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米国の賃金インフレ、迫りつつある手掛かりとは
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一部のエコノミストは、米国の賃金がようやく上昇を期待できる兆しがいくつかあると指摘しているPHOTO: JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES
By
LISA BEILFUSS
2016 年 7 月 7 日 15:32 JST
過去7年間にわたる景気拡大期を通じて米国の多くの人々をいらだたせてきたのは、賃金の伸びが感じられないことだ。しかし、一部の経済指標は賃金の伸びが今後数カ月で加速することを示唆している。注目すべき主な指標は次の通りだ。
1.ベビーブーム世代の引退
人気が出てきた指標の一つが、アトランタ地区連銀の賃金伸び率トラッカー(追跡指標)だ。この指標は5月に7年ぶりの高水準をつけた。一部のエコノミストは、この指標は人口構成のバイアスを調整しているので、より正しい賃金インフレの尺度だとしている。米労働省労働統計局(BLS)が算出するなじみ深い平均時給は人口動態の影響を受けている。つまり、新たに労働人口に加わる人々よりも賃金の高いベビーブーム世代が大勢、労働力人口から離脱している影響だ。経済顧問会社IHSのチーフエコノミスト、ナリマン・ベーラベシュ氏は、5月に前年同月比2.5%増となったBLSの平均時給は基調にある段階的な賃金増を隠していると言う。同氏は、少なくとも1年は在職している人々の賃金を対象にしているという理由から、アトランタ連銀の指標を支持している。
経済調査会社パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミスト、イアン・シェファードソン氏は「通常の労働市場の条件においては、アトランタ連銀の数字は普通の時給統計の先を行くと予想される。同じ職にとどまる人々は、時間とともにより速やかに賃金が伸びる傾向があるためだ」と語った。ただ、アトランタ連銀の指標は5月に前年同月比3.5%増となり、BLSの平均時給との差が拡大している。この差は「失業率が前回5%を下回った2006年初めよりもはるかに広い」と注意している。当時は、両者の差が無くなり、一時的に平均時給の伸びがアトランタ連銀の指標を上回った。アトランタ連銀の指標が常にBLSの数字に先行するわけではないが、これを無視するのは危険だとシェファードソン氏は指摘した。
失業率が低下する中、アトランタ連銀の賃金指標はBLSの平均時給より高い伸びを示している
2.転職者動向
同じ会社でキャリアを積むのは、より高い賃金を確保する一つの方法だ。もう一つが転職だ。賃金中央値の伸びがこのところ上向いている背景には、転職者に対する賃金の引き上げが高いことがある。経済顧問会社キャピタル・エコノミクスの米国担当チーフエコノミスト、ポール・アシュワース氏によると、過去の例から見て転職者の賃金の伸びは在職者の伸びに先行するので、これは良い兆候だ。転職は自発的離職率につながるが、米労働市場に対する信頼が一段と深まる中、この離職率は着実に上昇している。アシュワース氏は「だからFRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長は離職率をこれほど重視しているのだ」と語った。
3.中小企業の採用難
中小企業は欠員を埋めるのが次第に難しくなってきたとしている。雇用するには賃金を上げる必要があるという意味で良い兆候だ。中小企業の業界団体、全米独立企業連盟(NFIB)によると、5月に調査対象となった企業の4分の1以上が欠員を埋められないと報告した。この間、賃金を上げたとする回答も同程度あった。NFIBのチーフエコノミスト、ビル・ダンケルベルク氏によると、この回復期では最高の割合となった。この採用難は、高度な熟練労働者を求めている中小企業で特に顕著だ。
パンセオン・マクロエコノミクスのシェファードソン氏は「中小企業部門が全てを物語っている」として、NFIBの採用難に関する指標はアトランタ連銀の賃金指標と密接に連動していると指摘した。NFIBの指標は実質賃金に先行しており、「NFIBの数字はいまや明らかに、実質賃金が今後1年でより速やかに伸びることを示唆している」と述べた。
4.実質賃金対名目賃金
物価調整済みの実質賃金は、かなり異なる様相を示している。なじみ深いいつもの賃金指標は、全体のインフレ状況を勘案しない名目ベースの数字だ。ここ数年、米国では多くが目に見える賃上げを受けていないが、カナダ・ロイヤル銀行(RBC)の米国担当チーフエコノミスト、トム・ポーチェリ氏は、インフレ調整済みの賃金の伸びは長期トレンドに沿っていると言う。
全てを合わせると、指標になじみがあろうが無かろうが、賃金インフレはそこまできていると一部のエコノミストはみている。シェファードソン氏は、BLSの平均時給は今年の伸びが2.3%となり、来年は4%に加速すると予想している。キャピタル・エコノミクスのアシュワース氏も伸びの加速を予想しているが、もう少し緩やかにみている。賃金の伸びが今年末には3%となり、来年は3%〜3.5%と考えている。
ただし、多くのエコノミストは賃金の伸びが依然として不振な生産性の伸びに抑えられると言う点で一致している。アシュワース氏は「賃金の伸びが5%という世の中には決して戻らないだろう」と述べ、「明らかに賃金の伸びの天井は低くなっている。これが新たな常態のようだ」と指摘した。
だとしても、一部の指標はその天井をつけるまでまだ伸びしろがあることを示唆している。RBCのポーチェリ氏は、兆しは「全て上を指している」とし、「さらなる賃金圧力がそこまできている」と語った。
%THE WALL STREET JOURNALNote: Real earnings derived by deflating the Atlanta Fed median hourly earnings series by the core PCE deflator.Sources: Labor Department, Pantheon MacroeconomicsReal Vs. Nominal WagesThe pace of acceleration in inflation-adjusted wages has been runningfaster than nominal pay gains.Nominal wagesReal wages2012’13’14’15’16-0.50.00.51.01.52.02.53.0
Nominal wagesJuly 20132%
名目賃金よりも実質賃金の伸びは加速している
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6月の米ADP民間雇用者数:17.2万人増加、財生産は3.6万人減少
Victoria Stilwell
2016年7月7日 22:51 JST
6月は中小企業が雇用をけん引
大企業や多国籍企業は「苦戦している」−ムーディーズのザンディ氏
6月の米民間雇用者数は増加した。企業が引き続き雇用を増やしていることが示された。
給与明細書作成代行会社ADPリサーチ・インスティテュートの発表によると、6月の米民間部門の雇用者数は17万2000人増加(エコノミストの予想中央値は16万人増)。前月は16万8000人増(速報値17万3000人増)に下方修正
製造業や建設業を含む財生産部門の雇用者は3万6000人減少
サービス業では20万8000人増加
ADPと共同で集計調査を行うムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は発表資料で、「6月は雇用の伸びが春期の低迷から回復した」と指摘。「エネルギー業界や貿易の影響を受けやすい製造業を除くと、雇用の伸びは引き続き健全だ。大規模な多国籍企業は苦戦しており、英国の欧州連合(EU)離脱も支援にならないが、中小企業は雇用を堅調に増やしている」と述べた。
ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想のレンジは13万人増−20万人増
建設業の雇用は5000人減
製造業は2万1000人減
従業員が500人以上の大企業の雇用者数は2万5000人増。50−499人の中堅企業では5万2000人増。49人以下の小企業では9万5000人増
原題:ADP Says Companies in U.S. Added 172,000 Employees in June (抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-07/O9Y45U6S972G01
中国外貨準備高、6月末時点で3.21兆ドル 予想外に増加
[北京/上海 7日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)が発表した6月末時点の外貨準備高は3兆2100億ドルで、5年ぶりの低水準となった5月末時点の3兆1900億ドルから200億ドル増と予想外に増加した。過去14カ月で最大の伸びとなった。
市場は3兆1700億ドルに減少すると予想していた。
ANZ(香港)のシニアエコノミスト、レイモンド・ユン氏は、外貨準備の増加は円高により円建て資産の評価額が上昇したことによるもので、驚きではないと指摘した。
人民銀行の元安容認で人民元が5年半ぶりの安値に下落するなか、資本流出への懸念が強まっている。
しかしユン氏は、当局の効果的な資本規制が6月に外貨の流出を食い止めたと指摘。英国の欧州連合(EU)離脱決定による中国の外貨準備への影響は限定的なものにとどまるとの見方を示した。
「英国の離脱は外貨準備の水準に影響しないだろう。今年下期の欧州向け輸出が不透明な状況になるが、中国の資本規制を背景に、ドル建ての外貨準備は基本的に現在の水準を維持する」と語った。
その一方でロイヤル・バンク・オブ・カナダのアジア外為部門のストラテジストは、為替の投機取引に近いとされる香港経由の輸入水増しが過去最高水準にあることを理由に、資本の流出は公式なデータよりも大規模との見方を示した。
キャピタル・エコノミクスのアナリストは顧客向けリポートで、人民銀が元買い介入を行っている形跡があるが、年初ほど大きな規模ではないと指摘した。
「2015年終盤から16年初めにかけて月当たり1200億ドル流出していたが、それに比べれば資金流出はかなり管理可能な水準になっていることはほぼ疑いない」と分析した。
ただ人民銀が元の下落を容認し続ければ、再び大規模な資金流出につながるリスクがあると警告した。
6月末時点の中国の金準備高は5862万ファイントロイオンスとなり、5月末時点の5814万ファイントロイオンスから増加した。
http://jp.reuters.com/article/china-bank-reserve-idJPKCN0ZN0QL?sp=true
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