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韓国、経済危機の兆候…韓国内で日本に援助求める機運高まる、過去には自ら拒否
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16331.html
2016.08.17 文=編集部 Business Journal
韓国経済が危機に瀕している。
韓国が頼みとしていた中国経済は失速が鮮明になり、イギリスの欧州連合(EU)離脱が決定したことから、外貨を中心に資本が海外へ流出する危険が高まっていることが大きな要因だ。
7月19日、韓国銀行と米韓のシンクタンクが開いた会合に出席した米ニューヨーク連邦準備銀行のリンダ・ゴールドバーグ副総裁は、韓国経済について厳しい見解を述べた。同氏の分析によると、金融危機などで投資家のリスク回避志向が強まった際には、韓国から深刻な資本流出が起こる恐れがあるという。
そこで、米韓・日韓通貨交換(スワップ)締結に関心が集まっている。韓国の経済専門家の間では、他国との通貨スワップを増やすべきとの主張が強まっている。
キム・ジョンシク延世大学教授は、「通貨スワップは為替市場に心理的な安定感を与えるため、過去に中断されたものを、また推進するべき」と語り、暗に日本との通貨スワップ再開を推奨している。一方、ユ・イルホ副首相兼企画財政部長官は「国際協調はするが(2国間通貨スワップは)もう少し考えて決めることになるだろう」と慎重な姿勢を示している。
通貨スワップは、両国政府・中央銀行が緊急時に資金(主にドル)を融通し合うもので、日韓スワップ協定は国際金融市場で流通量の少ない韓国のウォン安定化を目的に2001年から始まった。本来は、締結した両国の金融市場の安定を目的として、相互に金融協力の強化を行うものだが、日韓スワップ協定は、日本から韓国への片務的な性質が強かった。つまり、実態は日本から韓国への経済支援だった。
だが、12年に李明博前大統領による竹島上陸を端に発した両国間の関係が悪化したことに伴い、協定延長を取りやめることを検討する動きが双方で加速した。
日本政府は、韓国からの要請があれば協定を延長することもやぶさかではないとの姿勢をたびたび表明したが、韓国側は「日本との協力関係は不要」とする世論の高まりや、反日姿勢を貫く朴槿恵大統領の方針もあり、協定の延長は望まなかった。
韓国銀行の金仲秀総裁(当時)が、「延長が双方にとって利益になるなら延長することができる」との見解を示したが、菅義偉官房長官は「日本側から積極的に延長する必要はない」と述べている。
かくして15年2月16日、日本政府と韓国政府は「日韓スワップ協定を延長せず、予定通り2月23日で終了する」と発表し、13年半続いた日韓スワップ協定は終わりを迎えた。
■韓国経済低迷でスワップ協定再開か
このような経緯で終了した日韓スワップ協定だが、韓国は長引く経済の低迷と資本流出の懸念が高まったことで、日本とのスワップ協定を再開させようとの動きが慌しくなっている。
特に、朴大統領が焦りを見せ始めたようだ。8月27日に開催予定の日韓財務対話で、協定再締結を打診するといわれている。
日韓財務対話は、両国の財務大臣や財務省幹部クラスが出席し、経済や金融問題について定期的に意見を交わす会合で、以前は毎年定期的に開かれていたが、李前大統領が竹島に上陸して以降、開催は中断していた。しかし、昨年5月に2年半ぶりに再開され、また会合を定期的に開くことになった。
韓国は来年、大統領選挙が控えている。14年の旅客船セウォル号沈没事件以来、支持率は低迷し続け、経済も回復の兆しがみえない朴政権。日本とのスワップ協定を再開させることでウォンの安定化を図り、経済を安定させたいところだ。ウォンの価値が下落すれば、外国人投資家は一気に外貨を引き上げる可能性が高い。それを避けるために日韓スワップ協定は一定の役割を果たすだろう。
従来と同じように、スワップは日本にとってあまりメリットがないと考えられるが、ウォン安が進めば韓国から資本が急激に流出し、対韓民間融資債権のデフォルトが起こる可能性は高い。そうなれば、日本も少なからず被害を受けるだろう。一般国民レベルでは好景気とはいえないまでも、株高など多少は景気回復の兆しがあるアベノミクスも腰折れとなるのは間違いない。大局的にみれば、韓国経済を助けてあげることは日本にもメリットがあるといえる。
だが、日本に対して強硬姿勢をとってきた朴政権が、しおらしく頭を下げるとも思えない。どのようにスワップ協定再開の道筋をつけるのか、注目したい。
(文=編集部)
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