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コラム:
人民元ショック再来に要警戒
村田雅志ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト
[東京 10日] - 5月から6月に下落が続いた人民元の対ドルレート(元レート)は7月に下げ止まり、8月も下値の堅い動きを続けていることから、一見すると安定感を増しつつあるように思える。
しかし、中国の資本流出と景気減速は続いたままだ。なんらかのきっかけで、元売りの動きが加速し、耐え切れなくなった中国当局が昨年8月と同様に元の切り下げに動くリスクは常に意識しておくべきだろう。
元レ―トは、中国人民銀行(人民銀)が今から1年前(2015年8月11日)に、基準値を前日(10日)の1ドル=6.1162元から6.2298元へと、過去最大(1.8%)の大きさで元安方向に設定すると発表してから、「下落がしばらく続く」「やや買い戻される」「再び下落が続く」「やや買い戻される」というパタ―ンを繰り返している。元レ―トが一定レンジでの推移を続けていた2014―15年とは対照的だ。
人民銀は昨年8月、基準値が大幅な元安となった理由として、市場実勢に近づけるためと説明したが、市場では中国当局が元を切り下げたとの見方が強まり、元安が進展。元レ―トは翌12日に1ドル=6.45元近辺と約4年ぶりの元安水準を記録した。その後は落ち着きを取り戻したものの、11月に入ると再び元安基調で推移。今年1月8日には6.60元近辺と約5年ぶりの元安水準を記録した。
そして、中国の大型連休(春節)直後の2月上旬には6.50元ちょうど近辺へと元高水準に戻り、4月末までは6.45―6.50元のレンジで安定した動きを続けていた。だが、5月に入ると再び元安基調で推移。7月末には6.70元ちょうどと2010年7月以来の元安水準に達した。
その後、再び元高方向に推移し、8月に入ると一時6.63元まで元高が進んだ。しかし、一部メディアが今年末までに6.8元程度まで下落させるのが人民銀の意向であると報じているように、元買い戻しは続かないだろう。おそらく昨年8月からのパタ―ンどおり、再び元安方向に転じるとみられる。
<中国の海洋進出や米利上げ観測もきっかけに>
人民銀が緩急をつけながらも元安誘導を維持する背景には、中国の資本流出と景気減速の継続がある。中国の国際収支統計(速報値)によると、4―6月期の資本・金融収支は594億ドルの赤字と2010年7―9月期以来の大幅な赤字を記録した。
速報値では資本・金融収支の内訳は直接投資のみが公表されるため、詳細の把握は難しいが、直接投資は現行統計が始まった1998年以来最大の赤字(308億ドル)を記録。中国政府が推進する一帯一路(シルクロ―ド)構想に基づき中国からの対外直接投資が高水準を維持する一方で、中国への直接投資が世界的な金融危機が起きた2009年以来の低水準に落ち込んだことで赤字額が膨らんだ。
中国景気の減速には歯止めがかかっていない。7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.9と小幅ながら市場予想を下回り、5カ月ぶりの50割れ。輸入(元建て)は前年比5.7%減と市場予想を大きく上回る減少を記録した。4―6月期の中国国内総生産(GDP)は前年比6.7%増と市場予想に反し前期並みの伸びを維持したが、7月の両指標は7―9月期の減速を示唆しているように思える。
資本流出と景気減速が続くのであれば、元安圧力が弱まることはない。元レートが元高方向に推移した7月の中国・外貨準備高は、ドル安効果も加味すると前月から100億ドル程度減少した模様だ。中国当局は元安ペースを抑制するために元買い介入を強いられている。
元安圧力が根強い中、中国当局が元安ペースを抑制できているのは、世界各国で金利が低下し、ドルが伸び悩むといった外部環境によるところが大きい。しかし、外部環境が中国当局にとって都合のよいままである保証はなく、なんらかのきっかけで元売りの動きが加速する可能性は考えておくべきだ。
例えば、南シナ海や尖閣諸島(中国名:釣魚島)などでの中国の威嚇行動がエスカレートすれば、中国が日本や日本の同盟国である米国と不用意に衝突する恐れも高まり、中国と日米の軍事衝突という連想のもと、市場のリスク回避姿勢を強め、元安(そして円高)を促す可能性がある。
米国の追加利上げ観測も元売りのきっかけになり得る。7月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が25.5万人増と市場予想を上回る伸びとなるなど、米国の労働市場は拡大が続いている。アトランタ連銀の経済モデル「GDPナウ」によれば、7―9月期の米GDP成長率は前期比年率3.7%増と前期から大きく加速する見込みだ。年内の追加利上げは十分視野に入っており、中国の資本流出懸念の強まりから元売りの動きが加速する展開も考えられる。
おそらく中国当局は、元売りの動きが強まる場面では、これまでどおり元買い介入を実施することで元安ペースを抑制しようとするだろう。ただ、元買い介入によって外貨準備高の減少が続けば、中国国内外で元の下落懸念が強まり、中国の資本流出も拡大する。資本流出の拡大は元のさらなる下落につながり、中国当局が元買い介入に踏み切れば、外貨準備高はさらに減少する。つまり悪循環に陥る。
<時間をかけたソフトランディングは可能か>
問題の根幹は、中国の資本流出と景気減速が続く中、元の下落が不十分な点にある。
人民銀が運営する中国外国為替取引システム(CFETS)公表のCFETS指数(13の通貨バスケットに対する元の為替レート)は、今年7月初めに94.1と2014年9月以来の安値をつけたが、中国の資本流出が始まる直前の2014年4―6月期(約90)の水準から比べれば4.5%ほど高い。4兆元の景気対策で中国が10%を超える成長率を記録していた2010年の平均(81.8)からみれば、約15%も割高な水準である。
また、元の国際決済銀行(BIS)実質実効レートは2016年6月に123.14と、2014年10月以来の低水準に低下したが、中国の資本流出が始まった同年6月時点(113.62)からみて8%以上高く、2010年平均(100.0)からは23%の割高となる。比較に用いるパラメータや、比較の対象とする時期によって結果は異なるものの、元が十分に下落したと見なすことは難しい。
外貨準備の減少、資本流出、そして元の下落がスパイラル的に続く状況(元安スパイラル)を打破するには、元が十分に下落し、資本流出が止まることが求められるが、元の割高度合いや現在の下落ペースから考えると、元安による資本流出に歯止めがかかるまで2―5年は必要となる。
中国当局としては、その場しのぎの対応を繰り返しながら、数年単位の時間をかけて元を緩やかに下落させ、資本流出に対応したいのだろう。しかし、数年の間には、元売りを促すイベントは何度か生ずると考えられ、それをきっかけに中国経済が元安スパイラルに陥る展開もあり得る。この場合、元の割高解消を目的とした大幅切り下げの合理性が一気に高まることになる。
*村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。著書に「名門外資系アナリストが実践している為替のルール」(東洋経済新報社)
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに掲載されたものです。
*本稿は、筆者の個人的見解に基づいています。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKCN10L0IU?sp=true
人民元、約2週間ぶり大幅高−中国が為替相場安定を重視との観測
Bloomberg News
2016年8月10日 11:40 JST 更新日時 2016年8月10日 18:36 JST
中国人民元は10日、対ドルで約2週間ぶりの大幅高となった。国内経済回復の兆しが増える中で、中国当局が為替相場の安定に焦点を絞っているとの観測が広がった。
中国外国為替取引システム(CFETS)によると、人民元は上海時間午後5時7分(日本時間同6時7分)現在、前日比0.31%高の1ドル=6.6393元。香港市場のオフショア人民元は0.2%高と、2日連続で上げている。
スコシアバンクの外国為替ストラテジスト、高奇氏(シンガポール在勤)は「景気刺激策として中国人民銀行(中央銀行)は預金準備率引き下げではなく人民元相場の安定維持を選好している。元市場における極端なボラティリティ(変動性)を望んでいないためだ」と述べた。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iZT838MbWhHk/v2/-1x-1.png
原題:Yuan Rises Most in Two Weeks as China Seen Focusing on Stability(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-10/OBO9JV6S972L01
トランプ大統領とイタリア危機は杞憂か=鈴木健吾氏
鈴木健吾
鈴木健吾みずほ証券 チーフFXストラテジスト
[東京 9日] - 日米金融政策がドル円相場の大きな焦点であることは疑いようがない。だが、現実的に昨年からのドル安円高に対し、これが直接的なメインドライバーとなったかについては疑問の余地がある。
実際、昨年12月に米連邦準備理事会(FRB)は利上げに踏み切ったが、ドル円相場が材料視したのは「原油価格の下落によるリスクオフ」だった。また、フェデラルファンド(FF)レート先物は今年2月に年内の利上げはゼロ回という水準まで低下し、その後6月にかけて利上げの可能性は上昇したが、この間ドル円の下落は続いている。
日銀の金融政策にしても同様だ。日銀は「すでに事実上のヘリコプターマネー」と言われるほどの国債購入を実施し、数年後には発行残高の50%を超える勢いで買い続けている。そのバランスシート規模は国内総生産(GDP)の約9割に達しつつあり、同3割程度の欧州中央銀行(ECB)やFRBと比較しても突出している。
このような状況下、追加緩和策として1月にマイナス金利を導入し、7月には上場投資信託(ETF)購入を倍増したが、市場の反応は円買いだった。
この間、ドル円相場の下落を直接的に演出したのはグローバルな不確実性、リスクセンチメントだろう。ちょうど1年前の8月には、突如発表された人民元の切り下げが中国経済への懸念につながり上海総合指数が急落するなか、ドル円も125円台から116円台に急落した。
昨年末には石油輸出国機構(OPEC)総会で減産合意ができず原油価格が急落すると、これもリスク回避から円買いにつながった。2016年も年明けから原油の続落と中国指標の悪化でスタートし、米国経済の減速懸念にもつながってドル円相場の下落に拍車をかけた。
極めつけはテールリスクとみられていた英国民による欧州連合(EU)離脱の選択(ブレグジット)だ。ドル円は2013年11月以来の1ドル=99円まで滑るように下落した。
しかし、前回のコラムでも言及した通り、「原油価格の急落」「中国経済への懸念」「米国景気の減速懸念」「ブレグジット」といったこれまでみられたリスクが2016年後半も先鋭化し、さらなる円高のドライバーになるとは考えていない。逆にその消化が進むことでリスクセンチメントを通じた円高圧力は後退するのではないかと考えている。
<評価の「伸びしろ」はトランプ氏に軍配>
一方で警戒すべき新たなリスクもくすぶっている。特にドナルド・トランプ米大統領誕生リスクとイタリアの金融・政治リスクには注意する必要がある。
共和党の大統領候補トランプ氏が本選で勝利する可能性はもともと低いと見積もっていた上に、ここにきて米兵遺族への侮辱発言によって支持率を大きく落としており、トランプ大統領誕生の可能性は一層低くなっている。ただ、同じくテールリスクとみていたブレグジットが現実となったことも忘れてはならない。
一般大衆に対してエスタブリッシュメント(支配層)との対立的な構図を持ち出すポピュリズム的な手法や、本来の強い国を取り戻すといったナショナリズム・保護主義的な煽り文句も共通する。このような手法は火がつくと一気に広がる可能性がある。
また、これまで長い時間をかけて実績を積み上げてきた民主党の大統領候補ヒラリー・クリントン氏に対する評価はここから投票日までに大きく上がりも下がりもしない可能性が高いとみているが、いいかげんな言動が多かったトランプ氏の評価には伸びしろがある。
有能なスタッフをそろえ、現実味のあるまともな政策を打ち出せば評価が様変わりするかもしれない。ただ、それでもトランプ大統領の実現はないというのがメインシナリオだ。11月まで待たずとも失言の積み重ねや9月の公開討論会などで事実上、決着がついてしまう展開を想定している。
<金融と政治が絡み合うイタリア問題>
では、イタリアの金融・政治リスクはどうか。7月29日に欧州銀行監督機構(EBA)がEUの51の銀行に対するストレステストの結果を発表したが、その直前に最も深刻な不良債権問題を抱えているとされていたイタリアの大手銀行モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)が資本増強と不良債権の売却計画を発表し、一気に注目度が高まった。この問題が複雑なのは金融と政治が絡み合っていることだ。
EUでは2008年の金融危機の際に政府が銀行を公的資金で救済した結果、政府債務が増加することで銀行危機が政府債務危機につながる動きとなった経緯から、公的資金で銀行を救済する際にはまず投資家に負担を求める(ベイルイン)原則が導入された。
ただ、イタリアでは2015年に4つの小規模銀行が破たんした際、投資家に負担を強いた結果、劣後債などを保有していた年金生活者が自殺した経緯がある。10月にはレンツィ首相が政治生命をかけて国会の仕組み(上院の権限縮小)などに関して憲法改正を問う国民投票が予定されているなかで、政府としては投資家に負担を求めることは避けたい考えだ。
結果として政府による不良債権保証スキーム(GACS)や民間の銀行支援基金(アトランテ)などを通じた複雑な不良債権処理手法を編み出して対応することが発表されている。
不安要素は2点。この救済スキームが機能して金融システムに対する不安が後退するのかどうかと、レンツィ(民主党を中心とした連立)政権が安定的に継続することができるかだ。
救済スキームについては複雑であることや政府保証の際に時間がかかるとされること、十分な金額とならない可能性があることなどから実際にうまくいくかどうかは不透明だ。うまくいかなければ、ストレステストの下位行にいずれ不安が拡大するリスクがくすぶることになる。
国民投票で支持を得られなければレンツィ首相は辞任するとしている。レンツィ首相が辞任しても連立与党は継続するとみられ、政治的混乱は避けられる公算が大きいと思われるが、大敗するなどして連立政権に綻(ほころ)びが生まれれば解散総選挙へ進む可能性もゼロではない。
直近、反EUを掲げる五つ星運動の支持率がレンツィ首相率いる民主党を上回る結果もみられているなか、総選挙で五つ星運動が躍進すれば英国に続いてイタリアもEU離脱へ向かうのではとの懸念が強まる可能性がある。
現実的には、EUとしてもイタリアとしても金融危機の再燃や反EU政権の誕生はいずれも避けるべき事項であることから、例外的な公的資金の直接注入を含め、対応がとられることで過度のリスク回避圧力にはつながらないとみている。
このように、トランプ大統領誕生リスク、イタリアの金融・政治リスクいずれも基本的には深刻な結果になるとは考えていない。原油や中国などこれまで注目されたリスクを含め、グローバルな不確実性が一層後退すれば、テクニカル的な過熱感やポジションの偏り、ファンダメンタルズ的な格差や政策の方向性などからこれまでみられた一方的なドル安円高トレンドは徐々に転換に向かうだろう。
基本的には1ドル=100円より下はオーバーシュート領域で、ドル円は徐々に105円を超え110円方向に向かうとの予想を維持している。
*鈴木健吾氏は、みずほ証券・投資情報部のチーフFXストラテジスト。証券会社や銀行で為替関連業務を経験後、約10年におよぶプロップディーラー業務を経て、2012年より現職。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-kengo-suzuki-idJPKCN10K0RN?sp=true
トランプ氏の経済政策案、富裕層優遇姿勢変わらず
8月8日、米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏は8日、米国の経済成長を高めるための政策案を公表し、法人減税や新たな規制の執行停止などを打ち出した。写真は米ミシガン州デトロイトで経済政策について演説するトランプ氏。8日撮影(2016年 ロイター/Eric Thayer)
8月8日、米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏は8日、米国の経済成長を高めるための政策案を公表し、法人減税や新たな規制の執行停止などを打ち出した。写真は米ミシガン州デトロイトで経済政策について演説するトランプ氏。8日撮影(2016年 ロイター/Eric Thayer)
Gina Chon
[ワシントン 8日 ロイターBREAKINGVIEWS] - 米大統領選の共和党候補、ドナルド・トランプ氏は8日、米国の経済成長を高めるための政策案を公表し、法人減税や新たな規制の執行停止などを打ち出した。著名投資家やトランプ氏への大口献金者などで構成される経済顧問チームが、今回の政策案策定に協力した。相変わらず労働者よりも富裕層に顔を向けた内容と言える。
トランプ氏が経済政策案の発表場所として、ラストベルト(錆びついた工業地帯)の労働者の象徴で破産からまだ2年しかたっていないデトロイトを選んだ点からは、その政治的な巧妙さが強く印象付けられる。ところが、新規の連邦規制の適用を全面的に猶予することで一番メリットを受けるのは、大企業と株式市場だ。トランプ氏は製造業界の調査を引用し、「過剰な規制」が米経済にもたらすコストは年間で最大2兆ドルに上ると指摘。米商工会議所や銀行の業界団体などは、さまざまな規制をめぐり何度となくオバマ政権を提訴してきた。トランプ氏はまた、温室効果ガス削減などを含めた環境保護規制の撤回も望んでいる。
これらの経済政策案の多くの部分は、既に誤りが証明された「トリクルダウン理論(富裕層が豊かになれば低所得層にも効果が波及すること)」に依存している。ロナルド・レーガン、ジョージ・ブッシュ両大統領の政権下で富裕層は増大したが、中間層は減ってしまった。国際通貨基金(IMF)の昨年の報告書によると、上位20%の階層の所得比率が高まってもより低い階層に恩恵は行き渡らないため、国内総生産(GDP)は目減りするという。
トランプ氏の経済アドバイザーの大半は、富裕なビジネスマンだとされる。先週明らかにした経済顧問チームには、ヘッジファンド業界の大物で2008年の金融危機直前に米住宅市況に対して弱気ポジションを組んで利益を得たジョン・ポールソン氏や、投資会社サーベラス・キャピタルを創設したスティーブン・ファインバーグ氏などが名を連ねた。ファインバーグ氏の妻は、トランプ氏の政治団体に68万ドル近くを寄付している。
一方でトランプ氏は、低所得層向けにも減税など一定の支援を行う姿勢を示した。さらに連邦所得税の最高税率を25%に下げるという当初の考えを撤回し、ポール・ライアン下院議長らが提唱してきた33%への引き下げに同調した。だがトランプ氏が表向き低所得層に配慮を見せる場合というのは、実は富裕層の手助けをしている。例えば子育て費用の税控除という提案は、米国の半分近い世帯が既に連邦所得税を支払っておらず、何の得にもならないという現実を見ないふりをしているかのようだ。
勤労者層を擁護する候補者と言われるにしては、トランプ氏は「上位1%」の人々への態度が甘過ぎるのは間違いない。
●背景となるニュース
*トランプ氏は8日、デトロイトで経済政策の概要を公表。新たな規制の適用を一時的に猶予し、企業の投資を再び活発化させる考えを示した。税制簡素化や所得税率引き下げ、子育て費用の税控除も打ち出した。
*トランプ氏の提案では法人税率は現行の35%から15%に下がり、相続税は撤廃される。またオバマ政権が昨年承認を拒否したキーストーン・パイプライン建設計画を復活させたいとしている。
*民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官は11日に経済政策案を公表予定。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
http://jp.reuters.com/article/usa-election-breakingviews-idJPKCN10K058
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