社で、アベノミクスの一環として企業統治強化を求められていることもあり、赤字を増やすような貸し出しは伸ばせない。無理に実施すれば善管注意義務違反や背任に近い行為となり、株主代表訴訟を起こされるリスクが生じる。
このところ都銀では黒字だった貸し出しが、借り換えに応じれば赤字になるケースも増え、貸し出しに縮減圧力がかかっている。利ざやマイナスという異常事態ではマイナス金利は貸し出し減という経路を通して景気を圧迫しかねない。長期化したり深掘りしたりすれば総資金利ざやがマイナスになる銀行が増え、貸し出し減が都銀だけでなく銀行全体に広がる恐れもある。
日銀の黒田東彦総裁は先月末、米国での講演で「マイナス金利政策には現金保有コストと関係する(それ以上金利が下げられなくなる)下限制約があるが、まだかなりの距離がある」と指摘した。ただ下限制約には貸し出しと関係するものもあり、都銀貸し出し減は総裁がふれなかったもう一つの下限制約に近づきつつあることを示している。
(編集委員 太田康夫)
[日経新聞9月5日朝刊P.16]
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民113掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。