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今後発表の景気指標が良好なら、マーケットは激変する
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160804-00130070-shikiho-biz
会社四季報オンライン 8月4日(木)21時26分配信
8月21日にかけて、7月分の各国景気指標の発表が相次ぐ。BREXIT(ブレクジット)決定後の金融市場の動揺は数日間だけにとどまり、その後は債券・株式市場ともに急反発した。ブレクジットの世界経済に及ぼす影響が限定的であるとの読みに加えて、各国が世界経済の先行き不透明感に配慮し、積極的に景気を下支えしようという姿勢を示したことが投資家の安心感につながった。
では、実際にブレクジットが実体経済に及ぼす影響はどの程度なのか。7月分以降の景気指標で確認していく必要がある。
まず、リセッション入りが予想されている英国だが、すでに発表されているマークイットによる製造業PMI景気指数は、7月に48.2と景気判断の分かれ目である50を割り込んだ。ただ、ポンド安が下支えになり、予想したほどの悪化にはなっていない(図1参照)。
ブレクジット後、数週間にわたり英政治情勢の混迷が続いたが、7月13日のメイ新首相の就任で安心感が広がった。メイ首相は保守党であるが、同じ女性首相で規制緩和などサプライサイド重視の1980年代のサッチャー氏に比べると左寄りであることが知られている。財政運営についても「小さな政府」にこだわらない姿勢で、財政面での景気刺激策の期待も高まっている。
また、イングランド銀行のカーニー総裁は6月30日に「景気見通しは悪化した。夏の間に何らかの金融緩和が必要になる公算が大きい」と述べ、いち早く金融面からの景気下支えを表明した。対EU交渉が2年で本当にまとまるかといった不安は残るが、少なくとも目先の深刻なリセッションが続くといった不安は和らいだ。
次に、ブレクジットの影響を受けやすいとみられていたユーロ圏では、これまで発表された指標からは目立った悪影響は見受けられない。ユーロ圏の4〜6月のGDPは前期比0.3%と1〜3月の0.6%に比べ鈍化したが、7月のユーロ圏景況感指数は104.6と6月の104.4から逆に上昇した。
欧州依存の強い中国はどうか。7月の財新・マークイット発表の製造業PMI指数が50.6と昨年2月以来の50超えとなり、やはり景気は逆に上向いていることを示した。調査対象が大企業中心の国家統計局発表の製造業PMI指数は、49.9(前月は50.0)と50近辺での推移を続けた。しかし、調査対象に中小企業を多く含む財新・マークイットの指数は国内の金融緩和、インフラ投資増加、住宅価格値上がりなどの好影響を受けて上昇したと考えられる。
この数値通り、中国景気が全体として上向いているかどうかは8日の貿易収支統計、12日の生産、小売売上、固定資産投資統計などで確認したい。
■ 先行指標が高水準の米国
米国はどうか。4〜6月のGDPは前期比年率1.2%と予想外に低い伸びとなったが、個人消費の好調により在庫変動を除く最終需要は2.4%と堅調だった。ブレクジットで世界経済が混乱するとの懸念から、企業が在庫投資を一時的に抑制したとみられる。だとすれば、7月以降は減らした在庫を元に戻さなければならないため、生産活動はむしろ盛り上がるだろう。
実際7月のISM製造業景気指数は52.6と前月の53.2から若干低下したものの、景気判断の分かれ目である50を5カ月連続で上回った。うち先行指標である新規受注指数は56.9と高水準を維持し、生産動向を示す生産指数は55.4と昨年1月以来の高水準だった。
この先は、5日の雇用統計のほか、12日の小売売上、16日の鉱工業生産などに注目したい。
最後に日本だが、ブレクジット直後の調査だった6月の景気ウォッチャー調査のDIは大幅に下落したが、8日発表の7月統計は反発が期待できる。18日発表の通関輸出統計で対欧州輸出がどの程度増減しているかをみることで、欧州景気の動きもわかる。
■ 経済悪化なければ、債券に反動も
今のところブレクジットが実際に世界経済を大きく悪化させる可能性は大きくないようだ。一方で、各国が世界経済の不透明感に配慮する姿勢を示していることが投資家の安心感につながっていたが、もし本当に経済が悪化しなければ、景気対策は必要なくなる。
そうなった場合の反動が大きいのが現在の債券市場だ。ブレクジットによる世界経済悪化で、各国が再び思い切った金融緩和に踏み切るのではないかとの観測から、各国債券市場は一段高となり、利回りは一段と低下した。先進国で発行されている債券残高の半分以上がマイナス利回りと言われ、投資家はサーチ・フォー・イールド(少しでも高い利回りを求める動き)からハイリスクの債券にまで多くの資金を振り向けている。
米国では年初にエネルギー産業などの発行する社債の信用リスクが高まり、利回りが大きく上昇したが、その後の原油価格の反発などもあって、そうした社債にも資金が向かうようになり、利回りは大幅に低下した(図2参照)。
日本では7月上旬に20年債利回りが一時0.02%、30年債利回りが0.05%とほぼゼロに低下した。年金や保険などの資金はプラス利回りを求めて、こうした超長期債に向かっている。しかし、超長期債は価格変動リスクが大きく(例えば20年債は1%の金利変動につき20%弱、30年債は1%の金利変動につき30%弱、債券価格が変化する)、投資リスクは高まっている。
一方、各国のポリシー・ミックス(政策の組み合わせ)も変わりつつあるようだ。すなわち、これまでのように金融緩和だけで景気を下支えようという政策から、財政出動による直接的な需要創出で景気を押し上げる政策に切り替えようという動きだ。これには次のような背景がある。
第1に金融緩和政策だけでは内需押し上げ効果は小さく、マイナス金利の副作用や通貨安競争による保護主義台頭といった懸念も強まっている。長期経済停滞論を唱えるサマーズ元米財務長官も、世界的に過剰な貯蓄に対して不足する投資をインフラ投資などで補うべきだと主張している。
第2にブレクジットの背景にあった格差拡大やグローバル化などに対する先進国労働者、中間所得層への不満を和らげるためには、財政による所得再分配政策がどうしても必要になる。量的金融緩和策に伴うカネ余りは資産価格を上昇させ、これが格差を一段と広げる面があった。
■ 米国は年内利上げにゴーサイン
実際、7月26〜27日の米FOMC声明は「短期的な経済見通しに対するリスクは低下した」と述べ、年末に向けた再利上げにゴーサインを出した。29日の日銀のETF買い上げ追加決定については、背景に政府からの圧力があったと考えられるが、量的緩和追加やマイナス金利の深掘りはなく、本来の金融緩和政策の限界が明らかになった。
財政政策面ではすでに日本が大規模な財政面での景気刺激策を打ち出している。ユーロ圏では、スペインとポルトガルの財政ルール違反が容認され、EU内での緊縮財政へのこだわりは和らいでいる。米国の11月の大統領選でトランプ氏が勝利すれば、インフラ投資などの増額が予想される。中国経済はもとよりインフラ投資によって支えられている。
これから発表される7月の各国景気指標でブレクジットが世界経済に及ぼす影響が小さいことが見極められれば、年末には米国で再利上げがあると観測が強まり、米国中心に世界の長期金利は一斉に反発する可能性がある。日本も例外ではない。さらに、各国のポリシーミックスの転換をも考えれば、長期金利が上向く可能性は一段と高まろう。
そうなった場合、投資対象としては、米金利上昇→円高一服で値上がりが見込める自動車などの輸出関連株や、マイナス金利政策の副作用などによる利ざや縮小懸念から下落してきた銀行株などが有望となるだろう。
新見未来(にいみ・みらい)/大手シンクタンクに在籍する気鋭のエコノミスト。マクロ経済のわかりやすい解説には定評がある。今後2週間の注目スケジュールと、重要な経済指標の活用法をお届けする。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
新見 未来
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