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鈴木敏文氏、鳥越俊太郎氏らに見る「高齢」と仕事の理想的な関係 元王朝もフランスも経済大混乱 歴史に学ぶヘリコプターマネ
http://www.asyura2.com/16/hasan111/msg/342.html
投稿者 軽毛 日時 2016 年 7 月 27 日 10:45:50: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

山崎元のマルチスコープ
2016年7月27日 山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
鈴木敏文氏、鳥越俊太郎氏らに見る「高齢」と仕事の理想的な関係
高齢化社会の大問題


高齢期を迎えるに当たり、「仕事」と「資産運用」について何に気をつけるべきか、考えておく必要がある
 日本は、国民が長寿であると共に出生率が低く、急速に高齢化が進んでいる。政府は、労働力人口の減少の影響を緩和するために、女性と共に高齢者の労働参加に期待しているが、今年に入ってから、高齢者と仕事の関係について考えさせられる印象的な事例がいくつか発生した。

 本稿では、筆者の印象にある4つの事例に関して考えてみると共に、我々が高齢期を迎えるに当たって、何に気をつけたらいいかについて、教訓を引き出してみたい。

【事例1】鈴木敏文氏(83歳)、経営の第一線より引退

 流通の「カリスマ」こと、鈴木敏文氏の、セブン&アイ・ホールディングス会長辞任のニュースには、正直なところ驚いた。

 圧倒的な実績と共に築いた地位と影響力を、経営陣に関する人事案が社内から反対されたことから(ご本人の説明は、「否決」ではなく「社内から反対があった」ことが辞任の原因であった)、一瞬のうちに自ら手放した。

 報道の一部には、独断先行的な経営をいわゆる「老害」として伝える記事があったが、傍目には、辞任の直前まで現役の最前線で仕事をされておられたし、力量的に彼を上回る経営者に取って代わられたわけではなかった。

 彼が後継者を育てて来なかったことが問題だったとの後日評価は議論として可能だが、彼から見てそれにふさわしい人材がいなかったのかもしれないし、真に有望な人材なら、勝手に育って彼に取って代わるべきだったということなのかもしれない。

 業界のイノベーターたり得るような天才経営者に、同時に優秀な経営教育者であることを求めるのは、公平に言って無い物ねだりだろう。

「余人を以て代え難い」との自覚がある天才は、体力の限界あるいは、自らの存在ないし方法が淘汰されるまで、その職にあり続けるというのは、合理的な方法だろう。周囲にとっては大変かもしれないが、文句があれば、彼(彼女)を、実力を以て淘汰するしかない。

 筆者は、鈴木氏の退任劇の全てが良かったとは思わないが(対外的に後任者批判を行ったのはやり過ぎだったろう)、きっかけを定めて身を引いた決断は潔かったと感じている。

 ただ、惜しむらくは、鈴木氏が自身の才能と情熱をより長くかつ有効に、セブン&アイ・グループのビジネスのために使うには、彼の判断をチェックできて、彼に助言ができる、できれば有能な若手の腹心を持つべきだった。特に高齢者は、自分の持つ情報と判断力とを、有能な他人によって補う方法を考えるべきだ(なかなか難しいとは思うが)。

【事例2】鳥越俊太郎氏(76歳)、闘病後、都知事選に立候補

 現在、選挙戦の真っ最中なのでいくらか書きにくいが、都知事選の野党側の統一候補として立候補した鳥越俊太郎氏の「体力(の乏しさ)」が物議を醸している。

 鳥越氏は、他の有力候補と比較して、街頭演説の回数が明らかに少なく、選挙戦において体力が既に制約要因になっている。都知事の職責に、彼の体力(判断力等を含む)は耐えうるのだろうか。高齢であることに加えて闘病後の体力の低下を、鳥越氏自身がどのように考えて立候補に至ったのかは、興味深い問題だ。

 小池百合子候補との間で「病み上がりの人」という表現を巡ってやりとりがあったとも報じられているが、表現は不適切であったかもしれないが、都知事の職に対する資質を問う上で、「体力」について問うことは、不当ではない。

 なお、念のために申し上げておくが、筆者は、仮に体力が不足しているとしても、そのことだけを以て鳥越氏の立候補が不当であるとか、彼が知事にふさわしくないと言うつもりはない。好ましい事例だとは思わないが、例えば、かつての石原慎太郎元都知事も任期の終盤では登庁日数が少なかった。鳥越氏の政策の訴えに決定的な価値があり、都知事に就任した後に体力不足をカバーできるプランがあれば、鳥越氏が都知事に選ばれて何ら構わない。鳥越氏も、また同氏を推薦する野党各党も、都知事に就任した場合、鳥越氏の体力不足がどのようにカバーされるのかというプランを提示すべきではないだろうか。

 高齢者の意思決定の一般論として考えた場合、高齢で新しい仕事にチャレンジする場合、自分の体力(判断力を含む)の現状が仕事の要求に対して不十分である可能性、加えて、加齢によって体力が更に低下する可能性について、思いを巡らせ、対策を講じる必要があるということだろう。

【事例3】故・大橋巨泉氏(82才没)、早期の「セミリタイア」

 先日亡くなった大橋巨泉氏は、一言で肩書きを言うことが難しいが(「司会者等のマルチタレント」とでも言うしかない)、大橋氏の高齢化及び病気との間合いの測り方は特異だった。氏は、タレントとしてまだまだ「旬」といえる多忙な時期に(何と56歳である)、「セミリタイア」と称して、仕事を減らし、海外と日本とを行き来する独特の生活に移行した。傍目には、あまりにも早い一線からの引退に見えた。

 一方、セミリタイア以降も、帰国時にはテレビ番組に出ることもあれば、選挙に出たり、コラム等で意見を発信し続けたりするなど、自己実現をセーブしたわけではなかった。

 近年は、がんの闘病との共存を図りながら各種の発信を続けて来られたように見受けた。長年続いた「週刊現代」に書かれた最後のコラムを見ても、最期に近い時期には、ご自身の意思表明ができなくなることを見通していたようだ。

 一つの仮説としてセミリタイア宣言などせずに第一線で仕事を続けた方が、より多くご本人にとって有意義な仕事が多くできた可能性を考えることもできるが、老いや体力・判断力の低下に対して、常に先手を打って対策を取った晩年は、余人に真似できない見事なものだった。

 完全に真似することはできないが、判断力も含めて自分が衰える可能性を直視して、これに備える姿勢は、一般人の参考にもなる。

【事例4】天皇陛下(82才)、生前退位のご意思

 天皇陛下が生前退位を考えておられるとの報道自体にも驚いたが、高齢化に伴うご公務のやり方についても、生前退位についても、事前に想定も準備もされていなかったという宮内庁その他の政府のあり方がもっと驚きだった。

 今のところ陛下の直接のお言葉によるものではないが、ご公務のあるべき姿(特に公平性)とご自身の体力低下を考慮すると、生前退位が望ましいとのご判断を持たれているものと思われる。

 憲法や伝統などに基づいて「天皇」がかくあるべきだという議論は様々にあるのだろう。生前退位に肯定的な意見がある一方で、摂政を置くべきだという意見もあれば、退位自体を否定する見解もあるようだ。

 しかし、法律・制度・伝統以前のヒューマニズムの問題として、陛下ご本人の判断として、自身が行う公務は公平であるべきで、そのための体力の不足を感じるということであるにもかかわらず、制度上の不備その他で自由に退位ができないという状況は何ともお気の毒だ。職場としては、責任感で社員(又はアルバイト)を縛り付けて、退職を許さずに酷使し続ける「ブラック企業」に勤めているに近いご境遇である。

 まことにお気の毒としか言いようがないので、一般人に対する教訓を本事例から引き出すことに躊躇を感じるが、企業の経営者や政治家などの場合にも、高齢になったものの自分の意思で職から降りられない人はいるのではないか。

 例えば、政治家だと、彼(彼女)の存在によって職を得て生計を立てるスタッフもいれば、彼(彼女)にコストを掛けてきた支持者もいて、自由に引退できない場合がある。こうした職にある場合、自分が自由に引退できないかもしれないという可能性が想像できた場合、まだ時間と体力に余裕があるうちに、少なくとも自分の判断で引退できる現実的なオプションを確保しておくべきなのだろう。

高齢者への「金融的」補足

 言うまでもないが、筆者の専門は、高齢化よりも金融資産の運用だ。最後に、高齢者の金融資産運用について、三点ほど補足しておく。

 第一に、判断力さえ無事であれば、高齢者だからと言って特別な運用をする必要はない。株式でも投資信託でも、同じ時に同じ物を持っていれば、持ち主の年齢や体力に関係なく、リターンは実現する。「高齢だから配当・分配金などインカムゲイン中心の運用にすべきだ」、「高齢者は株式などハイリスクな資産に投資すべきではない」といった通念は間違いだ。

 言い方を変えるなら、「ポートフォリオまで一緒に歳をとらせる必要はない」。外国人だが、米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏(85歳)などが良い見本だ。

 第二に、歳をとると、他人を性急に信用してみたくなる傾向があることに注意してほしい。歳をとって頑固になるのも困りものだが、金融機関のセールスマンなどを、「この人がいい人であることを、私は分かる」という思い込みを持ちたがる高齢者があまりにも多い。自分が若くても高齢でも、お金の意思決定について「他人任せ」、とりわけ金融のプロに任せるのはダメなことなのだ。

 第三に、高齢者は、自分が急激に判断力や記憶を失う、ないしは行使できない状況に陥るかもしれないことについて、意識するべきだ。

 例えば、ヘソクリを置いていた銀行預金の存在を預金者本人が忘れて、遺族がこれに気づかなかった場合、預金が遺族の元に戻らない可能性が大いにある。今のところ、記録の保存義務は過去10年までなので、これ以上の期間にわたって動かしていない預金は、通帳などが保存されて後日発見されない限り発見の方法がなくなることがある。

 いざという場合の財産の在処くらいは、「信頼できる誰か」が知りうるようにしておくべきだろう。

 ただし、老若を問わず(「高齢者の場合は特に」かもしれないが)、「信頼できる誰か」を正しく見つけることが大変難しいというのもまた事実だ。http://diamond.jp/articles/print/96776

 
金融市場異論百出
2016年7月27日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長]
元王朝もフランスも経済大混乱
歴史に学ぶヘリコプターマネー
 海外の投資家は「ヘリコプターマネー」政策を日本政府・日本銀行が採用するのではないかと関心を持っている。菅義偉官房長官と黒田東彦日銀総裁は否定的発言をしているが、話題はくすぶり続けている。


300年以上前に、広義のヘリコプターマネー政策を実施したジョン・ロー。その後には金融の混乱状態だけが残されたという Photo:Roger-Viollet/アフロ
 この政策は論者によって定義が異なるが、日本で現在話題になっているのは次のようなものだろう。政府がゼロ金利の永久国債を大規模に発行し、日銀がそれを引き受ける、または、日銀がこれまで市場から買った国債をそれと交換するというアイディアだ。日銀が永久国債を保有すれば、政府はそれに関しては返済義務がなくなる。

 ただし、実現には日銀が政府から国債を直接引き受けることを禁止している、財政法第5条を修正する必要があるだろう。その法改正への着手には、現時点ではさすがに政府も慎重と思われる。

 実は人類の歴史において、ヘリコプターマネーと似たような政策は数多く実施されてきた。政府が財政赤字を埋めるために、金や銀の含有量を減らす通貨改鋳を実施したり、政府紙幣を発行したりすることは、広義のヘリコプターマネー政策といえる。

 それらの大半は歯止めが利かなくなり、経済は混乱した。江戸時代に徳川幕府もそういった失敗を何度か犯している。

 また、『貨幣の「新」世界史』(カビール・セガール著)によれば、中国は宋の時代に経済の力が衰えるたびに、価値の裏付けとなっている金属と紙幣の結び付きを弱めて、紙幣を増刷した。一度始めると「膨れ上がる(王朝の)出費を賄うために大量の紙幣を発行する誘惑には勝てず、宋の経済はどんどん悪化」。13世紀後半にフビライ・ハンに滅亡させられた。

 ハンの元王朝は金属との関係を絶った紙幣を発行する。当初それは機能したが、財政赤字が膨らむと、同様に「誘惑に打ち勝てず紙幣を際限なく刷り続け」た。その結果、激しいインフレが生じ、元王朝の通貨の信認は失われた。

 1710年代後半のフランスでは、巨額の政府債務を減らすためにミシシッピ社という貿易会社がその役割を負った。これはスコットランドからやって来たジョン・ローという男が、当時の国家元首(ルイ14世のおい)に売り込んだ錬金術的スキームだった。

 ミシシッピ社は自社株を発行しては、その資金で仏国債を大規模に買い上げた。同社は当時の仏植民地だったルイジアナなど、北米大陸との独占貿易権を政府に認められていた。ルイジアナが富を生み出す夢の土地であれば、同社の利益が国庫に納付され、いずれ国債は増税なしに償還され、同社の株主は配当を得られる。

 ミシシッピ社の巨額購入によって国債の利回りは急低下、他方で同社の株価は急騰したので、人々は国債を手放しては同社の株を熱狂的に購入した。当時の仏国営銀行バンク・ロワイアルは、その動きをサポートするために紙幣を刷りまくった(同行は1720年になんとミシシッピ社と合併する)。

 だが、程なくルイジアナは夢の土地ではなく、ただの沼地であることが発覚する。それと同時にミシシッピ社の株価は暴落、政府の支出がずさんに拡大していたこともあり、紙幣の価値は凋落した。

 ローは男爵および財務総監(大臣)の地位まで上り詰めていたが、慌てて国外に逃亡。「あとには金融の混乱状態だけ」がフランスに残された。

「打ち出の小づち」的アイディアを提唱する彼のような人物が現れたら、注意する必要がある。

(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
http://diamond.jp/articles/-/96634  

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