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日銀への市場の"失望感"が広がり続けている理由 信頼回復への険しい道のり
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49445
2016年08月15日(月) 真壁 昭夫「通貨とファイナンスで読む世界経済」 現代ビジネス
7月28、29日の日銀決定会合に対して、多くの投資家が“質・量・マイナス金利”の3次元での追加緩和があると期待していた。しかし、日銀は市場の期待に反してETFの買入れ増額等の追加緩和策を決定した。投資家はこの決定を日銀の限界と考え、8月に入ってからも“失望トレード”が国内の金利を急上昇させてきた。
特に、7月上旬から追加緩和を予想して国債を買い込んできた、外国人投資家の売り圧力は強かった。8月中旬に入ると、やや金利の上昇にはブレーキがかかりつつあるものの、依然として市場参加者は日銀の動きを警戒している。そうした状況下、今後、日銀が金融市場との信頼関係を改善できるかは重要だろう。
■異常接近する財政と金融政策
7月の決定会合以降、日銀に対する市場の信認は低下している。これまで日銀関係者が先々の金融緩和を示唆する場合、国債の利回りは低下していた。
しかし、7月の決定会合で期待が裏切られたこともあり、金融市場のスタンスは変化している。最近では、黒田総裁が「金融緩和に限界はない」と強弁するたび、むしろ国債が売られ金利には上昇圧力がかかった。
特に気になるのは、8月2日に日銀と財務省が政策の連携を確認して以降の金利の動きだ。短期よりも30年、40年といった超長期の金利の上昇幅が大きくなった。これは政府が今後の経済対策を進めるために、40年国債の増発を考えていることと無関係ではないだろう。
市場参加者が警戒していることは、増発された国債を日銀が買い取ることで、無理やり金融緩和が強化されるのではないかという点だ。黒田総裁は、「ヘリコプターマネーはない」との発言を繰り返しているものの、金融市場では、財政政策と金融政策を合体させ、政府が発行した国債を日銀が引き受け、無制限に通貨を供給する政策が懸念されている。
政府の経済対策と日銀の強気な緩和姿勢が続く限り、こうした政策が進むとの見方は強まりやすい。仮にこの動きが進めば、わが国は際限なき財政拡張に踏み込む可能性が高まる。市場はそれを懸念して超長期の国債の保有に神経質になっている。つまり、市場は日銀の強気姿勢に恐れを抱き始めているのである。
■やっぱり異常事態
端的に言えば、現在の日銀の政策は安心して見ていられる状況ではない。
市場と中央銀行の信頼関係こそが、金融政策の効果が実現するためには欠かせないのだが、そこが心もとない。国債買い入れなどのオペレーションを進めるためには、銀行などの市場参加者が中央銀行の考えを理解し、尊重する環境が不可欠なのである。
むしろ、現在の日銀は市場の不安心理を強めてしまっている。3メガバンクの4-6月決算は前年同期比で約3割の減益に陥った。マイナス金利によって、貸し出しからの収益が圧迫されている。7月の決定会合で、マイナス金利の深堀りがなかったことに胸をなでおろす半面、銀行関係者は今後の経済政策がどうなるか、大きな懸念を感じているのではないか。
過剰な金融緩和は経済を壊すことも考えられる。行き過ぎた金融の緩和は銀行の経営体力を削ぎ、企業の資金繰り悪化などにつながる恐れがあるからだ。日銀が政府との連携強化を強調し、更なる金融緩和は可能との姿勢を続ける限り、市場は委縮してしまう。この異常な事態は早く正常に戻るべきだ。
そのためには、日銀は市場との信頼回復に努めるしかない。9月の会合で、そうした意識が示されるかは重要だ。日銀が強弁を続ける限り、市場の不信感は高まらざるを得ない。その先には止め処ない金融緩和が市場を圧迫し、経済活力を低下させるという未知の領域が待ち受けていることだろう。
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