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米経済、生産性低下という新たな危険信号
4-6月期の米労働生産性が低下したことを受け、各方面でやや悲観的な見方が広がった
By PAUL VIGNA
2016 年 8 月 10 日 15:34 JST
4-6月期の米労働生産性が低下したことを受け、各方面でやや悲観的な見方が広がった。どんな悪材料も株式を買う口実になると考えている連邦準備制度理事会(FRB)中毒のトレーダーも例外ではなかった。
労働省が9日発表した4-6月期の労働生産性指数(速報値)は前期比年率換算で0.5%低下した。低下は3四半期連続。前年同期比では0.4%低下と、3年ぶりのマイナスを記録した。これは米国全体の企業活動が、労働者の賃金と経済成長のいずれにとっても都合の悪い圧力にさらされていることを物語っている(過去3四半期のGDP=国内総生産成長率が1%程度で推移していることは、偶然の一致ではない)。
キャピタル・エコノミクスのチーフ米国エコノミスト、ポール・アシュワース氏は、今回の統計で「すでに悲惨な生産性の伸びが、われわれの当初の見方よりもさらに悪化していることが明らかになった」と述べた。
一方、同時に発表された4-6月期の単位労働コストは、前期比2.0%増、前年同期比2.1%増となった。生産性全体の伸びを上回ったことで、収益が伸び悩む中、あらゆる手段を尽くしてコスト削減を続けてきた雇用者は窮地に立たされている。
生産性は労働者1人の時間当たりの財・サービスの生産量を示す。一般的に生産性の上昇は経済成長を、生産性の低下は経済減速をそれぞれ示す。FRBのイエレン議長は6月、現在の経済状態に関して生産性が重大な謎の一つになっていると述べた。
生産性の低さから経済の一部が不完全燃焼を続けている姿が浮かび上がる。2007年以降の生産性の伸びは平均1.3%と、2000年〜07年の伸び(2.6%)の半分にとどまる。3%を記録していた1990年代の好況期との差はもっと大きい。その上、米経済はまたしても、雇用統計とそれ以外の大半の指標が示す方向性が食い違うという状況に置かれている。
現在の景気回復期は全体として、第2次世界大戦以降で最も力強さを欠く。GDP成長率は3四半期連続で1%程度にとどまった。企業の設備投資も3四半期連続で落ち込んだ。賃金上昇率は上向いているが、経済が健全であることを示す水準にはまだ届いていない。しかも、4-6月期の生産性統計は賃金の伸びが抑えられる可能性を示した。個人消費は前年比で増えているが、先のリセッション(景気後退)終了後に伸び率が5%を超えたことはない(現在は3.7%程度)。リセッション期以外でこれほど低い伸びにとどまるのは、1960年代以降では初めてだ。インフレ率を計測する方法はいくつもあるが、過熱感を示す指標は一つもない。
その一方で、雇用者数は着実に伸びており、失業率は低い。 これはちょっとした謎だとの声が上がってもおかしくはない。
MFRセキュリティーズのチーフ米国エコノミスト、ジョシュア・シャピロ氏は「今のところ、生産性統計は停滞状態にあるかのようだ」と語った。つまり、賃金がさらに伸びたとしても、落ち込む利益率の確保に懸命な企業にさらに圧力を掛けるにすぎないということだ。また、熟練労働者をつなぎとめるために賃上げする必要が生じれば、新規採用者の減少につながる可能性が高い。
これは企業利益にとっても何か意味するところがありそうだ。市場はこれまで、全ての経済指標がFRBの金利判断にどう影響するかを主に心配してきたが、今後もそれは変わらないだろう。ただ4-6月期の生産性は、いわゆる「収益不況」が人々の期待に反して終わらない可能性を警告している。リンゼー・グループのマネジングディレクター、ピーター・ブックバー氏は「今後1年間で企業収益が伸びるとの期待はあまりにも楽観的すぎる。名目GDP成長率が低迷する中、企業収益はほとんど伸びず、利益率が低下しているため、収益不況は続くはずだ」と述べた。
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米労働生産性の低下、エネルギー安が一因
ノースダコタ州バッケンのシェール鉱区
By JOHN CARNEY
2016 年 8 月 10 日 15:41 JST
米国の労働生産性が低下している原因は意外なところにあるのかもしれない。石油や天然ガスの価格低迷だ。
米労働省が9日発表した4-6月期の非農業部門の労働生産性指数(季節調整済み、速報値)は前期比年率換算で0.5%低下した。低下は3四半期連続で、1970年代以降で最長の低下局面となった。
多くの人たちはこの結果に驚いた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が行ったエコノミスト調査では、0.4%上昇が中心予想だった。米国では歴史的に、労働生産性は景気拡大期に上昇しリセッション(景気後退)時に低下するというパターンを繰り返してきた。ところがここ数年は、生産性の伸びが著しく低い水準にとどまる中、このような景気循環との連動は薄れている。
生産性の伸びがもう何年も非常に低い水準で推移しており、低迷の始まりが金融危機の前までさかのぼることは疑いようもない。エコノミストはこの数年、生産性の伸びがなぜこれほど鈍いのかに大きく注目してきた。長期停滞論、技術革新の鈍化、政府統計に表れない計測不能な伸びなど、多くの理論が指摘されているが、こと生産性の低迷に関しては判断がまだ下されていないことは明らかだ。
とはいえ、生産性が長期にわたり緩やかな伸びにとどまるのならまだしも、3四半期連続で低下するというのは近年なかったことだ。これには、エネルギー安という、より現実的な要因が関係している可能性がある。
これは直観に反しているように思えるかもしれない。通常、エネルギー価格の低下は生産性の向上と関連付けられる。エネルギーが値下がりすると、労働者が仕事で使えるエネルギーの量は増える傾向があり、それが生産拡大や生産性の上昇につながる、というのがエネルギー分野の研究者の考え方だ。
いずれこうした状況が起きる可能性はある。だが、エネルギー安による影響としてまず足元で表れているのは、労働省が「鉱業」と呼ぶセクターにおける大幅な雇用の落ち込みだ。「鉱業」とは、主に石油やガスを地面から採掘する産業を指す。労働省労働統計局(BLS)によると、鉱業の雇用者数は2014年9月のピーク時から26%減少している。
鉱業セクターではかつて、シェールオイル・ガス採掘のためのフラッキング(水圧破砕)技術の進歩を追い風に数年にわたり雇用拡大が続いた。米国を巨大な原油・石油製品輸出国へ変える立役者となった当時から雇用者数が急減したとはいえ、米国全体の失業率を押し上げているわけではない。これは恐らく、同セクターで失業した人たちの多くが他の業界で再就職しているからだろう。
ところがこれは生産性の悪化を引き起こす。カンザスシティー地区連銀のエコノミスト、ウィレム・ファン・ザンベーヘ氏が最近まとめた研究論文によると、鉱業は平均的な仕事より約2.5倍も生産性が高い一方、多くの雇用を創出している民間サービス部門の生産性は平均をやや下回るからだ。
製造業も生産性が平均よりも高い。米国全体の雇用が拡大しているにもかかわらず、製造業の雇用者数も、鉱業ほどの落ち込みではないとはいえこれまで減少傾向にある。7月時点で製造業の雇用者数は1230万人強と、1年前の1240万人をやや下回った。
ファン・ザンベーヘ氏は鉱業と製造業の労働時間が全雇用者の労働時間に占める割合を調べた。すると、14年7-9月期から15年7-9月期にかけて両セクターの割合が減少した一方で民間サービス部門の割合が増えていることが分かった。
これが生産性悪化のからくりだ。同氏は論文で「控えめに見積もって、製造業と鉱業におけるここ最近の活動鈍化は、全産業の生産性伸び率をそれぞれ約0.25ポイント、0.5ポイント押し下げると推定される」と指摘した。
小幅ながらもプラスだった生産性の伸び率がマイナスに転じたことはこれで十二分に説明がつく。鉱業セクターの減速という悪材料がなかったなら、生産性の低下は回避できていただろう。
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米雇用、7月の季節調整はどこまで正しいか
1970年以降、米経済は学校が休みに入る7月に教育産業を中心に毎年平均105万人の雇用を失ってきた
By JEFFREY SPARSHOTT
2016 年 8 月 10 日 15:01 JST
米労働省労働統計局(BLS)は毎月、前の月に創出された雇用者数を発表する。5日に発表された7月の統計では25万5000人の雇用増加となり、ウォール・ストリート・ジャーナルは堅調な伸びが相場を押し上げ、連邦準備制度理事会(FRB)の次の金利政策に対する期待が見直され、11月の大統領選挙にも影響する可能性があると報じた。
だが、これは季節調整後の数字だ。実際には、労働市場から100万人超の雇用が減った。一見すると、とても悪い状況だと思われる。
この結果、一部の読者やごく少数のアナリスト、そしてまたもや謀略説を唱える人々などから、季節調整の手続きと米経済の本当の健全さを疑問視する声が上がった。
まず、BLSが季節調整を行う理由は、生の数字には数多くの雑音が入っていると思われるためだ。季節調整とは、例えば学校の予定や祝日、天候や雇用に影響する同様の事象で生じる標準の変化を特定し計算に入れる取り組みだ。その目的は経済の基調についてのより良い視野を持つことにある。
非農業部門就業者数(季節調整前)の前月比変化の推移
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THE WALL STREET JOURNAL
学校が休みに入ると、スクールバスの運転手や学生食堂の従業員などの職員が予想通りに失業する。過去10年間、教育産業では毎年7月に平均9万5100人、運輸および地上旅客輸送産業(つまりバス運転手)は5万6200人、地方自治体教育従業員は120万人の雇用が失われている。
BLSはこれを次のように説明している。
「事業所調査においては、教育産業の雇用は春の学期末に約20%減少し、その後、秋の学期開始に伴い増加し、この産業の雇用の基調を分かりにくくしている。学期末と学期の始まりでの季節的な雇用の変化は推定可能なので、雇用の基調的なパターンをより明確にするように統計を調整することができる。季節調整済みの数字は、月ごとの経済活動の変化を分析する上で一段と有効な手段を提供する」
この標準的なパターンが、毎年7月に繰り返される雇用全体の振れの大半を説明している。1970年以降、米経済は毎年7月になると平均105万人の雇用を失ってきた。
地方自治体教育関連雇用の前月比平均変化幅(2006年〜16年、季節調整前)
だが、季節調整が完璧だというわけではない。例えばジョンズ・ホプキンス大学のジョナサン・ライト教授は、BLSが季節調節のパターンを決めるにあたり、現在と過去2年間の統計に比重を置きすぎていると批判している。同教授はもっと長い期間から判断した方が良いとして、毎月独自の式にBLSの数字を当てて計算し直している。
このような調整も好まないならば、雇用者数を前年同月と比較するという簡単な方法がある。これで季節的なゆがみはなくなる。前年同月比でみると7月の雇用は240万人増えている。実際のところ、雇用の伸びはほんの少し減速しているようだが、安定している。
同時に、月次の数字には統計誤差があり修正されることも、念頭に置く必要がある。大ざっぱに言えば、毎月500万人が採用され、500万人が離職(解雇、自発的離職、引退など)している。BLSはこうした膨大な採用・離職者数から正味の増減を発表している。
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米7月の非農業部門就業者数、25.5万人増−予想上回る
米経済に占める労働の比率、資本より優勢に
https://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=&esrc=s&source=web&cd=1&cad=rja&uact=8&ved=0ahUKEwj6isXcz7bOAhXJq5QKHUorAcsQFggeMAA&url=http%3A%2F%2Fjp.wsj.com%2Farticles%2FSB11483107759614144642904582242550441996674&usg=AFQjCNEyZ_Wl2HUzuLnfZOPA_lRuKpKp4A
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