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ブレグジット、世界混乱の原因でなく「引き金」
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世界はブレグジットの前からすでに問題を抱えていた(写真はロンドンの金融街シティー) PHOTO:BLOOMBERG NEWS
By
RICHARD BARLEY
2016 年 7 月 7 日 13:08 JST
先週の金融市場は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定直後のショックから回復を見せた。ただ、この回復には常に疑わしさがつきまとっていた。英ポンドは6日に1.30ドルを下回ったほか、債券市場は急上昇、リスク志向はまた大きく後退している。しかし、ポンドの急落は別として、これらのことは本当にブレグジット懸念が原因なのだろうか。
確かに6日の市場では、英国の不動産ファンドが解約停止を発表したことを受け、相場は下落した。投資家は、ブレグジット・ショックの顕在化を恐れていたが、これが現実となった格好だ。さらに悪いことに、これは2007年の住宅ローン担保証券(MBS)をめぐる騒ぎに類似していた。ただ、この類似をあまり大きく捉えるべきではない。当時の危機は今回よりはるかに深刻なものだった。安全で流動性も高いと考えられていた債券が、実は安全ではなく流動性も高くないことが判明したため、世界の金融システムに影響を与えていったからだ。不動産は流動性が低く、リスキーになる恐れがあることは昔から知られていたはずだ。
ブレグジットの本当の影響が明らかになるには数カ月から数年、場合によっては数十年かかるだろう。EUからの離脱プロセスには明らかに時間がかかる。確かに、英国の不動産市場は当面の中心的懸念だが、短期的な経済全体への影響ですら、はっきりするのは今年遅くになってからだろう。むしろブレグジットは、世界金融危機の原因であると同時にその結果でもあるような複数の問題を悪化させ、そして、浮き彫りにした引き金だと言えよう。
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最大の問題は利回り追求と貯蓄過剰だ。危機前から見られた利回り追求が拡大した背景は、中央銀行の政策(金利をゼロに引き下げ、債券市場に資金供給した)、銀行規制(銀行に大規模な流動性資産の保有を義務づけた)、そして低成長と低インフレが続いていることだ。この利回り追求の一つが、不動産などの高利回りを生む低流動性資産への投資だった。
ブレグジットはこうした事態の原因ではないが、これを加速させ、よりリスクを高める恐れはある。マイナス金利を背景に、債券は安定的で所得を生む資産から投機的なキャピタルゲインを狙う金融商品に変わった。さらに、ブレグジットによって、政治や金融政策のこうした問題への対応能力には疑問が浮上している。
債券市場は現在、目の回るようなスピードで動いている。米国債利回りは6日、過去最低を更新し、日本の20年物国債も初めてマイナス利回りとなった。ドイツも10年物国債利回りがマイナスとなっているが、近いうちにオランダやフィンランド、スウェーデンやデンマークの10年物国債もマイナス利回りとなる可能性がある。フランスもベルギーもこうした状況から遠いわけではない。先週、株価が反発したにも関わらず債券利回りが上昇しなかったのは、現状が正常の状態から遠く離れているという兆候だ。
投資家は、ブレグジットが英国経済に突きつけた直接的問題と自分の間に距離があると感じている場合でも、やはり警戒を続ける必要がある。確かに世界的に見れば小さい問題かもしれない。しかし、世界はブレグジットの前からすでに問題を抱えていたのだ。
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英ポンド(対ドル)相場の推移
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欧州銀行株が債務危機以来の安値、イタリア問題の伝染懸念−チャート
Roxana Zega
2016年7月7日 16:23 JST
イタリアの銀行問題をめぐる混迷が深まる中で、欧州の銀行株がユーロ圏債務危機の最悪期以来の水準まで値下がりしている。危機が業界全体に伝染する懸念が浮上し、ストックス欧州600銀行指数は2011年に付けた安値にあと1.4%と迫っている。スペインのポプラール・エスパニョール銀行、イタリアのモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ、ドイツ銀行、クレディ・スイス・グループは今週、上場来安値を更新した。
原題:Europe Banks Close to Breaching Crisis Lows on Italy Woes: Chart(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-07/O9XMD36KLVR401
ドイツ:5月の鉱工業生産減少−世界の減速と欧州の政治不安響く
Carolynn Look、Piotr Skolimowski
2016年7月7日 15:26 JST
ドイツの鉱工業生産は5月、予想に反して前月から減少した。世界経済の減速と欧州の政治
不安定により生産活動が鈍化した兆候が示された。
独経済省が7日発表した5月の鉱工業生産指数(季節調整済み)は前月比1.3%低下。
ブルームバーグのエコノミスト調査の予想中央値は0.1%上昇だった。4月は0.5%上昇に改
定された。5月は前年同月比では0.4%低下。
投資財が3.9%減、消費財は0.5%増だった。建設は0.9%減、中間財が0.3%減となった
。製造業生産は1.8%減。エネルギー生産は3.9%増えた。
原題:German Industrial Output Unexpectedly Drops in Sign of Slowdown(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-07-07/O9XL1T6S972901
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