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[月曜経済観測]堅調な水産物需要 中国の購買力が突出 マルハニチロ社長 伊藤滋氏
新興国の経済発展を背景に、水産物の消費は世界で拡大してきた。中国や欧州の景気不安で需要に変調はあるのか。マルハニチロの伊藤滋社長に聞いた。
――水産物の需要に変化はありますか。
「欧州では北米産スケソウダラやエビの消費が昨年後半から落ちている。ドイツが輸入するベトナム産バサ(ナマズの一種)の荷動きも鈍化した。海外から水産物を買うようになったナイジェリアなどの資源国にも一時の勢いはない。ただ、米国や中国、東南アジアなどの需要は強い。世界全体でみれば堅調だ」
買い負ける日本
――中国の「爆食」も続いているのですか。
「景気減速にもかかわらず、中国は海外から活発に水産物を買い付けている。たとえばキューバ産ロブスター(大型のエビ)は9割近くを中国が買い占めている。日本も欧州も中国の購買力に付いていけない。最近ではサンマなどの消費も増えてきた」
――円高で日本の購買力は強まったはずです。
「かつて銀ムツと呼ばれた南極海域でとれるメロ(白身魚)は、米国などが1キロ40ドル近い値段で買い付ける。日本が出せる値段は25ドルほどだ。30ドル以上の価格では店頭で売れない。多少の円高では埋められない購買力の差がある。比較的安価なカマやほほ肉の部分だけ手に入れようとしても、それさえ中国が買い付けるようになった」
「1980年代前半、米国のエビの輸入量は日本の半分ほどだった。それが1999年に逆転し、2014年の日本の輸入量は米国の3分の1にすぎない。水産物全体の輸入量も01年の380万トンがピークで、今や250万トン以下だ」
――日本の購買力はなぜこんなに落ち込んだのでしょうか。
「80年代まで水産物の消費は日本が中心だった。ところが、世界の需要が人口増加や新興国の経済発展で拡大し始めた。天然資源に頼る水産物の供給には限界があり、相場は上昇した。米国の富裕層や新興国で台頭した中間層は健康への意識が高く、高い値段を出しても水産物を食べる」
「一方、日本は少子高齢化に加え、単身世帯などの増加で料理の手間がかかる魚の消費が落ちている。バブル経済の崩壊以降、所得も減少し、高くても水産物を買う世界の趨勢に追い付けなくなった」
商品開発に注力
――国内でも食品の値上げが目立ちました。
「14年度から15年度にかけては当社製品も含め、値上げが浸透できた。ただ、消費者には将来の生活不安が根強く、生活防衛意識は高い。ここにきての円高で再び流通企業から値下げ圧力が高まる懸念はある」
――水産大手はやはり成長市場に経営の軸足を移すのですか。
「当社の売上高に占める海外市場の比率はここ5〜6年で2倍以上の約18%に上昇した。だが、日本人にもう一度、水産物の良さを認識してもらえるような商品開発も重要だ。世界の人が和食の魅力にひかれているのに、日本人の食生活で『魚離れ』が進む現状は残念だ。世界の水産権益をおさえ、日本市場に供給できる体制を維持したい」
(聞き手は
編集委員 志田富雄)
いとう・しげる 主力の水産事業を歩み、スペイン駐在など海外経験も。66歳。
[日経新聞8月22日朝刊P.3]
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