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FRBの9月利上げに意外性はない
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kubotahiroyuki/20160818-00061250/
2016年8月18日 9時29分配信 久保田博幸 | 金融アナリスト
ニューヨーク連銀のダドリー総裁は16日のインタビューで、追加利上げが適切となる時期にじわじわと近づいていると述べ、9月20、21日の会合で利上げを決定する可能性はありうると指摘した(ブルームバーグ)。
アトランタ連銀のロックハート総裁も16日の講演で、「現段階でいかなる政策の立場にもとらわれていないが、経済に対する私の自信が正当化されるのであれば、年内に少なくとも1回の政策金利引き上げが適切になるかもしれないと考える」と述べた(ブルームバーグ)。
ここで注目すべきは執行部の一人でもあるダドリー総裁の発言であろう。ハト派とされているはずのダドリー総裁の今回の利上げに向けた発言の背景には当然ながら、正常化路線を進めようとしているイエレン議長がいると思われる。
米国市場では5日に発表された7月の米雇用統計の内容が良かったことで、年内利上げ観測が強まった。しかし、それも9月ではなく12月との見方の方が多いし、年内利上げは難しいとの見方も依然として存在している。こにきて米国の株価指数は過去最高値を更新しており、米長期金利は低位で安定している。そこに市場参加者にとってサプライズ的に9月に利上げを決定すると、その反動は大きくなる懸念がある。そこで9月の利上げに向けて、あらためて地均しを始めたと私は見ている。
しかもそのタイミングが7月のFOMC議事要旨の発表前というのもなかなか興味深い。昨年12月のFRBの利上げ以降、次の利上げのターゲットは6月と見ていた向きは多かったのではなかろうか。イエレン議長のシナリオも仮にそうであったとしたら、6月は予定通りに利上げを見送ったのではなく、想定外の事情により見送らざるをえなかったとの見方ができる。その想定外の出来事とは英国のEU離脱であった。
6月のFOMCは国民投票前ではあったが、世論調査で離脱観測が強まり市場は動揺していた。ここでの利上げ決定は見送らざるを得なかった。7月のFOMCでは実際に英国のEU離脱が決まり、それによる影響を見極める必要があり、ここでも利上げは見送られた。
16日に公表される7月のFOMCの議事要旨の内容は、市場からはある程度利上げに慎重と捉えられる可能性があった。実際に公表された議事要旨では、完全雇用に近い状態だとして利上げを進めても問題ないとの指摘がある一方、追加引き上げを遅らせるのが望ましいとの意見があるなど意見が割れていた。利上げを見送った以上はこういう結果にならざるを得ない。それをみて市場は9月の利上げも困難と解釈してくることも予想される。そこでダドリー総裁は先手を打ってきたという見立てもできなくはない(インタビュー等をこういう目的で使ったであろう事例は過去ある)。
利上げというが、米国のファンタメンタルズはそれほど良くはない、英国のEU離脱ばかりでなく、中国の経済減速などリスクが山積しているなか、日銀、ECBに加えイングランド銀行も大胆な緩和をせざるをえない状況下、FRBだけが利上げするのはおかしい、との見方もある。
しかし、おかしいのはむしろ日銀、ECB、イングランド銀行の方ではなかろうか。市場の動揺を抑えるため、もしくは通貨安を招くためとして、非常時の緩和策をさらに深掘りすることにどれだけの効果があるのか。むしろ日銀のマイナス金利政策のように、弊害が目に見えて大きくなっているものも出てきている。
そのなかにあってFRBが、雇用等のファンダメンタルズの改善の後押しもあるが、異常な緩和策からの脱却を図るというのは当然のことであろう。そのスケジュールが少し延びたものの、正常化路線を諦めるほど経済実態やマーケットは悪化してはいない。このため、予定通りに正常化路線歩むのであれば、9月の追加利上げは当然視野に入る。むしろ12月まで待つ方が、大統領選挙後ともなり政治リスクが入り、利上げがしにくくなる懸念もある。
上記のシナリオに異を唱える人も多いかもしれないが、イエレン議長が正常化路線を諦めていないことは、少なくとも今回のダドリー発言で裏付けられたと思う。そして、26日のジャクソンホールの講演でそれをイエレン総裁自ら明らかにするのではなかろうか。9月の米利上げが決定されるとしてもそれは全く意外ではない。
久保田博幸
金融アナリスト
フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。
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