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6月16日、金融政策決定会合後の記者会見に臨んだ黒田東彦・日本銀行総裁 Photo:REUTERS/AFLO
金融緩和の円安効果はリセット 突っ込みどころ満載状態の日銀
http://diamond.jp/articles/-/93739
2016年7月1日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
円が日本の主要な貿易相手国の通貨に対して、どの程度強く(あるいは弱く)なっているかを示す指数に名目実効為替レートがある。
日本銀行が推計したこの指数を見ると、異次元金融緩和策の導入前日である2013年4月3日は106.53だった。それが15年6月8日に85.63まで低下した(数字が小さくなると円安、大きくなると円高)。しかし、その後は反転上昇。16年6月21日は106.86だ。欧州連合(EU)離脱の賛否を問う英国民投票の影響もあるとはいえ、円レートは異次元緩和策前の水準に戻ってしまった。
マネタリーベース(現金+日銀当座預金)は、13年3月には135兆円だったが、日銀による3年強の大胆な金融緩和策によって、3倍弱の400兆円へと拡大した。そして、マイナス金利政策も導入された。しかし、それらの円安効果はほぼ確認できない状態だ。
その要因の一つは、日米の金融為替当局におけるスタンスの大きな変化にある。
日銀が異次元緩和策を開始したのは13年4月。一方、その1カ月後の5月に米連邦準備制度理事会(FRB)は量的緩和策第3弾の縮小を予告した。金融政策の方向性が決定的に異なったので、円安に行きやすい環境が生じた。当時、米財務省も米経済の回復に伴うドル高は問題ないという見方だった。
しかし、現在の日銀は追加緩和の手段に余裕がなくなっており、限られた弾を撃つ際はタイミングを選ぶ必要が生じている。
そして、FRBは金融引き締めペースに慎重になっている。米連邦公開市場委員会(FOMC)による15年末から17年末までの2年間の予想利上げ幅は、15年春には2.5%だったが、6月には半分の1.25%に縮小した。その上、FRBも米財務省もドル高に対する寛容さを後退させている。
ドル円レートが円安方向に戻らないと、日本の新コアCPI(生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価総合指数)前年比は、じりじり低下していく。為替が物価に与える影響を相殺できるほどの賃金上昇も当面期待できそうにない。
6月16日、黒田東彦・日銀総裁は記者会見で銀行ローンに触れ、持ち家向けは伸びていないものの、賃貸物件向けは顕著に伸びてきた、とアピールした。しかし、今でもだぶついている賃貸物件の供給がさらに増加すれば、CPIにおいて大きな比率を占める家賃・帰属家賃は上昇せず、インフレ目標にとっては逆効果となり得る。
とはいえ、一歩後ろに下がって世界のインフレを見渡してみれば、2%の目標を掲げているほとんどの中央銀行が、現在それを実現できていない状況である。
また、この10年間を振り返れば、インフレ率をピンポイントで2%に誘導することは海外でも困難だったことが分かる。実際のインフレ率が目標の2%から上下に0.5%以上離れていた月数を見ると、過去120カ月のうち英国は75カ月、スウェーデンは95カ月に及ぶ。
しかし、現在の日銀は短期的な実現が困難なものに対して、「できるだけ早期に達成する。そのためにはちゅうちょなく対応する」と約束してしまっている。突っ込みどころが満載の状態で、海外ファンド筋から円高を仕掛けられやすくなっている面は否めない。
先行き、ジャネット・イエレンFRB議長が利上げに自信を取り戻して円高圧力が和らぐ局面が来たら、日銀はインフレ目標を海外の多くの中央銀行のように、事実上中長期化することが望ましい。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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