忘れられるロシア危機の教訓 By SPENCER JAKAB 2016 年 8 月 18 日 16:57 JST トレーディングは若手の仕事だということもあり、金融界ではあまり昔の記憶がない。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年12月に2006年以来の利上げに踏み切ったとき、債券を売買している人々の大多数にとって利上げは初めての経験だという指摘が数多くあった。 ロシアの債務危機から17日で18年目になるが、この大事件を記憶している人ははるかに少なく、40歳未満のトレーダーでは間違いなく皆無だろう。この危機がヘッジファンドのロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破たんを招き、FRBが介入しなければ世界の金融市場は転覆していたかもしれない。LTCMはロシアだけに持ち高を大きく傾けていたわけではなかったが、他の大量に売買が集中する取引(クラウディドトレード)に数多く関わっており、それらの取引が一斉に解消されたのだ。 市場の達人らはいま、当時と同じように予想外の出来事があっても、その余波を受けるような持ち高をとってはいない。だが、記憶の浅い個人投資家が、当時のようなクラウディドトレードに関与しているとの警鐘がある。長年にわたる超低金利を背景に、こうした投資家はほんの少しでも利回りのつく株式や債券を保有するファンドに集まってきた。バンガード・グループは7月、配当成長ファンドの新規募集をやめるという異例の措置をとった。そして、FRBのエコノミストを共著者とする最近の論文で、金利がいずれ上がればこうしたファンドが「取り付けのような動き」に見舞われる恐れがあると警告した。 これは利回りが低下し続けることはできないという意味ではない。しかし、売買での損失を覚悟していない個人投資家は、気づかぬうちに自滅の恐れもある危険なゲームに参加しているのかもしれない。 関連記事 好調な市場の陰でくすぶる政治リスク ジャンク債、魅力と危険が交錯 英国債、欧州債市場の主役−ブレグジット決定後 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwim_OzWx8rOAhXGj5QKHfcgAsQQFggcMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10191232058230093692804582258802124896904&usg=AFQjCNGPAjrsojLLun9AETql3xD4TwCRuw&bvm=bv.129759880,d.dGo
【インサイト】ヘッジファンドのバケツ、穴開けたのは実は特定の戦略 Michael P. Regan 2016年8月18日 14:46 JST ヘッジファンド業界の資産流出を引き起こしているバケツの穴については既にお聞きだろう。 注目に値するのは、その流出は業界全体からというよりもむしろ、ある特定の戦略を追求するヘッファンドからという事実だ。その戦略とは、株価上昇期待の銘柄を買いつつ下落が見込まれる銘柄は売るロング・ショートだ。ユーリカヘッジによると、業界全体から5−7月に投資家が引き揚げた資金は計207億ドル(約2兆700億円)。同じ期間にロング・ショート戦略のファンドからは184億ドルが流出、その額は7月だけで66億ドルだったとみられる。 https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/is8E1FoUUSE4/v2/-1x-1.png ヘッジファンド業界で株式のロング・ショートは最大の戦略であり、その運用資産は業界全体の2兆2500億ドルのうち8000億ドル近くを占める、とユーリカヘッジは見積もる。しかも、資産の流出ペースが最も速い。運用資産における割合でいうと7月初め時点で0.8%と、ロング・ショートの次に投資家資産の引き揚げが大きかったマクロ戦略の3倍近くだった。 一万円札と100ドル札 Photographer: Yuriko Nakao/Bloomberg ロング・ショート戦略のパフォーマンスは株の上昇相場が始まった2009年以降は市場全体を下回ったが、過去2回の弱気相場の局面では上回った。このため、いつの日か復活するかもしれないが、容易ではないだろう。 (このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません) 原題:One Strategy Punched a Hole in the Hedge-Fund Bucket: Gadfly(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-18/OC38IW6KLVRB01
アングル: 政治・金融リスクは二の次、欧州債買いに走る投資家 8月17日、政治・金融リスクは二の次で、投資家は欧州債買いに走っている。写真は水たまりに映るユーロ記号の彫刻。フランクフルトで2012年1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach/File Photo) [ロンドン 17日 ロイター] - 欧州国債の利回り格差は今やほとんど消滅してしまった。英国民投票における欧州連合(EU)離脱派勝利を受けて経済見通しが下振れ、中央銀行が新たな緩和措置を打ち出すと、少しでも高い利回りを求める投資家の動きに拍車が掛かったためだ。この間、それぞれの国の信用力や政治リスク、財政および経済の状況は重要視されなくなった。 だが、ひとたび市場の関心が各国固有の事情や外的要因に戻れば、問題が発生する可能性が高まっている。 欧州国債への活発な需要を物語る1つの例として、相対的に格付けの低いスペインの10年債利回りES10YT=TWEBまでが、より高い格付けを有するフランスやベルギー、フィンランドと並んで1%を割り込んでいることが挙げられる。ドイツ国債利回りDE10YT=RRへの上乗せ(スプレッド)はわずか100ベーシスポイント(bp)強と、過去には長続きした局面がない水準まで縮小した。 やはりドイツやフランスに比べて格付けが低いイタリアの10年債利回りIT10YT=RRは1%強で推移。一部のファンドマネジャーによると、これは同国が抱える銀行セクターの不良債権問題や、憲法改正の是非を問う国民投票に絡む政治的な不透明感を反映していない水準という。 ピクテ・ウェルス・マネジメントの欧州担当シニアエコノミスト、フレデリク・デュクロゼ氏は「欧州国債に違いはほぼなくなっている。これらの価格が調整される場合には、悲惨な事態が起こりかねない」と警告する。 欧州中央銀行(ECB)による大規模な資産買い入れが市場の支えとなり、各国固有のリスクの影響を和らげているのは間違いない。しかし投資家が、市場心理の変化や大規模な売りを引き起こす何らかの材料に対して完全な防御態勢を整えているわけでもない。 昨年4月から6月には物価が上向いたことをきっかけにドイツ国債利回りが約100bp、スペインやイタリアは120bp強も跳ね上がる予想外の展開に見舞われた。 16日にはポルトガル国債利回りが格付け会社DBRSの警告を受けて急上昇した。固有リスクが再び注目された場合にあっという間に利回りが高騰することを再認識させる動きと言える。 またアナリストによると、今後の経済指標や米国の利上げ観測の高まりなどが欧州国債市場の調整をもたらしてもおかしくない。 みずほインターナショナルの金利ストラテジスト、アントワーヌ・ブベ氏は「全般的に国債利回りが反転上昇するシナリオでは、リスクが最も大きいとみなされる国債が一番打撃が大きいだろう。それが昨年3月から6月に目にされた光景だった」と指摘。周縁国の国債は全般的な売り局面でスプレッド拡大が予想されるだけのリスクを十分はらんでいるとの見方を示した。 それでも世界全体で13兆ドル余りの国債・社債の利回りがマイナス圏に突入する中で、投資家はより高いリターンを得るために年限や格付けなどの範囲をどんどん拡大し、その結果としてスペインやイタリアの国債利回りが米国債を下回るようになった。 JPモルガン・インカム・オポチュニティ・ファンドのオクサーナ・アロノフ氏は、マイナス金利の債券が増えるとともに、ファンダメンタルズに基づいて取引されなくなってきていると説明した。 一方、フランクリン・テンプルトン・フィクスト・インカム・グループの欧州確定利付き商品責任者、デービッド・ザーン氏は、欧州の発行体間の利回り格差が乏しくなっているからこそ、ファンダメンタルズの分析がより大事になっていると主張する。向こう半年から1年はともかく、いずれはファンダメンタルズが主役に復帰する可能性があり、その債には大規模な価格調整が起こり得るとみている。 (Dhara Ranasinghe記者) http://jp.reuters.com/article/eurozone-bonds-yields-idJPKCN10T09D
日銀、来月「大胆な」行動とる可能性=本田前参与
By TAKASHI NAKAMICHI 2016 年 8 月 18 日 13:46 JST 【東京】日本銀行は来月、「大胆な」行動をとる可能性が高い。前内閣官房参与の本田悦朗駐スイス大使はウォール・ストリート・ジャーナルの単独インタビューでこのような見通しを示し、9月20・21日の金融政策決定会合で予定している政策の総括的な検証において、今後、金融緩和を縮小する道筋をつけるとの観測を否定した。 本田氏は「どのように検証するにしても、既に答えはある。これまでの金融緩和は不十分であった、ということだ」とし、「あるいは、金融緩和はそれなりの効果を出したが、財政緊縮や...外的な要因が重なりあって、金融政策のプラス効果を打ち消してしまった。そういう答えしかないはずだ。その答えから導き出されるのは、より一層の金融緩和をしよう、という政策インプリケーションしかないはずだ」と語った。 日銀が2%のインフレ目標を達成する前に緩和縮小を始めるならば、「デフレからはもう二度と戻れない」ことになると指摘した。6月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は前年同月比0.4%の低下で、2013年3月以降では最も大幅な下落となった。 本田氏は、日銀が7月の決定会合で明らかにした総括的な検証の必要性に疑問を投げかけ、日銀の姿勢が円高を招いたと指摘した。「明らかに円高が行き過ぎている。その理由は ... これ以上金融緩和は無理だと思われてしまっていることだ」と述べ、「避難通貨として円が選らばれているというが、それは全くの嘘だと思う。円が避難通貨であるわけがない。やはり金融政策だ」と語った。 その上で、「米国が何といおうと、もっと思い切った政策をとっていいと思う」との見解を示した。 日銀当局者らはおしなべて、円高の理由は日銀の政策ではなく、米国の金融政策経路に対する不透明感にあるのではないかとみている。また、検証は公平かつ厳格に行われ、予断を抱くことはないとしている。 本田氏は、一般のインフレ期待の低下に対処するには、金融緩和の強化と財政政策の組み合わせが緊急に求められると語った。そして、9月の決定会合で「大胆な金融緩和を打ち出す可能性は5割超あると思う」と述べた。「これでやらなかったら、本当に国民は『やっぱりだめか』と感じてしまうのではないか」と語った。 本田氏は、日銀がマネタリーベースの目標を、25%増やし100兆円とするべきとの考えを示した。この目標を達成するために、主に長期国債の買い入れを現行の年間約80兆円よりも早めるべきだとした。詳細は明らかにしなかったが、日銀は新たな株式買い入れ枠を設けることも可能との見方を示した。 日本の金融政策は限界に達したとの見方が高まりつつあるが、安倍晋三首相はそのようには「感じていないと思う」と本田氏は語った。量的緩和の効果は数年前と比べると薄れているかもしれないが、「『効果がうすくなってきたからもっとやろう』。それがアベノミクスの精神だ」と指摘した。また、日銀が当座預金のうち政策金利残高に適用しているマイナス0.1%の金利は、金融システムの健全性に対する懸念が高まる可能性があるので、深掘りすべきではないとの見方を付け加えた。 さらに、日銀は四半期ごとの「経済・物価情勢の展望」で2%のインフレ目標達成の見通しを引き続き示すべきだと指摘した。日銀内部の議論を知る関係者によると、日銀上層部ではインフレ期待の形成に影響することを避けるために、見通しの公表はやめるべきかとの議論がある。 関連記事 日銀の「総括的な検証」が注目される理由 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwi2466dx8rOAhUFE5QKHWu1C3QQqQIIHjAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10191232058230093692804582258541791147290&usg=AFQjCNHfWmpudbvqnvVbtLaZUVbIWR3m9Q
政府・日銀会合、今月2度目 浅川財務官「臨時的位置付け」 [東京 18日 ロイター] - 財務省・金融庁・日銀は18日、今月2度目となる国際金融市場に関する意見交換会合を開き、円高進行のけん制を図った。浅川雅嗣財務官は会合後、記者団に「前回から1カ月たっていないという意味で、(今回の会合は)臨時的な位置づけ」と述べ、投機的な動きに対する警戒感をあらわにした。 政府、日銀が3者会合を開催するのは今月3日以来、約2週間ぶり。 今年3月の発足当初は月に1回程度の開催を想定していたが、円が対ドルで心理的節目とされる100円を割り込んで推移している現状を踏まえ、急きょ開催に踏み切ったとみられる。 この日の会合には財務省の佐藤慎一事務次官、浅川雅嗣財務官に加え、日銀から雨宮正佳理事と前田栄治理事が出席。金融庁からは氷見野良三金融国際審議官、森田宗男総括審議官、油布志行参事官が会合に参加したが、休暇中の森信親長官は姿を見せなかった。 会合は午後1時50分に始まり、45分程度で終了した。会合後、浅川財務官は記者団に対し、為替動向について「ファンダメンタルズに応じた動きなら構わないが、そうでない動きが時として見られる」と述べ、投機的な動きがあれば必要に応じて対応する考えをあらためて示した。 http://jp.reuters.com/article/mof-boj-idJPKCN10T0B5
「日銀総括」控えて日本企業の起債活発化、金利の先行きに不透明感 Finbarr Flynn 2016年8月18日 15:26 JST お盆休み明けの日本企業は、資金調達コストの5カ月ぶり水準への上昇に直面しているが、起債を控える様子はうかがえない。 ソニーは17日、9月にも起債する方針を表明。年限は3年、5年、7年、10年を考えている。またパナソニックは最大4000億円の起債を検討している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのデータによると、日本企業の社債の平均利回りは同日、0.24%となっており、前月の最低水準0.096%に比べて上昇。3月以来の高水準に迫っている。 日本銀行は9月20、21日の金融政策決定会合で、金融政策の効果などについて「総括的な検証」を行う予定。市場金利がどう反応するか不透明なことから、会合以前に企業が起債しようという誘因があるかもしれないと、みずほ証券の大橋英敏チーフクレジットストラテジストはみている。今月はこれまでに起債した企業は2社にとどまっているが、電力や鉄道を含め20社以上が8月以降に起債する方針を表明している。 日銀本店 日銀本店 Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 大橋氏は、日銀の総括的な検証について「どういう内容か分からず、もしかしたらさらなる金利上昇のカタリストになるかもしれない」として、「むしろ今のうちに起債して行こうというインセンティブになる」との見方を示した。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-18/OC37F26JTSEB01 いつまで続けられるゆうちょ銀と3メガ、黒田日銀の爆買い相手に限界 野沢茂樹、Gareth Allan 2016年8月18日 16:21 JST • 4行の国債保有額は異次元緩和下で半分未満に • 銀行勢の残高削減は「一段と厳しくなっていく」とメリル
日本銀行が異次元緩和下で進めてきた日本国債の爆買いに応じてきたのは、ゆうちょ銀行や3メガバンクに代表される国内銀行勢。だが、保有国債の削減余地には限界が見えつつある。 ゆうちょ銀と三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの4行は6月末に合わせて約114兆円を保有。異次元緩和下の3年余りでほぼ半分に減った。国内金融機関にとって、国債は円建て運用先や金融取引の担保としてある程度の規模を維持する必要のある資産だ。 A Japanese national flag flies while signage for the Bank of Japan Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg 2013年4月に黒田東彦総裁が量的・質的金融緩和を導入し、大規模な国債買い入れを続けた結果、3月末の発行残高1075兆円に占める日銀の保有割合は33.9%に達した。市場の流動性低下や相場変動率の拡大といった副作用も生じている。前例のない金融緩和は過度な円高の是正や株高をもたらした半面、肝心のインフレ率は水面下で低迷。日銀は9月の決定会合で黒田緩和の「総括的な検証」を行う。 メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ債券ストラテジストは、日銀の巨額購入に対して「残高を圧縮するのはまず銀行勢だが、償還分を超えて残高を減らしていく余力はなくなりつつある」とみる。「いつまで続けられるのか、一段と厳しくなっていく恐れがある」と予想。長期金利が一時付利を大幅に下回る場面もあるなど、量的緩和の限界が見え隠れしつつあると分析している。 https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iVVcdpeGdx.M/v2/-1x-1.png ゆうちょ銀の国債保有額は昨年度に24.5兆円減り、運用資産に占める構成比も約12%ポイント低下するなど、2007年の民営化以降で最大の削減となっている。持ち株会社の日本郵政、かんぽ生命保険とともに昨年11月に上場した同行は、収益力向上のため、低利回りの国債を減らして外国債券や株式などのリスク資産を3年間で60兆円に増やす計画だったが、わずか1年で61.6兆円と前倒しで達成した。 Masatsugu Nagato, president of Japan Post Bank Co. Photographer: Akio Kon/Bloomberg *** Local Caption *** Masatsugu Nagato ゆうちょ銀の16年3月期決算の説明会に関する情報は、こちらをクリックしてください 異次元緩和の導入から4−6月期まで13四半期連続で減少している同行の国債保有額は6月末に79.7兆円、構成比約39%と、ともに最低を更新。ただ、3月末からの減少幅は前年同期の約半分に鈍化している。先週の4−6月期決算会見では大野利治執行役財務部長が、超低金利下での償還資金はマイナス利回りの国債には再投資せず、半分を外債に振り向けていると述べた。 一方、預金と貸し出しの残高差である預貸ギャップが広がる運用難に直面しているメガバンクなどの国内銀行は、巨額の国債を買い入れる日銀オペに応じて国債保有額を圧縮してきた。5月末には93兆円と08年11月以来の低水準を記録している。 MUFGの国債保有額は6月末に26.8兆円と3年余りで半減。みずほFGは10.5兆円、三井住友FGは6.8兆円と、それぞれ約3分の1に減った。今後の保有額削減について、みずほFGの広報担当、塩野雅子氏は「担保繰りなどを勘案すれば、国債のさらなるに残高削減は基本的に想定していない」と答えた。三菱東京UFJ銀行の内田和人氏は先月、金融取引の担保だけで約15兆円の国債が必要だと説明した。 シティグループ証券の銀行担当アナリスト、古木謙太郎氏は「銀行は担保繰りに必要な額には到達しつつあるが、ある程度のバッファーをみている」と分析。直ちに「これが壁だとは言い切れない。まだ減らしていく余地はある」と読む。 購入額の柔軟化 日銀の国債等保有残高は今月10日時点では389.5兆円。3月末に比べて約40.3兆円増加した。メリルリンチ日本証の大崎氏は、来年末には保有割合が約5割に達すると試算。「日銀は超長期ゾーンを中心に国債買い入れ規模の柔軟化を打ち出す可能性がある」と読む。「従来と同じ年80兆円程度を中心とするが、実態としては購入額が減っていく」と予想。「市場の需給逼迫(ひっぱく)に対応した柔軟化は遅かれ早かれ避けられない。やるなら早い方が良い」と言う。 黒田総裁は7月末の記者会見で、国債等発行残高の「まだ3分の2が市場にある。何か量的な限界にきているとは全く思っていない」と発言。岩田規久男副総裁は4日の講演で、来月の検証は物価目標の早期達成を果たすためであり、これまで進めてきた「金融緩和の程度を緩めることはあり得ない」と言明した。 日本証券業協会の統計によると、都市銀行と信託銀行、生損保の国債売買高は5月に合計10兆885億円とデータでさかのぼれる04年以降で最低を記録した。異次元緩和の導入後に7割減となった。直近の6月分も過去2番目の低水準。メガバンクを含む都銀は5月に2兆34億円と最低を更新し、同期間に6分の1未満に縮小した。 国内銀行勢と並んで国債の売り手となってきたのが世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)。国内債保有額は3月末に積立金全体の37.55%に当たる52.8兆円。ブルームバーグの試算によると、構成比を目標値の35%まで下げるには、償還分の再投資見送りも含めて約3.6兆円の削減余地がある。ただ、その後はさらに大幅な株安・円高に見舞われるか、許容範囲内で目標値より低い構成比を目指さない限り、新たな削減余地は生まれてこない。 ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、国内銀による国債保有額の削減が限界に近づき、日銀が購入できる余地がなくなりつつあるのは間違いないと指摘。生命保険や年金基金からさらに高値(低金利)で買おうとしても、財務上の制約が出てくるので難しいと語った。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-18/OC3GF06KLVRC FOMCで合意形成進む、インフレリスク小さい−年内利上げは不透明 Matthew Boesler 2016年8月18日 11:09 JST r 「速いペースのインフレ進行でも対応可能」と議事録 米当局が緊急に動く兆候はないとTDセキュリティーズ
米金融当局者は金利をどうすべきかは別として、インフレが近いうちに急上昇するリスクはあまりないとの見方で一致しているようだ。 17日に公表された7月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録によれば、FOMC参加者17人の大部分は「米労働市場のさらなる緩やかな改善が、望ましくないインフレ圧力の上昇をもたらすリスクは比較的小さい」と認識していた。 米連邦準備制度のあるビル(ワシントン) さらに議事録には「幾人かは、インフレが当局の現在の予想よりも速いペースで上昇した場合でも、当局には反応する十分な時間がある可能性が高いことを示唆したほか、インフレ率が継続的に2%に近づきつつあるとの確信を強められるまでフェデラルファンド(FF)金利の追加引き上げを遅らせるのが望ましいとの考えを示した」との説明があった。次回の金利変更時期への具体的な言及はなかった。次回FOMCは9月20、21両日に開かれる。 一部の当局者は割合早い時期の利上げを望むにせよ、この好ましいインフレ見通しにより、政策当局者らは最近の米労働市場指標や英国民投票がもたらした長期の不確実要因を検討する時間的余裕が得られる見通し。7月のFOMC声明は「経済見通しへの短期的なリスクは後退した」と指摘した。 ただ7月FOMC議事録はあらためて強い警告も示した。一部の当局者は「英国のEU離脱を決めた国民投票により、米国の経済・金融状況に影響を及ぼし得る海外経済の中長期見通しに不確実性が生じたと述べた」とした。 これら全てを考慮すると、年内の米追加利上げの見通しは依然不透明だ。フェデラルファンド(FF)金利先物相場によれば、投資家が見込む年内利上げ確率はFOMC議事録発表後も約50%と、発表前とほぼ変わらなかった。 TDセキュリティーズの米調査・戦略副責任者、ミラン・ マルレーン氏は「米当局の側には緊急に動く兆候はない」と指摘。「議事録をみても、6、7月の当局の見解と何も変わっていないという印象だ。インフレを中心に引き続き不確実性が残っており、それが当局者の行動を阻む可能性が高い」と説明した。 原題:Widening Fed Consensus on Inflation Overshadows Rate-Hike Debate(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-18/OC30UF6JIJV301
FOMC議事要旨、一部が早期利上げ支持:識者はこうみる [17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が17日公表した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨から、一部メンバーが早期の利上げが必要との考えを示したこと分かった。同時に、FOMC参加者は総じて、一段の指標を見極める必要があるとの見解で一致していることも明らかになった。 市場関係者のコメントは以下の通り。 ●タカ派色強く、英EU離脱決定の影響懸念せず <サヴィルズ・スタッドリーの首席エコノミスト、ハイディ・ラーナー氏> 今回の議事要旨はタカ派色の強い内容となった。ニューヨーク連銀のダドリー総裁発言は、状況が良好とみるこれら議事要旨のトーンと一致する。英国の欧州連合(EU)離脱決定が、米国で懸念材料となる公算が小さいとの認識を非常にはっきりと示した。 商業用不動産をめぐる一部懸念が存在すると、議事要旨は確かに言及している。だが、低金利状態が続くとみられる環境下で、投資家が現在の利回り水準により心地よさを感じる可能性があると指摘することで、こうした不安を抑えたことも事実だ。 低金利の長期化と、投資家のリスク行動は整合的でないと区別するのは重要だ。リターンが低下する環境下に恐らくあり、当面続くということだ。 ●中立的な内容、7月雇用統計で自信深める <ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの新興国市場為替戦略グローバル責任者、ウィン・シン氏> 議事要旨はかなり中立的な内容だ。利上げの必要性をめぐり意見が分かれている。ただこれは7月27日時点の議論であり、大幅な伸びを記録した7月の雇用統計が発表される前のタイミングだ。当時は6月の雇用増ペースが持続するのか、多くの当局者が不安だったのではないか。 だが7月の雇用統計を受けて、前日発言したダドリー米ニューヨーク連銀総裁のように、その後自信を深めている様子がうかがえる。 議事要旨はタカ派的ではなく中立的だ。 ●内部で広範な議論、リスク均衡近い <ジェフリーズの短期金融市場エコノミスト、トーマス・シモンズ氏> FOMC声明で目先のリスクが後退したと言及するだけではやや曖昧だ。リスクが均衡、または下振れ方向と判断しているのか分からない。だが議事要旨で広範な議論が行なわれたことが明らかになり、均衡に近づいていることを表していると考える。 これは、目先のリスクが後退したとの認識を示すことで、利上げへのシグナルに徐々に近づいているとのメッセージにほぼ整合する。ただ時期については確定していない。 ●年内利上げなお示唆 <ジョージワシントン大学准教授・インディードの首席エコノミストのタラ・シンクレア氏> 雇用統計が2カ月連続で堅調だったことを受け、一部FRB当局者からは9月までに利上げが実施されるとの示唆が出ていた。ただ、議事要旨からは過半数のメンバーが利上げに踏み切る前に労働市場のほか、経済全般がどの程度力強くなっているのか、より多くの経済指標を通して確認するために待ちたいとの姿勢を示していることが分かった。 とはいえ、今回の議事要旨もなお、年内に利上げが実施されることを示唆している。 ●7月会合、雇用統計発表や強気相場入り前に開催 <マッコーリーのグローバル金利・為替ストラテジスト、テリー・アルバート・ワイズマン氏> 9月利上げの可能性を示唆する前日のダドリー米ニューヨーク連銀総裁の発言を確認する内容になるとの一部の投資家の期待には沿わなかった。また、議事要旨が明確な利上げ時期を示さなかったことは、幾分失望を誘った可能性はある。 ただ、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が、7月米雇用統計の発表や株価が好調に推移し始める前に開催されたことを念頭に置く必要がある。それを踏まえると、前日のダドリー総裁の発言のようにタカ派的で前向きな内容となる可能性があると期待することには根拠は存在しない。 ●積極派と消極派に分裂、9月会合では反対票増加も <ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメントの首席ポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏> インフレ率が持続的に2%に向けて上昇していることが確認できるまで待とうとしている一派と、労働市場関連指標から近く利上げに踏み切ることが正当化されていると考える一派に明確に分かれている。 7月のFOMCで反対票を投じたのはジョージ・カンザスシティー地区連銀総裁だけだったが、数人のメンバーが利上げを主張していた。9月のFOMCで反対票を投じるメンバーが少なくとも2人出たとしても驚きではない。 ただ、イエレン議長は「様子見」派であると考えている。 ●利上げコンセンサス形成されつつある <ドライブウエルスの市場ストラテジスト主任、ブライアン・ドーラン氏> 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨からは、利上げをめぐるコンセンサスが緩やかなペースで形成されつつあることが、一層鮮明となった。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁による最近の発言を踏まえても、市場は利上げの確率を過小評価しているようにみられ、9月のFOMCで利上げが実施される可能性は高まっている。 個人的には9月会合での金利据え置きを想定しているが、市場の認識やリスク心理は「より早い時期の利上げ」に振れることになるだろう。 ●想定ほどタカ派色強まらず <TD証券の金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏> 前日のダドリー米ニューヨーク連銀総裁の発言を踏まえると、事前予想よりややタカ派色が薄いようだ。ただ、7月の会合で様々な意見が出たことは確かだ。 議事要旨の公表を受けて、米国債の利回りカーブはややスティープ化した。そのため市場が見込んでいたよりはタカ派的ではなかったとの印象だ。 http://jp.reuters.com/article/fomc-minutes-instantview-idJPKCN10S23G
米MMF規制改正、一部金融機関にはありがたいか コメリカなど一部の米銀や国際金融機関は、米MMFの規制改正を受けたLIBORの上昇に恩恵を受けるとみられる By PAUL J. DAVIES 2016 年 8 月 18 日 16:33 JST 主要市場の大半で超低金利となる中、銀行として収益を上げるのは難しい。しかし、延々と続く利ざや縮小が、いずれにしても一時のことだが少し一服し、一部の米銀などが恩恵を受けそうだ。 この驚くべき原因は、米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)に対する規制改正にある。この改正が、世界的にドル貸し出し金利の指標とされるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の上昇につながっている。 この規制改正で、格付けの高いプライムMMFが額面割れとなる可能性は高くなるだろう。また、金融市場が緊張した場合には、解約手数料を徴収したり、顧客の資金を凍結したりもするだろう。 これを受けて投資家が国債を投資対象とし元本割れの可能性が低いMMFに資金を移す動きが生じている。プライムMMFは極めて安全性が高いとみられ、企業や投資家が現金を置いておく対象なので、この変化は大きなニュースだ。投資家らは銀行や企業が発行したリスクの低いコマーシャルペーパー(CP)に投資し、2008年の危機まで額面割れになることはほとんどなかった。 いまや数千億ドルもの資金がプライムMMFから離れ、CP市場から資金が引き揚げられ、CPの利回りが上がりLIBORも上昇している。3カ月物ドルLIBORは、1年前は約0.3%だったが、いまや0.8%程度に上がっている。米連邦準備制度理事会(FRB)が昨年12月に行った利上げは、この上げ幅の半分の原因でしかない。 一部の銀行は資金調達コスト上昇の悪影響を受けているが、LIBORに連動する変動金利建ての融資残高のある銀行には救いになっている。 いくつかの米銀は変動金利の事業融資などの資産を大量に持っているが、その資金の大半をLIBORに連動していない預金でまかなっている。モルガン・スタンレーによると、今後12カ月にわたりLIBORが高止まりするならば、コメリカ、ハンコック・ホールディング、アソシエーテッド・バンク・コープ、シチズンズ・ファイナンシャル・グループなど米銀の収益は4%?5%増える可能性がある。 HSBCやスタンダード・チャータードなど米ドル建て貿易金融を大規模に行い潤沢な預金のある大手国際金融機関も、恩恵を受ける可能性がある。だが、米ドル建て融資の資金を銀行間資金市場で調達している欧州の銀行にとっては高くつくだろう。 プライムMMFからの資金移動が定着し、LIBORの上昇は続く公算が大きいとモルガン・スタンレーはみている。しかし、MMFに頼ってきた金融機関が代わりに預金を追求するようになり、預金金利も上がる可能性が高いので、LIBOR上昇の恩恵はそういつまでも続かないだろう。金利面の救いも短命に終わる可能性がある。 関連記事 米MMFの新規制で人民元安進む可能性 堅調な香港市場を支える米ドルとの金利裁定 米短期金融市場、CP金利上昇で新たな投資家が参入 https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwis86blxsrOAhUEoJQKHSAAAhwQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB10153442616204504109704582258770714602242&usg=AFQjCNHHCyC_PuP3de9VunvZxlXvuucwqw 日本株反落、100円割れ円高定着を警戒−終盤に先物主導で一段安 赤間信行 2016年8月18日 07:56 JST 更新日時 2016年8月18日 15:45 JST 18日の東京株式相場は反落。1ドル=100円を割り込む円高が定着すれば、企業業績が下振れるとの警戒が強まった。日本銀行による上場投資信託(ETF)買いの有無を見極めたいとの姿勢も売買に影響を与え、午後終盤にかけ先物主導で下げ足を速めた。 東証1部33業種は電気・ガスや医薬品、情報・通信、不動産株など内需セクター、輸送用機器や精密機器、機械株など輸出セクターが幅広く売られ、32業種が下落。パルプ・紙の1業種のみ上昇。 TOPIXの終値は前日比20.34ポイント(1.6%)安の1290.79、日経平均株価は259円63銭(1.6%)安の1万6486円1銭。日経平均は5日以来、ほぼ2週間ぶりの1万6500円割れ。 ニッセイ基礎研究所の井出真吾チーフ株式ストラテジストは、「1ドル=100円前後の円高が続くと、中間決算で業績を下方修正する企業が増えるとの見方が投資家心理を悪化させている」と指摘。また、日経平均寄与度の大きいソフトバンクグループ株が自社株の買い終了で大きく下落したことも影響した、とみていた。 米連邦準備制度理事会(FRB)が17日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事録によると、追加利上げの緊急性をめぐり当局者の間で意見が分かれた。一部はインフレの抑制が続いていることから待つのが望ましいとした半面、労働市場が完全雇用に近い状態とし、早期利上げを主張する当局者もいた。 東京証券取引所 東京証券取引所 Photographer: Akio Kon/Bloomberg 同日の海外為替市場では議事録公表後にドル売り・円買いが強まり、この流れを受けたきょうの東京市場では午前に一時1ドル=99円60銭台まで円高が進んだ。昼休み時間帯から午後の取引前半にかけ100円台前半までドルが戻す場面もあったが、終盤は再度99円台で推移。 また、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは、「日本銀行のETF買いへの期待で午前に下げ渋ったが、為替の円安方向への戻りが鈍く、あらためて売りから入った」と言う。 東海東京調査センターの仙石誠マーケットアナリストは、「TOPIXは午前の段階で0.38%下がっていたので、きょうは日銀のETF買いが入ってもおかしくなかった。夕方の発表を待たないとはっきり言えないが、午後の値動きを見る限り買い入れがなかったかもしれない」と指摘した。 東証1部の上昇銘柄数は304、下落は1594。売買高は18億7609万株、売買代金は2兆1486億円。売買代金上位で下落は、自社株買いが終了したソフバンクのほか、NTT、日産自動車、ファミリーマート、マツダ、大東建託、ホシザキ、武田薬品工業、村田製作所、三井不動産、ホシザキ、シスメックスも安い。上昇はりそなホールディングスや東京エレクトロン、ピーシーデポコーポレーション、SUMCO、日本写真印刷、前期営業利益が1割増え、今期も増益を見込むドンキホーテホールディングス。 https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-17/OC2S456KLVRW01 日経平均は大幅反落、1万6500円割れ 日銀買い入れめぐる観測で軟化 [東京 18日 ロイター] - 東京株式市場で日経平均は大幅反落。1ドル100円割れへとドル安/円高方向に振れた為替が重しとなった。日銀によるETF(上場投信)買いへの期待感から、売り先行後は下げ幅を縮小する展開となった。だが、日銀の買い入れの動きが見られないとの観測が広がり、後場に入り再び軟化した。 日経平均終値は8月5日以来、8営業日ぶりに1万6500円を下回った。 前引け時点でTOPIXの下落率は前日比0.38%。市場では後場に日銀のETF買いが入る目安として「前場引け時点のTOPIXの下落率が0.2%以上」(国内証券)との見方が一部にあった。ところが、後場入り直後に先物への売りが出た。日銀の注文が見当たらないとの市場観測が流れたことが、投資家の失望売りを誘った。 日本株には円高も重荷となったが、ドル/円JPY=EBSは午後、一時的に強含む場面があった。前内閣官房参与の本田悦朗駐スイス大使が米紙のインタビューで、日本銀行は来月、「大胆な」行動をとる可能性が高いとの認識を示したと伝わったことが材料視され、一時100.35円に急伸。だがドル高/円安の進行は続かず、やがて99円台に突入した。 その後、財務省の浅川雅嗣財務官が為替市場について「投機的な動きがないか、絶えず注視」と発言したことで、ドル/円は持ち直しの動きも見られたが、日経平均は断続的な先物売りに押され、大引け前に日中安値を更新。JPX日経400.JPXNK400は安値引けとなった。 藍沢証券投資顧問室ファンドマネージャーの三井郁男氏は「下がって割安なところを買うアプローチも、需給上難しい。日銀のETF買いによる思惑で指数が上下に振れており、市場で起きていること自体、歪んでいると感じざるを得ない」と指摘している。 個別銘柄ではソフトバンクグループ(9984.T)が軟調。17日、今年2月に決議した1億6700万株、5000億円を上限とする自社株買いが終了したと発表した。需給面での緩みなどを嫌気した売りが優勢となった。 半面、さが美(8201.T)が急伸。ユニーグループ・ホールディングス8270.Tが17日、保有するさが美株全株を投資ファンドに売却すると発表した。ファンド主導での事業再生を期待した買いが入った。 東証1部騰落数は、値上がり304銘柄に対し、値下がりが1594銘柄、変わらずが75銘柄だった。 日経平均.N225 終値 16486.01 -259.63 寄り付き 16649.91 安値/高値 16481.41─16714.61 TOPIX.TOPX 終値 1290.79 -20.34 寄り付き 1302.29 安値/高値 1290.74─1306.37 東証出来高(万株) 187609 東証売買代金(億円) 21485.65 (長田善行) http://jp.reuters.com/article/nikkei-falls-idJPKCN10T0JZ
焦点:深セン・香港株式相互取引、投資家は冷ややか 暴落の記憶も [香港 17日 ロイター] - 中国国務院(内閣)は16日、深センと香港の両証券取引所間の相互株式取引の実施を承認した。これにより、外国人は香港を通じて、中国ハイテク株への投資が可能になる。ただファンドマネジャーは、割高感と投機への警戒感から、多くは参加をためらうのではないかと見ている。 昨年の中国株暴落の記憶はまだ新しい。中国経済が鈍化し人民元も約6年ぶり安値圏にある中で、海外マネーが殺到するとは考えにくい。 深セン市場はハイテク株が全体の4分の1近くを占めるが、その多くは小規模で知名度も低い。深セン市場全体のバリュエーションは香港を30%超上回っており、海外で上場している中国関連株より高い。 <冷めた見方> アンプル・キャピタルのポートフォリオマネジャー、アレックス・ウォン氏は「投資家は深センについてさほど熱心ではない。(相互取引開始までの)期間が非常に長い上に、深センで投資しなくとも、バイドゥやアリババ、テンセントなど他により良い選択肢がある」と話す。 実際、中国株式市場の反応は鈍い。深セン株.SZSCは17日、ごく小幅な上昇にとどまり、香港市場.HSI.HSCEは下落した。 深セン、香港の株式相互取引の開始日は正式には発表されていないが、香港取引所(0388.HK)のチャールズ・リー最高経営責任者(CEO)は、クリスマスまでには開始されると話している。2014年に始まった上海、香港の相互取引は、もっと短い期間で開始されている。 上海と香港の株式相互取引は大きな注目を浴びて始まったが、中国株が昨年夏に40%超下落したことを受けて、取引は長い間低迷した。 BofAメリルリンチ・グローバル・リサーチはリポートのなかで「深セン・香港相互取引のフローは、上海・香港よりさらに弱いものになると見ている。上海には外国人の関心が高い株式がより多く上場されているのに対して、深セン・香港の相互取引が始まっても、本土投資家にとっては香港での投資機会がそう広がるわけではない」と指摘した。 人民元の先安観も、外国人投資家が敬遠する原因になるかもしれない。昨年8月の突然の切り下げ以降、人民元は6%以上も下落した。 BNPパリバ・インベストメント・パートナーズでアジア太平洋株部門を率いるアーサー・クォン氏は「私のポートフォリオに関して言えば、相互取引について何らの行動も起こしていない。A株はアンダーパフォームしており、人民元が下落すると見ているからだ」と語った。 (Saikat Chatterjee記者 翻訳:吉川彩 編集:内田慎一) http://jp.reuters.com/article/hong-kong-market-link-shenzhen-idJPKCN10S0UL
スイスのネスレ:1−6月の増収率、7年ぶり低水準−デフレが響く Corinne Gretler 2016年8月18日 15:46 JST 世界最大の食品メーカー、スイスのネスレの1−6月(上期)の売上高は2009年以来の低い伸びとなった。同社は商品を値上げしづらい状況に見舞われている。 18日の発表資料によると、1−6月の増収率は実質ベースで3.5%。アナリスト予想は3.7%だった。同社は通期の実質増収率が昨年(4.2%)並みになるとの見通しをあらためて示した。 ポール・ブルケ最高経営責任者(CEO)は発表資料で、「1−6月に歴史的な低水準となったプライシングが向こう数カ月間に幾分か持ち直すと予想している」と説明した。 消費者が支出を手控える中、ネスレは欧州全域に広がりつつある物価下落に直面している。フランソワグザビエ・ロジェ最高財務責任者(CFO)は、ブラジルやロシアといった一部新興市場での物価上昇などが追い風となり、7−12月(下期)の業績は改善する見込みだと述べていた。 原題:Nestle Revenue Grows at Weakest Pace in Seven Years on Deflation(抜粋) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-18/OC3CZ36TTDSF01
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