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「伊藤園 公式サイト」より
お〜いお茶、圧倒的シェア1位の驚愕の秘密
http://biz-journal.jp/2016/09/post_16605.html
2016.09.11 文=中村未来/清談社 Business Journal
日本人にとって最も身近な飲み物といえる緑茶。なかでも、コンビニエンスストアなどに並ぶ「ペットボトル緑茶」は、キャップを開けるだけの手軽さに加え、後味がよく、すっきりと飲めることから、世代を問わず人気が高い。
最近では、飲料メーカー各社も相次いでペットボトル緑茶のブランド刷新を行い、新商品を投入。飲料総研の調べによると、2015年の緑茶飲料の市場規模は、前年比5.0%増となる約2億4000万ケースに伸びたという。なぜ今、飲料メーカーの間でペットボトル緑茶の競争が激化しているのか。
■お〜いお茶がシェア40%の緑茶飲料市場
「1970年代までは、コンビニで売っているお茶といえば缶入りの麦茶でした。それが、90年代にペットボトルの緑茶が登場すると一気に麦茶を追い抜き、どんどんシェアを拡大していったのです」
そう話すのは、コンビニ評論家の田矢信二氏だ。田矢氏によると、現在のペットボトル緑茶人気の火付け役となったのは、キリンビバレッジの主力ブランド「生茶」だという。
「『生茶』は、うまみ成分のテアニンなどを豊富に含む『生茶葉抽出物』を使用した緑茶として、2000年に発売されました。CMで松嶋菜々子が手にはめていたパンダの人形が『生茶パンダ』として人気になり、関連グッズが軒並み売れるなど、大ヒットを記録します」(田矢氏)
しかし、04年をピークに「生茶」の売れ行きは下降する。そこで、キリンビバレッジは今年3月、パッケージやボトルデザインを一新し、従来より茶葉を細かくカットして香りとうまみを際立たせるなど、ブランドをリニューアル。その結果、発売1カ月で計画を上回る260万ケースを突破するなど、予想以上に売り上げを伸ばし、再び緑茶飲料市場の牽引役となっている。
「『生茶』に続いてペットボトルの緑茶飲料市場に登場したのが、サントリーと京都福寿園のコラボによって開発された『伊右衛門』です。福寿園の茶匠が厳選した茶葉だけを使用したというプレミアム感が消費者の心をつかみ、期間限定のバリエーションも登場するなど、ヒット商品になりました。
サントリーは、それまでペットボトル緑茶で何度も失敗していたのですが、『伊右衛門』のヒットにより、やっとその負のスパイラルから脱することができたのです」(同)
そして、この「伊右衛門」の成功を見て07年にペットボトル緑茶に参入、生まれたのが、やはり緑茶では苦戦していた日本コカ・コーラの「綾鷹」だ。
「綾鷹」は、京都の老舗茶舗とコラボした「伊右衛門」のヒットを受けて、京都宇治の上林春松本店と提携して開発された緑茶飲料。「綾鷹」というブランド名は、老舗茶舗である上林春松本店が販売していた高級玉露に由来する。
「『生茶』や『伊右衛門』と同様に、茶葉のプレミアム感を打ち出したことで、『綾鷹』もヒット商品となりました。現在、ペットボトルの緑茶飲料市場の勢力図は、販売数2位が『伊右衛門』、3位が『綾鷹』、これらに続く4位が『生茶』となっています」(同)
それでは、「伊右衛門」や「綾鷹」を抑え、緑茶飲料市場でシェアトップとなっているのはどんなブランドなのだろうか。田矢氏によれば、それは伊藤園の老舗ブランド「お〜いお茶」だという。
「『お〜いお茶』がこのブランド名で発売されたのは89年で、緑茶飲料の主要ブランドで一番歴史が長い。単純に、老舗商品で消費者の信頼感が高いということもありますが、一番のポイントは誰もが手に取りやすいネーミングの妙でしょう。『お〜いお茶』は緑茶飲料市場で約40%という巨大なシェアを誇り、他の追随を許さない圧倒的一番化商品なのです。」(同)
■今後は健康に特化した緑茶がブームに?
この「お〜いお茶」「伊右衛門」「綾鷹」「生茶」といったブランドが激しくシェア争いを繰り広げるなか、現在、各飲料メーカーの間でトレンドとなっているのが、季節ごとの「味の変化」とペットボトルの増量だという。
「例えば、この夏は各メーカーとも『氷水出し』や『玄米茶』が多かったですね。ハーブが入ったブレンド茶も目立ちます。また、従来のペットボトルの緑茶は500ミリリットルのサイズしかなかったのですが、この夏は多くの商品が600ミリリットルにサイズアップされました。コンビニのメインとなる客層は男性なので、男性のニーズに合わせて量を多くしたのです。最近では、地元志向の強い若者が増えているため、地方コンビニがクローズアップされています。そのため、今後は地方限定商品も多く品揃えされるかもしれません」(同)
さらにもうひとつ、最近の緑茶飲料市場で主流となりつつあるのが、ペットボトルのパッケージに「和」のテイストを取り入れることだ。
「『和』を強調したボトルデザインの緑茶飲料が増えているのは、インバウンド需要に応えるためです。訪日外国人旅行者数は、今年4月に208万人を突破し、単月としては過去最高を記録しました。世界中から観光客が日本に押し寄せている現在、さまざまな業界がその消費を取り込もうと躍起になっていますが、コンビニ業界、そして緑茶飲料も例外ではないというわけです。
加えて、今はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で商品画像が拡散されることが増えたため、スタイリッシュでおしゃれなボトルデザインの緑茶も増えています。スマホの画面でも一目でその商品がわかるように、おそらく、この先はあらゆる飲料メーカーがボトルデザインのマイナーチェンジをしていくでしょう。その時に、第一条件になるキーワードが『女性にウケるオシャレ感』だと思います」(同)
今後のペットボトル緑茶は、どのようなものがトレンドとなっていくのか。田矢氏は、「健康志向に特化したお茶がブームになる可能性が高い」と予想する。
「今の消費者は健康志向が強く、緑茶飲料が人気になっているのも健康ブームと無関係ではありません。これからは、もっと健康志向に特化したお茶が増えていくでしょう。いわゆる『高機能緑茶』では、花王の『ヘルシア緑茶』以来大ヒット商品が出ていないので、期待したいところです」(同)
健康に特化した高機能緑茶の登場に加え、「お〜いお茶」を頂点にシェア争いが激化するペットボトル緑茶。一消費者としては、この先、どんな緑茶飲料が開発されるのか楽しみだ。
(文=中村未来/清談社)
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