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AUVSIの自動運転シンポジウムは7月19日から21日まで、サンフランシスコで行われた Photo by Kenji Momota
自動運転、テスラ事故を受け米で慎重論が台頭
http://diamond.jp/articles/-/97166
2016年8月1日 桃田健史 [ジャーナリスト] ダイヤモンド・オンライン
■昨年比で1.4倍の1200人を集客するも…
会場内では「慎重論」が主流に
「昨年までの、イケイケの雰囲気はなくなった」
日系自動車メーカーの先進安全技術の開発幹部はそう漏らした――。
自動運転に関する世界的なカンファレンス「AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム」(2016年7月19〜21日・米カリフォルニア州サンフランシスコ)には、世界各国の自動車メーカーや政府関係者など、昨年比の1.4倍となる1200人が集まった。
AUVSIは、米国防総省とのつながりが強い、飛行機・船舶・陸上移動体における自動操縦を議論するための団体。近年では、ドローンに関する米国内の法規制に対して、強い影響力を持ち、AUVSI主催のカンファレンスで米航空局(FAA)長官がドローンに関する法解釈について発言することが多い。
さらに、5年前からは毎年1回、乗用や商用の自動運転車を対象としたシンポジウムを開催している。その背景には、グーグルや中国の百度(バイドゥ)など大手IT企業が自動運転車の領域に参入し、それに対抗するため自動車産業界も自動運転の研究開発を強化する動きがある。
また、自動運転の歴史を振り返ると、米国防先進研究開発局(DARPA)が2004年・2005年に主催した自動運転の賞金レース「DARPAグランドチャレンジ」と、2007年の「DARPAアーバンチャレンジ」では、AUVSIとその前身となる団体が深く関与している。
そのため「AUVSI オートメイテッド・ヴィークル・シンポジウム」は、世界市場における自動運転の最新動向が把握できる場として、世界の注目が集まっているのだ。
そうした自動車・IT業界での自動運転に対する熱い想いとは裏腹に、今回のシンポジウムは昨年までの上昇機運はなくなり、「再調整」「すり合わせ」「仕切り直し」「見直し」「慎重」といった言葉を連想させる雰囲気が会場内に漂っていた。
■米運輸省長官の「コンサバ」な態度
テスラ事故を受けて、明らかな転換点
今回、自動運転に関する「慎重論」が大きくなった理由は、テスラの自動運転機能「オートパイロット」が関係すると見られる複数の事故だ。なかでも、今年5月にフロリダ州で発生した死亡事故について、6月末に米運輸省・国家高速交通安全局(NHTSA)が調査に入ったことを日本を含め世界中のメディアが報道し、「自動運転のあり方」を問題提起することになった。直近では、アメリカの消費者向けの有力メディア「コンシューマ・レポート」が、テスラに対して「オートパイロット」の改良を促す記事を掲載するなど、テスラの事案については波紋が広がっている。
講演する米運輸省のフォックス長官(写真上)とNHTSAのローズカインド長官 Photo by Kenji Momota
こうした社会情勢を加味して、米運輸省が7月中に取りまとめる予定だった、自動運転に関するガイドラインの公開が当初の予定より遅れている。
今回のシンポジウム初日に基調講演した、米運輸省のフォックス長官は、自動運転における「セイフティ」の重要性を強調したが、具体的にテスラの事案に触れることは避けた。そして、自動運転に関するガイドラインの公開予定を「今夏の後半」と述べた。
また、二日目に基調講演した、NHTSAのローズカインド長官も、前日のフォックス長官の発言をなぞるような姿勢が目立った。さらに、自動運転の法整備は、旧来型の自動車産業向けの法規とはまったく別の考え方が必要であり、技術開発と法整備とのバランスを再検討する必要があると語った。
■NHTSAが2016〜2017年の動き公開
自動運転ブームも「ひと息」つくか?
シンポジウム3日目には、NHTSAが近日中に公開予定の自動運転ガイドラインを意識して、2016年〜2017年にかけて行う予定の自動運転に関する調査・研究の概要を説明した。
NHTSAの発表史料。自動運転レベル2での運転者の行動について(上)と電子システムの安全性の調査・研究について、調査・研究を進める Photo by Kenji Momota
具体的には、自動運転レベル2における運転者の行動について、現在アメリカ国内でレベル2に対応する機能を持つ、テスラ「モデルS」、アウディ「Q7」、メルセデス「E350」、インフィニティ「Q50」、ボルボ「XC90」の5モデルについて調査を行う。
この他、自動運転機能の全体の性能に対する調査・研究、及び自動運転の電子制御の性能に対する調査・研究などを実施するとした。
これらNHTSAの計画は、テスラの事案が発生する前に決定していたが、テスラの事案が計画の内容や実施の時期などに影響を与えた可能性が高い。
このようなアメリカでの動きを踏まえて、シンポジウムに参加した複数の日系自動車メーカーの自動運転・先進安全技術の担当者は、最近まで過熱気味だった自動運転ブームが「ひと息つく」と見る。
また、国際的な視点では、自動運転の法整備や技術的な標準化について、各国間で調整が長引く可能性がある。なぜなら、国連で日本とドイツが中心となって進めている、自動車の道路交通規制に関する協議(WP1)と、自動車の安全・環境技術に関する協議(WP29)において、日独が「アメリカを巻き込むように働きかけ、国連の日米欧共同の自動運転の活動計画案を作成」」(国土交通省の発表資料)というシナリオがあるからだ。アメリカの動向が変われば、日欧はアメリカとの「すり合わせ方」を変えなければならない。
そうした状況下、今回のシンポジウムの講演者のほとんどが、アメリカにおける自動運転の量産化の工程表を提示することができなかった。
長年にわたる基礎研究の下積みが、ここ2〜3年で一気に花が咲いた感のある自動運転。浮かれたバブリーな時期を終え、地に足をつけた状況へと大きくシフトしそうだ。
シンポジウムの終了直後、会場であるヒルトン・サンフランシスコのロビーで本稿を書きながら、肌感覚として、そう思う。
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