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コラム:
金庫株を抱え込む日本企業の悪しき慣行
Quentin Webb
[香港 31日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 多くの日本企業が自社株を抱え込んでいる。キヤノン(7751.T)や富士フイルム(4901.T)、任天堂(7974.T)をはじめとする一流企業は、いわゆる「金庫株」を大量に保有している。それは見せかけの企業価値を高めたり、企業幹部への動機付けをゆがめたりもする。
金庫株は企業が取得もしくは発行後に投資家に売却しなかった自社株式のことだ。配当がなかったり、1株当たり利益(EPS)などの株価指標の対象とはならないため、金庫株は宙に浮いた状態にある。
香港やオーストラリアなど一部のマーケットでは「金庫株」は存在しない。企業は取得した自己株を消却するからだ。ドイツやスペイン、シンガポールでは、金庫株の保有に対して、通常、発行株式の10%などの上限を設けている。
日本の金庫株は2001年に解禁されたばかりだが、企業はすでにその中毒となっているようだ。時価総額10億ドル(約1030億円)を超える大企業で、自社株の1割以上を保有する企業数は50社以上に及ぶことが、トムソン・ロイターのデータをBreakingviewsが分析した結果、明らかになった。野村証券によれば、3月末時点で自社の筆頭株主となっていた上場企業は過去最高の339社に上った。
この慣行は、幻覚症状を引き起こす。
Breakingviewsの親会社トムソン・ロイターの金融端末やブルームバーグのサイトで日本企業の時価総額を調べてみるといい。時価総額は株価と、金庫株を含めた発行済株式数の掛け算で求められる。これは結果的に価値の水増しとなる。
キヤノンを例にとってみよう。発行済み株式数を利用することで、同社以外の投資家が保有する株式の時価総額に対して、金庫株分の約70億ドル、つまり18%が追加される。正しい計算は、アナリストの多くが行うように、金庫株を除いて行うべきなのだ。
より大きな懸念は、日本の企業幹部が、金庫株を自由に使える金だと認識してしまうことだ。本来ならばキャッシュで適切に調達されるべき買収資金の対価としてあてがったり、経営陣に友好的な投資家を、他の株主の犠牲のもとで、突如強力な議決権の持ち主に変貌させたりする。韓国のコングロマリットは、投資家のアクティビズムに対抗するため、金庫株を利用してきた。
もちろん自社株の買い戻しは、残る株式の価値を高める。これは株主への意識が高い経営陣がまだ珍しい日本では、奨励されるべきものだ。しかし新株発行は難しくはなく、すでに得た自社株を消却しないままでいる理由はない。それを山積みにすることは日本の悪しきファイナンスの一例であり、大事にされるべきものではない。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/japan-treasury-breakingviews-idJPKCN1180IB?sp=true
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